かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:メンデルスゾーン 室内楽全集8

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、メンデルスゾーン室内楽全集の第8集までたどり着きました。この第8集には弦楽五重奏曲が収録されています。

メンデルスゾーンは弦楽五重奏曲を2曲書いています。初期の頃に作曲された第1番と、後半生になって書かれた第2番の二つですが、二つとも弦楽四重奏曲に負けず、素晴らしい作品です。

第1番は1826年に作曲された作品ですが、何度も手直しが入ったうえで現在の形になっています。それだけ、メンデルスゾーンが出来に満足しなかったと言えるでしょう。手直しがない作品も多いことを考えますと、それだけこの作品はメンデルスゾーンとしては若書きだと考えていたのだと言えましょう。

それを物語るのが、第3楽章はメヌエットで作曲されたが、それを破棄しスケルツォにしたという経緯です。確かに、第1番は若干前の時代、特にベートーヴェンあるいはモーツァルトの時代の様式が散見されることから、メヌエットをと考えたのでしょうが、やはり時代を考えて思い切ってスケルツォにしたのだと思います。

ベートーヴェンもそうでしたが、古典派の作曲家たちは自分よりも前の時代の作品を研究して作曲をするのが普通です。それは当たり前とも言えますが、メンデルスゾーンは弦楽五重奏曲においては、前時代の作曲家達を勉強しつつも、自分の作品は先進のものにしたと考えていいでしょう。

この第1番を聴きますと、メンデルスゾーンが保守的であるというのは、後の時代の人たちの単なる印象であり、実際にはその時代に置いては先進的な音楽を紡ぎだそうとしていたことが見て取れるかと思います。

弦楽五重奏曲第1番 (メンデルスゾーン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E4%BA%94%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%B3)

一方、第2番は1845年に作曲されただけあり、充実した内容となっており、聴くだけで喜びがあふれる作品です。

弦楽五重奏曲第2番 (メンデルスゾーン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E4%BA%94%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%B3)

メンデルスゾーンの生活に、いかに音楽とその仲間が重用であったかを示すエピソードであるとともに、その様子がストレートに音楽に反映されているように感じます。第1番よりはさらに音楽はロマン派的になり、シンフォニックになっています。

どちらも、メンデルスゾーンの内面を切り取ったかのような作品であることからしますと、メンデルスゾーンにとっても、この弦楽五重奏曲というジャンルは、サロンなど仲間のために作曲されたものであると言う点からは古典的ですが、その様式は古典派以降のものを採用していることからしますと、実に前期ロマン派であると言えます。メンデルスゾーンが活躍した時代を考えますと当然ですが、だからこそ豊潤とした「香り」が音楽全体から香るように思います。

演奏は弦楽四重奏曲の時にも出てきましたシャロン四重奏団に、ヴィオラのぺトラ・ヴァ―レを加えた5人。これがとっても豊潤な作品を正に豊潤に鳴らしてくれるんです!素晴らしいの一言です。喜びが詰まっており、第2番では解放され、アルバム全体がメンデルスゾーンの「仲間がいる喜び」を生き生きと示していると思います。

室内楽を聴く楽しみをまさにしっかりと聴かせてくれるものと言えましょう。




聴いている音源
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ作曲

弦楽五重奏曲第1番イ長調作品18
弦楽五重奏曲第2番変ロ長調作品87
ぺトラ・ヴァ―レ(ヴィオラ
シャロン四重奏団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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