東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリをご紹介します。今回はモーツァルトと同年代の作曲家によるオーボエ四重奏曲を収録したアルバムをご紹介します。
この手は、ずいぶん前に神奈川県立図書館でかりてきているものですが、今回あえて府中市立図書館でも借りてきたのには、理由があります。
まず一つは、ソリストが全員日本人であること。そして二つ目は、全員日本人だからこそ収録は日本であるわけですが、その場所が、福島だということです。
え、福島にそんなホールあるの?というのが正直な感想だったんです。なら、一度借りてみようよ、ということで借りてきたのがこのアルバムだったのです。
確かに、日本にも優れたホールは今や大都市ならたくさんあります。しかし大都市じゃなくても、いいホールはたくさんあります。以前取り上げたことのあるベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を収録した山根弥生子女史のものは東京近辺の優れたホールでの収録ですし、先週取り上げたキース・ジャレットは八ヶ岳高原音楽堂でした。
そんなこともあり、借りてきて聴いてみると・・・・・この素晴らしい音響は!と驚きます。福島にもそんな優れたホールがあったんです。
最後にモーツァルト、その前にボクサ、バウムガルテン、そしてカンナビヒと、モーツァルトが生きた時代を代表する作曲家の作品がずらり。それが福島市音楽堂の優れた残響で演奏されると、まるで魔法のようにつやと輝きを放つんですから、「いいホール」はやはり楽器だと思います。
特に、アインザッツの適度な強さが放つ、生命力は、素直に生きる喜びが表現されているようで、聴いていて本当に日本人及び日本での収録だろうかと思わんばかりです。こういう録音を聴きますと、ほんと海外オケはもう少しプログラム的に工夫されたものこそ聴きたいよねって思います。日本人でこれだけ生き生きとした演奏をするんですから、やはり海外アーティストの演奏にはさらなるものを期待するのが普通ってもんです。
しかも、日本でも演奏が少ない三人ですよ?それを、まるでもう十分演奏されているよね?みたいにさらりと弾いてしまう・・・・・いやあ、もっと日本人ソリストの演奏会にも行こうよ!って思います(うち高田あずみさんはBCJメンバー)。
こんな「響き」を味わえる、福島の人たちがうらやましいです。とはいえ、あの3.11以来、そう単純ではないかもしれませんが・・・・・
聴いている音源
ロベール・ニコラ=シャルル・ボクサ作曲
オーボエ四重奏曲ニ短調
カール・フリードリヒ・バウムガルテン作曲
オーボエ四重奏曲ト短調作品2-3
クリスティアン・カンナビヒ作曲
オーボエ四重奏曲変ロ長調
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
オーボエ四重奏曲ヘ長調K.370(368b)
本間正史(オーボエ)
高田あずみ(ヴァイオリン)
森田芳子(ヴィオラ)
松岡陽平(チェロ)
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