かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ロカテッリ ヴァイオリン協奏曲集

今月のお買いもの、平成28年8月のものを御紹介します。今回は銀座山野楽器本店にて購入しました、ロカテッリのヴァイオリン協奏曲集です。レーベルはダイナミック。

そう、以前ヴィオッティのヴァイオリン協奏曲全集を取り上げた時のレーベルなんです。そこから想像できるかとは思いますが、ロカテッリはイタリアの作曲家で、バロックから多感様式、そして古典派の時代に作曲をした人です。

ピエトロ・ロカテッリ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A8%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%82%AB%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%AA

様式的にはヴィヴァルディに似ていると言っていいかと思います。実際、このCDに収められた作品からは、ヴィヴァルディが確立した、古典的な協奏曲の様式がはっきりと見て取れます。

バロック時代の協奏曲は、基本的にはトゥッティとソロが交互に来るのが通常ですが、ヴィヴァルディはそれを自在にすることによって、さらに魅力的な作品を書きました。それが「四季」だったわけですが、このロカテッリの4つの協奏曲も、そのようにトゥッティもソロもありますが。、交互にと言うわけではなく、ランダムに並んでおり、古典派の協奏曲の様式に限りなく近い作品だと言えます。

活躍した時代が、バロック後期から多感様式の時代であればそれは当然だと言えます。ヴィヴァルディ、ヘンデル、そしてバッハ。こういった作曲家の影響を受けたと言っていい時代に生まれたわけですから、当然だと言えます。

この演奏の特徴は、何と言っても協奏曲が演奏されていること、なのですが、何のことを言っているか、これではさっぱりわからないかと思います。で、ウィキではこのように説明してくれていますので、このウィキの項目は信用していいでしょう。

「ロカテッリの作品は主に、熟知していた楽器ヴァイオリンのために作曲されている。最も重要な出版作品は、おそらく《ヴァイオリンの技芸Arte del violino 》作品3と、12のヴァイオリン協奏曲であろう。ロカテッリのコンチェルトは、長大なカデンツァの役割を負った、技巧的要求の高いカプリッチョ楽章が挿入されている。しかし現在この楽章は、コンチェルトから切り離して、それだけを演奏するのが通例となっているようだ。」

そう、通例ではそのカプリッチョだけが抜き出されて演奏されることが多いにも関わらず、このCDではしっかりと協奏曲の一楽章として演奏されている、という事なのです。となれば、それらカプリッチョが、協奏曲の一楽章として挿入されているという事はどういうことなのかを、聴き手に判断させるという事を意味するのです。

カプリッチョはヴァイオリン作品ではサン=サーンスのものが有名だったり、ヴァイオリン作品が数多く残されている分野ですが、技巧的な作品が多いのが特徴です。それはとりもなおさず、カプリッチョが演奏者の技量を誇る作品になっているとも言えましょう。このロカテッリの4つの協奏曲でも例外ではなく、急楽章である第1楽章と第3楽章が全てカプリッチョになっています。それはつまり、カデンツァが演奏者の技量を見せる部分であるという事が、顕在化されていると言ってもいいと思います。

つまり、当時の人は、プログラムを見れば、或は演奏を聴けば、ああ、ここは作曲者が演奏者に「魅せたい」んだな、と判ると言うわけです。それはとりもなおさず、ロカテッリが自分の技量を見せたいと思ったからにほかなりません。バロック期は演奏者と作曲者はほぼ同一だから、です。

ということは、技術をひけらかすだけではなく、その技術をどれだけ聴衆に魅力として伝えるかも考えなければならないことになります。その技術で、どれだけ自分の内面を表現し、魅せるのか。それが問われるのがこれらロカテッリの4つの協奏曲だと言っていいでしょう。

ヴァイオリン演奏はファントーニ。実に魅せてくれています。ヴァイオリンが甘く、かつ自在で奔放で、生き生きとしています。その上で、この演奏は指揮もファントーニで、まさしくバロック時代に近い編成となっているのです。オケとヴァイオリンとのかけ合いというか、そのバランスが絶妙で、躍動感に満ちています。

夫々のカプリッチョは技量を示すものですが、そこでファントーニも魅せてくれています。恐らく、時代的に多感様式の影響も多分に入っているであろう和音進行や転調が、ファントーニによって生命が与えられ、それはまるで仏の開眼供養のようです。そこにはっきりと、ロカテッリの世界が広がっていきます。

出来れば、全集でほしかった一枚です。




聴いているCD
アントニオ・ピエトロ・ロカテッリ作曲
ヴァイオリン協奏曲作品3-1
ヴァイオリン協奏曲作品3-7
ヴァイオリン協奏曲作品3-8
ヴァイオリン協奏曲作品3-12
ルカ・ファントーニ(ヴァイオリン、指揮)
リアレ・コンセルト
(DYNAMIC CDS7690)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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