神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、ヴィヴァルディの宗教音楽全集を取り上げていますが、今回はその第7集を取り上げます。
第6集から、オケと独唱という編成のシリーズになっていますが、これはすなわち、ヴィヴァルディが得意としたオペラ・アリアであるわけなんですね。
恐らく、ミサの途中に挿入されたものだと想像できますが、これらオペラ的なアリアと合うミサ曲とはいったいどんなものだったのだろうと、つい想像してしまいます。でもそういった系譜が、後にモーツァルトへと受け継がれていくわけなのです。
その系譜が一旦途切れるのが、ベートーヴェンであるわけなんです。勿論それは共和主義的思想がぼっ興したのと軌を一にしますが、単に共和主義だったからと言うのではベートーヴェンの場合説明つかないので、私はあまり共和主義と絡める話は最近しないようにしています。そんな単純なものではないんです、ベートーヴェンの内面性は・・・・・・
特に、明治的思想が色濃く残るわが国では、しないほうがベートーヴェンを比較的理解しやすいだろうと思います。ベートーヴェンは特に戦中から戦後にかけて、道徳的な観点で話されることが多いのですが、ベートーヴェン程失敗(恥ずかしいこと)を繰り返している人もいませんから・・・・・
それは、実はヴィヴァルディも一緒だったと言うことが、聴いて、調べてみれば一目瞭然である話で、私はヴィヴァルディを聴けば聴く程、新しい時代の扉を開いた人だったと感じています。まるで古典派のような協奏曲、モーツァルトへと真っ直ぐつながる、宗教独唱曲。音は確かにバロックですが、同時代の人たちからすれば奇異な音が響いているなと感じたことでしょう。
その意味では、この全集ではモダンオケを選択したというのは、ベストチョイスだったと思います。勿論、ヴィヴァルディはピリオドだって違和感ないです。バロック時代の作曲家であることは確かなのですから。それでも、モダンでも違和感がないどころか、むしろバッハよりもぴったり合ってしまうという先進性。そこに目を向ける評論家はいないように思います。けれども演奏家達はわかっているわけです。そりゃあ、構造を見れば決してバロックとは言い難いものが楽譜として目の前に呈示されているわけなんですから。
私達はそれを当たり前のように受け取っていますが、本当はすごい事なんです!ヴィヴァルディがどれだけ死に物狂いで作曲し、残したことだろう・・・・・・私はそれを想像すると、どこか心がキュンとします。
演奏は、淡々としている中で、特にソリストたちがどこか熱くなっているんですよね。まあ、後半がスタバトと讃歌ですからさもありなんとは思いますが、端正な演奏であってもどこかソリストは感情が滲み出るんです。それは知らないうちに私達聴衆を同じ地平へと連れて行き、心が「濡れている」ような状態になり、次第にじんわり来るんですよね。これが職人というものではあるんですが、ヴィヴァルディの作品には血が通っている、核たる証拠を呈示してもいます。こういった演奏こそ、私は好きなんです。何度でも聴いていたくなります。
聴いている音源
アントニオ・ヴィヴァルディ作曲
主の僕たちよ、誉めたたえよ RV.600
スターバト・マーテル ヘ短調 RV.621
賛美歌 汝の兵士らの神 RV.612
讃歌 聖なる功績 RV.620
マーガレット・マーシャル(ソプラノ)
ヨヘン・コワルスキ(アルト)
ニコ・ヴァン・デル・メール(テノール)
ジョン・コンスタブル(オルガン)
ジャケ・オッグ(オルガン)
ヴィットリオ・ネグリ指揮
コンセルトへボウ室内管弦楽団
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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