かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ヴィヴァルディ 宗教音楽全集8

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、ヴィヴァルディの宗教音楽全集を取り上げていますが、今回はその第8集を取り上げます。

第6集から続いている、独唱とオケの組み合わせも、3回目となる訳なんですが、この第8集では主に晩課で使われる作品が取り上げられているとともに、校訂が入っていることから不完全な形で残されている作品が収録されていると言うことになります。

ヴィヴァルディは多作家でしたから、このように不完全な形で残されていても不思議ではありませんし、バッハなどそもそも不完全であることすらあります。例えばその不完全さを音楽学をフルに使って、鈴木雅明氏などは自ら校訂し、私達に演奏と言う形で提示するというわけです。同じことが行なわれているにすぎません。

それでも、ヴィヴァルディらしい、明るく、かつ深みのある音楽がそこには存在しています。そしてこの第8集に収録されている作品は、それほどオペラ的ではなく、宗教曲としての気品を持つものが多いのも特徴です。ヴィヴァルディがそもそもは司祭として宗教曲を作曲する立場にあった人であることを物語ります。その上で、ヴィヴァルディは平司祭として、世俗曲を圧倒的に残した人だったと言えるでしょう。

オケは第6集から引きつづきコンセルトへボウ室内管弦楽団ですが、第5集までのアカデミーといい、室内オケを選択したのは大正解だと思います。モダンオケであればバロックは室内オケのほうがいいというのが私の持論ですけれど、それにぴったりです。バロックらしい声楽重視の作品の本質がしっかりと浮かび上がると同時に、アンサンブルのバランスがいいので、聴いていても心地いいです。またこの特質は、作品の「心」をも私たちに語りかけてきますから、なぜかじんわり来るんですね。

日本でも、もっと室内オケがプロで出てくればいいのになあと思います。勿論ないわけではないですけれどもいまいち知名度が・・・・・って気がします。室内オケは古楽だよっていうのがあるのかもしれませんが、そんなことはありません。モダンだからこそ、室内オケだろうって思います。アンサンブルのバランスを見ればそれは明らかです。勿論、今はバロックの時代よりも技量が上がっていますから、比較的大編成でもいいかもしれませんが、それは果たして、作品の「心」を大切にしているのだろうかという気がします。大切にしたうえで、自らの魂を表現するというのが、本来の姿のような気がします。

その意味では、この全集はしっかりと「あるべき姿」を追及している、素晴らしいものだと思います。聴けば聴く程、ヴィヴァルディの音楽はモーツァルトへと繋がっていると感じます。




聴いている音源
アントニオ・ヴィヴァルディ作曲
サルヴェ・レジーナ ト短調 RV.618(校訂:ヴィットリオ・ネグリ
主の僕たちよ、誉めたたえよ RV.601(詩篇112、校訂:ヴィットリオ・ネグリ
主よ、あなたに感謝します RV.596(校訂:ヴィットリオ・ネグリ
アンティフォナ レジナ・チェリ(『天の元后」) ハ長調 RV.615(不完全、校訂:ヴィットリオ・ネグリ
マーガレット・マーシャル(ソプラノ)
ヨヘン・コワルスキ(アルト)
ニコ・ヴァン・デル・メール(テノール
アントン・シャリンガ―(バス)
ジョン・コンスタブル(オルガン)
ラファエル・アルペルマン(オルガン)
ジャケ・オッグ(オルガン)
シャーク・ゾーン(フルート)
ヘンク・セクレーヴェ(チェロ)
ヴィットリオ・ネグリ指揮
コンセルトへボウ室内管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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