かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:ソプラノ稲見理恵リサイタル 秋の夕べを聴いて

コンサート雑感、今回は平成30年11月17日に聴きに行きました、稲見理恵女史のリサイタルを取り上げます。

え、まさか同じ日に?って、アナタ、私のブログよく読んでいらっしゃいますねぇ。ええそうなんです、実は先週取り上げた、Setagaya Quodlibetさんと同じ日、なんです。Setagaya Quodlibetさんのコンサートが終わったその足で、神田から神楽坂の音楽の友ホールへと向かったのです。

昨年も実は、稲見女史は音楽の友ホールでリサイタルを行っており、パートナーのピアニストも、そしてナビゲーターも、全く同じ組み合わせです。

コンサート雑感:稲見里恵リサイタルを聴いて
https://yaplog.jp/yk6974/archive/1652

昨年同様、最前列には砂川先生が陣取られ。招待席には俳優の寺田農も来るという、人脈の広さもある稲見女史ですが、今回は昨年と異なり、少し体調は良くない様子でした。かなり力任せな発声が随所に・・・・・

けれども、前半のヘンデルドヴォルザークは表情豊かに歌われたのは、さすがだと思います。体調もさることながら、今回のプログラムはつい感情が入ってしまいがちな作品が多く、其れゆえについ力が入ってしまいがちでした。体調がもう少しよければ、もっと伸びやかに歌えたかもしれませんが・・・・・

え?体調管理も才能の内ですって?まあ、私も技術職の端くれなので、それは理解できますが、歌歌いが体調を整えるっていうのは、本当に大変なことなんです。特に稲見女史のようにいろんな仕事を抱えながら活動していると、そう簡単ではありません。そういうならば、活動資金、全額出してあげてくださいな。なら万全の体調を整えるでしょう。

そんなことができるソリストは、ほんの一握りです。ヒエラルヒーの頂点にいるようなソリストです。それ以外は本当に体調を整えるだけでも必死な人たちばかりなんです。そんな中で、懸命に表現する稲見女史は、もうけなげとしか言いようがありません。

ただ、ホールを楽器としてつかうところはさすがです。音楽の友ホールは、残響が2秒ある素晴らしいホール。ですから、多少の体調の悪さは表現で何とかなるとも言えます。しかも、音楽の友ホールは基本リサイタル向きの小さなホールなので、ことさらに頑張る必要もないんです。

https://www.ongakunotomo.co.jp/company/hall.html

まあ、当日は昨年同様満席だったので、残響は2秒を切り1秒に限りなく近い状態ですが・・・・・それでも、上手に残響を使って表現するのはさすがプロです。しかも、小さなホールですので、彼女の声が時として塊として飛んでくるのです。ピアノはそれを知ってかサポートに徹していましたが、もっとピアノも思い切って表現してもよかったと思います。聴いていて、例えばピアニストが瀬川玄氏だったら、これはどうなるだろうかと想像してしまいました。

フォーレの「月の光」とショーソンの「リラの花咲く頃」は昨年も取り上げており、ナビゲーターの山崎氏よりも何よりも稲見女史が好きなのではないのかなって思います。一応稲見女史は「オンナ」ですから・・・・・ロマンチストな部分があるのが普通だと思います。こういう個性が見えるプログラムはいいですね。え、また今年もやるの〜って思われても、いくつかは同じものをやってもいいと思います。

特にショーソンは、一時期ドビュッシーと親交があった作曲家です。その意味でも、来年はドビュッシーを取り上げてもいいかなって思います。ドビュッシーのかなりエロティックでかつドキドキに満ちた歌曲を、「ラ・ボエーム」の練習ではムゼッタ役もしたともきく稲見女史ならどんなふうに歌うのか、とても興味あります。この二つの作品は本当に伸びやかに歌っており、慣れている好きな作品なんだなって思います。

同様に黒人霊歌を今年も取り上げていますが、この表現とその表情の何と豊かなことか!好きな作品には豊かな表情をつけますが、その差もまた楽しい点です。とても人間的で。

年々表情が豊かになっているだけあり、来年はどんなプログラムを魅力的に表現してくれるのか、楽しみです!




聴いて来たリサイタル
ソプラノ 稲見理恵リサイタル 秋の夕べ
オルグ・フリードリヒ・ヘンデル作曲
ラルゴ(オンブラ・マイ・フ)
フランチェスコ・パオロ・トスティ作曲
四月
フランツ・シューベルト作曲
夜と夢
ミニョンの歌
アントニン・ドヴォルザーク作曲
わが母の教え給いし歌
尽きに寄せる歌
ガブリエル・フォーレ作曲
月の光
ジョルジュ・ビゼー作曲
スペインのセレナード
モーリス・ラヴェル作曲
スペインの歌
カディッシュ
レオ・ドリーブ作曲
カディスの娘たち
エルネスト・ショーソン作曲
リラの花咲く時
黒人霊歌
エスよ、私を変えてください
精霊を感じるたびに
稲見理恵(ソプラノ)
渕上千里(ピアノ)
山崎裕視(ナビゲーター)

平成30(2018)年11月17日、東京新宿、音楽の友ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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