かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:リース フルート四重奏曲集

今月のお買いもの、平成28年12月に購入したものを御紹介しています。今回は銀座山野楽器にて購入しました、ナクソスのリース作曲フルート四重奏曲集です。

リースは私にとっては3枚目となります。

今月のお買いもの:ベートーヴェン/リース ピアノ三重奏曲
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1215

今月のお買いもの:リース ピアノ協奏曲集第4集
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1436

ベートーヴェンの弟子と言われ、主に「覚書」で有名な人なのですが、作曲した音楽は実に古典派しており、才能豊かな人でした。ベートーヴェン程の個性がなかっただけ、です。

いやあ、リースにそれを求めちゃいけませんぜ。どだい、ベートーヴェンとリースとは人生が違いすぎますし、特に幼少期が違いすぎますから、リースにベートーヴェンを求めるのは無理な話です。

フェルディナント・リース
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9

勿論、リースもフランス革命等で苦労していますが、AC(アダルトチルドレン)であるベートーヴェンとは比較になりません。ベートーヴェンは社会にかかわっていく以前に家庭に問題を抱えていたのですから・・・・・

そんな二人が書く音楽が、全く一緒であるはずはなく、ベートーヴェンが比較的荒々しく、コントラストの濃い、その結果精神性が高い作品が多くなる訳ですが、リースはむしろモーツァルトハイドンに近い作風を持ちながらも、当時としてはモダンな旋律を生み出していったのです。これは仕方がないことです。

で、このCDにはそんなリースのフルート四重奏曲が収められています。実に明快で平明で、幸せな音楽です。それはリースの人徳だとも言えます。人徳がある人が美しい芸術を生み出すのはなかなか大変な作業であるはずで、やはりリースもベートーヴェン同様感受性の強い部分があったことは明白です。ただ、それが音楽として現出するときにはかなりの違いがあると言うだけです。

リースのその点を踏まえて居さえすれば、このアルバムに収録された作品145の3つのフルート四重奏曲は、素直に心に入ってくるのではと思います。確かに古典的ですが、ウェーバーのような雰囲気もあり、決して古くさくはないと思います。あまりにもベートーヴェンの影が大きかったのでしょうね。そのために音楽史からは彼の作品は一度忘れられてしまったのだと思います。

今このようにして、ベートーヴェンという巨匠の存在にとらわれることなく聴きますと本当に素晴らしい作品だと思います。むしろ、前期ロマン派の作曲家たちはベートーヴェンよりも、リースの音楽に影響されたのではないかと思うくらいです。前期ロマン派の作曲家からベートーヴェンらしいコントラストの影響があまり見られないことを考えると、実際はベートーヴェンの死後10年間の、リースが巨匠であった時代の作品に影響を受けているような気がします。

前期ロマン派の作曲家たちは、どれもベートヴェン程の個性、或は幼少期を送っている人はいません。リースとベートーヴェンの中間くらい。となると、作曲家としては親近感を持つのはリースだと言えましょう。ベートーヴェンは巨匠すぎて、当時の作曲家達からすれば恐れ多い存在だったことでしょう(実際、リストの時代になると「楽聖」という評価が定まります)。リースは弟子を採らなかったことから音楽は忘れられたかも知れませんが、じつは影響力はベートーヴェンと一緒かそれ以上であったとも言えるのではないかと思います。

だからこそ、リースがかわいそうだったのは、師匠がベートーヴェンであったこと、だと思います。もし違う作曲家だったら、もっと早くに評価されていたことでしょう。でももしかすると、音楽に深みはなかったかもしれない。であるとすれば、リースはベートーヴェンとロマン派を繋ぐ役割を果たしたのであり、バロックから古典派に移る時代に、大バッハの息子達が果たした役割に匹敵すると言えましょう。もっと評価が高まってもいい作曲家だと思います。今後コンサートピースとして増えることを期待します。特にアマチュアオケの方には、奮起を期待しましょう!

演奏はそれぞれソリストが集まっており、実に優美です。リースの作品に対する愛情がこもっており、端正でかつしなやかで、生命力に溢れて居ます。思わず体をゆすってノリノリになってしまい、ひとりで聴いていてよかったなあと思います(笑)

え、コンサートでもゆすっているのでしょうって?まあ、その通りですが・・・・・いい演奏というのは、そういうものなのです。それはジャンルを問いません。どんなジャンルであっても、素晴らしい演奏は人の魂に響き、その結果体を動かすのです。それはクラシックでも同じであると言う事です。この演奏はそれだけのクオリティを持っていますし、それはさらに言えば作品が持つそもそもの生命力なのです。その生命力を巧みに弾きだしているこの演奏は、リース室内楽演奏の一つの基準となることでしょう。




聴いているCD
フェルディナント・リース作曲
フルート協奏曲ハ長調作品145-1
フルート協奏曲ホ短調作品145-2
フルート協奏曲イ長調作品145-3
ジョン・ヘリック・リトルフィールド(フルート)
アーロン・ボイド(ヴァイオリン)
アー・リン・ヌー(ヴィオラ
ヤリ・ボンド(チェロ)
(Naxos 8.570330)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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