かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ビェロフラーヴェクがチェコ・フィルを振った「わが祖国」

今月のお買いもの、令和2(2020)年5月に買いましたものをご紹介します。今回はスメタナの「わが祖国」です。イルジー・ビェロフラーヴェク指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団演奏の、ハイレゾです。e-onkyoネットストアでの購入です。

CDではすでにスメターチェク指揮チェコ・フィルのものをもっており、好んで聴いていますし、図書館でもいくつか借りています。そんな中新たに加わったのが、このハイレゾです。

チェコの有名ホール、芸術家の家等のサウンドが、ハイレゾだとどのように聴こえるのかは前から興味がありましたし、また指揮者ビェロフラーヴェクの解釈にも興味がありました。e-onkyoでは各楽章の冒頭ちょっとだけ視聴できるのですが、「モルダウ」がいい感じだったので購入を決めました。

ハイレゾなので、その空気感はCDより半端なく、素晴らしい「音」です。しかしながら演奏は・・・・・悪くはありませんが、次点です。

やはり、断然素晴らしいのは、私の中ではスメターチェクです。同じチェコ・フィルで、語法が同じ部分もあるんですが、どこか詩的すぎるんです。もちろん、シンフォニック・ポエムですから、詩的でもいいんですが・・・・・ドラマがない。

「わが祖国」という連作「交響詩」は、単に風景を切り取っただけではなく、そこにドラマがあります。シャールカ、タボール、ブラニーク。この3曲は特にそのドラマティックさが前面に出ている作品ですし、「モルダウ」も風景と歴史描写を併せ持つ作品です。そんな中で詩的だけで演奏するのはどうもなあと、作品を初めて知った中学生の時からずっと思っています。

ですので、このビェロフラーヴェクの解釈には、同意する部分とそうではない部分とがあって、素直に首を縦に振れない私がいます。拒否するほどのものではないが、もう少しここは感情表現としてアクセントが欲しいだったり・・・・・そんなことが全体にわたって有るんですね。

テンポとかでもそれじゃないよなあと思うところでも、納得できるものがあればイッセルシュテットのように評価もしますし好みもするんですが、残念ながらビェロフラーヴェクにそれを見ることができなかったんです。ほかのスメタナの作品ではいい指揮もあるんですけれど・・・・・

もしかすると、肩に力が入ってしまったのかもしれません。祖国の風景と歴史をふんだんに詰め込んだ作品ですから、それは仕方ないかもしれませんが・・・・・その意味では、この演奏を聴けば聴くほど、スメターチェクという人の優れた才能を、評価せざるを得ないのです。それだけのプレッシャーがあった中、普遍的なメッセージを発し続ける演奏を残したのですから。

一番最初に買ったCDは、なんと幸せな出会いだったのかと、このビェロフラーヴェクの解釈を聴くと思うのです。ちょうど5月、本来なら「プラハの春」音楽祭が開かれる予定だった時期に買ったこのハイレゾ音源で、そう思ったのでした。

 


聴いているハイレゾ
べルドジヒ・スメタナ作曲
連作交響詩「わが祖国」全曲
イルジー・ヴェロフラーヴェク指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
(Decca UCCD-1461)

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