かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:ダンツィ 管楽五重奏曲集

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介しています。今回はダンツィの管楽室内楽を集めたアルバムを御紹介します。

ダンツィは以前、ファゴット協奏曲を取り上げているかと思います。

今月のお買いもの:ダンツィ ファゴット協奏曲集
https://yaplog.jp/yk6974/archive/1216

ほぼベートーヴェンと同じ時代を生きた作曲家であったダンツィ。ベートーヴェンとは異なり宮廷音楽家として生きた人ですが、音楽としては少なくともモーツァルトあたりのものを存分に書いていた人です。こういった人がじつはロマン派の扉を開けて居たりするんです。

フランツ・ダンツィ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%84%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%84%E3%82%A3

以前、ロマン派の作曲家を取り上げていた時に、ロマン派の作曲家達はベートーヴェンよりはむしろ音楽的にはモーツァルトに近いと述べたことがあるかと思いますが、それはこういった宮廷音楽家たちによる「宮廷音楽の改革」の延長線上にあると考えていいと思います。ベートーヴェンはラディカルすぎたんです、当時は・・・・・それが普通に変るまで、約100年の月日を必要としました。

モーツァルト的な音楽を、市民が手にし、そこに形式的美以外の、自分の内面性を反映させていく・・・・・それがロマン派音楽運動であったとすれば、その曠野はダンツィにも求められるかと思います。ダンツィを有名にしているのはここにも収録されている木管五重奏曲なのですが、最後に収録されているピアノ木管五重奏曲は、むしろとてもロマン派的な作品だと言えます。演奏者もつい自分の感情が入ったのか、第1楽章はダイナミックです。

ウェーバーの作品を広めていったという点でも、ダンツィの音楽史における貢献は高いと思います。確かに音楽的には古典派の範疇を大きく外れていないのですが、時代は変るんだということをしっかり認識し、新しい時代における音楽とはということを、しっかり考えていた作曲家ではなかろうかと思います。

それは、ダンツィ自身が優れた演奏者だったからでしょう。モーツァルトが本人が生きた時代は必ずしも主流ではなかったということは、私は散々述べているかと思いますが、そのモーツァルト的な音楽が、ダンツィという作曲家の時代には宮廷で当たり前になっている・・・・・その進歩たるや、当時からすれば目覚ましいものだったはず、なのです。

演奏するベルリン・フィルハーモニー管楽五重奏団、それを十分に理解して、同じ人間として共感して演奏しているように思います。木管五重奏曲では軽やかにかつ生命力あふれて、そしてピアノ五重奏曲では力強さも加わり、内面性までえぐるかのようです。ダンツィという作曲家が決して陳腐ではなく、時代の橋渡しをした偉大な作曲家だったことを、存分に表現しています。

つい、私たちはめだつ変化に注目しがちなんですが、しかし変化は地道なところから起こります。ダンツィの作品は、時代の変化はどのようにして起るのかを、明確に示しています。確かに新しいことはあまりないかもしれない。しかし、ここに収録されている作品が、宮廷音楽家の手によって作曲されたということを知る時、真に音楽史を知っていれば驚くはずなのです。保守の巣窟で、当時モーツァルトですら前衛と言われたその音楽様式を自らの音楽として奏でることがどれだけ危険なのか・・・・・命の危険すらあった時代に行なうことがどれだけリスクが高いものだったかをしれば。

ですから、ダンツィのような作曲家の作品を聴くことは、さまざまな気づきを与えてくれるのです。例えば、私はこの演奏からはオーケストラ・ナデージダさんの活動が如何に偉大かを知ることができます。どうしても目立つ作品ばかりが取り上げられる日本のクラシックシーンで、地道にいろんな作曲家の作品を拾い、いいと思ったら演奏によって呈示していくことが、どれだけの嘲笑を得るかをかんがえたら、私にとっては勇気をもらえることなのです。その気づきが、このアルバムには詰まっているのです。




フランツ・ダンティ作曲
管楽五重奏曲ト長調作品67-1
管楽五重奏曲ホ短調作品67-2
管楽五重奏曲変ホ長調作品67-3
ピアノとフルート、オーボエクラリネット及びバスーンのための五重奏曲ヘ長調作品53
ロヴェ・デルヴィンガ―(ピアノ)
ベルリン・フィルハーモニー管楽五重奏団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村