かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:リース 弦楽四重奏曲

今月のお買いもの、平成28年12月に購入したものを御紹介しています。今回は銀座山野楽器にて購入しました、リースの弦楽四重奏曲集です。

そもそも、このCDはリースの弦楽四重奏曲全集の第1巻となっており、リースの室内楽作品の入門編としても素晴らしい物になっています。

さて、このブログでも何度かご紹介している、リース。あのベートーヴェンの弟子だった作曲家であることも、もう何度かご紹介しているかと思います。ナクソスの「運命と呼ばないで」で一躍有名になった作曲家です。

フェルディナント・リース
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9

ベートーヴェンが作曲し、その後幾多の作曲家が参考にしたであろう、16曲の弦楽四重奏曲のうち、幾つかの作曲現場を見ていたであろうリースも、弦楽四重奏曲を作曲しています。作品番号がついているのが6つ、ついていないWoO番号のものが3曲ありますが、このCDではそのうち、初期の作品であるWoO10と中期の作品であるWoO37が並んでいます。

言わば、WoOを先に紹介して、それを年代順で聴かせるという編集方針であることが窺えます。でも、師匠ベートーヴェンと同じで、WoOだからといって何かが足らないとかはなく、むしろ非常に素晴らしい作品となっています。が・・・・・

確かに、二つともベートーヴェンに似ています。それ故、恐らくリースの作品はその後歴史に埋もれて行ったのだろうと思います。しかし私の見立ては、他の作品を御紹介した時に言及しているように、むしろリースの作品こそ、前期ロマン派の作曲家たちに影響を与えたのだと考えています。リースの音楽は歴史に埋もれてしまったが、触発された、前期ロマン派を代表する作曲家達、シューマンシューベルト、そしてメンデルスゾーンなどは自分の音楽にとりいれて、自分の音楽として変形させて、次の世代へと受け継がれていったと思います。

しかも、ベートーヴェンと似ていると言っても、ベートーヴェンの中期様式です。それはリースがベートーヴェンの弟子だった時代が、ベートーヴェンの中期様式の時代で、晩年はすでに子弟関係を解除され、リースは自分の道を歩み始めていたからです。

つまり、当時の聴衆が「ベートーヴェンらしさ」と言った場合、中期様式を念頭に置いていたことが分かるのです。しかし、リースの作品にリスペクトしていたであろう、前期ロマン派の作曲家たちは、異を唱えます。特に、リストとワーグナーは第九に注目し、多くの人に聴いてもらおうと、ピアノ編曲をしたのでした。

それが後期ロマン派として花開いていくという歴史を見る時、リースの果たした役割は決して小さくないと私は思います。この二つの作品も決してベートーヴェンらしさだけを追求したのではなく、あくまでもリースの音楽として自然な音楽となっています。WoO10はさすがに若書きという旋律が第3楽章にありますが、WoO37は洗練されており、作品番号が振られていてもおかしくないのになあとさえ思います。その点では、作品番号が付いている作品も是非とも聴いてみたいと思います。

演奏はシュパンツィヒ四重奏団。若いソリストが集まったこのクァルテットは、とても生き生きと作品を表現し、作品自体が持つ新鮮さを浮びあがらせています。古典派からロマン派において、リースの音楽が果たした役割を、私たちに伝えているかのようです。

生命力溢れる演奏は、生きる喜びを音の隅々までに響かせて、思わず体が動きそうになります。リースはまだまだ、知られていない作品がありそうなので、今後も追いかけていきたいと思います。




聴いているCD
フェルディナント・リース作曲
弦楽四重奏曲ハ長調WoO37
弦楽失重奏曲変ホ長調WoO10
シュパンツィヒ四重奏団
(cpo 777 014-2)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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