かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ブルッフ 交響曲全集1

今月のお買いもの、平成27年11月に購入したものをご紹介いたします。今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入いたしました、ブルッフ交響曲全集2枚組の、1枚目をご紹介します。

このブログでも、ブルッフの作品を2度取り上げています。

マイ・コレクション:ベートーヴェンブルッフ ヴァイオリン協奏曲
http://yaplog.jp/yk6974/archive/389

神奈川県立図書館所蔵CD:五嶋みどりシベリウスブルッフ
http://yaplog.jp/yk6974/archive/887

いずれも、ブルッフ管弦楽作品であるということが、この全集を購入した一つの伏線となっています。ただ、言い添えますが、ブルッフが一番得意としたのは、実は声楽曲です。特に、合唱作品でした。

マックス・ブルッフ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%83%95

「コル・ニドライ」などはその典型的な作品なのですが、その素晴らしさは抒情性だと言えます。その特徴は、他のジャンルにおいても顕著であり、この交響曲全集に収録されている作品でも窺うことができます。

まず、1枚目の第1曲が、全3曲ある交響曲の内の第1作である、第1番です。1864年に作曲されたこの作品は、シューマンメンデルスゾーンの影響にあると言われており、献呈されたブラームスも喜びをもって献呈を受けたと言われています。

交響曲第1番 (ブルッフ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%83%95)

歌謡性という意味では、シューマンメンデルスゾーンの影響だと言えるでしょうが、かといって真似とは言えず、独創性に溢れた作品だと言えるでしょう。古典的な構成の4楽章形式で、ひたすら美しさが全面に出ている作品だと言えます。

個性的なのは、次の第2番です。

交響曲第2番 (ブルッフ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%83%95)

3楽章形式で、スケルツォがないという作品です。全楽章にソナタ形式が採用されているのであれば、そりゃあスケルツォを置かないよね〜って思いますけれど、当時の聴衆はそれが理解できなかったのかもしれません。少なくとも、作曲者本人はそのように分析したようです。

ただ、急〜緩〜急という、「シンフォニア」の形式を採用しているのはたしかです。これをどう判断するのかは、難しいところですが・・・・・

私は、思い切っていつもの持論を展開したいと思います。つまり、3楽章制を採るという事は、「自由」をどこかで標榜している、ということです。

フランスでシンフォニアが全盛だったころの楽章構成が3楽章です。特に19世紀末〜20世紀にかけての作曲者たちは、3楽章という構成にメッセージを秘めていました。さて、ブルッフもそうなのか?

一つの材料は、この作品がシンフォニアの構成を取りながら、全楽章にソナタ形式を採用しているという点です。中間の緩徐楽章は特にソナタ形式でなくてもいいのです。でも、ブルッフソナタ形式を採用しました。

前期ロマン派は、前時代の古典派が目指した「外見的美」を、「内面的美」へと転換した時代です。それは作曲家自身の自立と関係しています。その点では、ブルッフは自らの創作は決して形にこだわらないんだという宣言を、この作品でうたいあげたのだとすすれば、それは「形式という囚われ」から解放され、自由になることです。だとすれば。、3楽章形式を採用したのは、ごく自然な事であったと言えるでしょう。

こういった作品が、ブルッフが「コル・ニドライ」を作曲したというだけでナチスによって退廃音楽とされ、演奏禁止になって行きました。そしてそれは戦後も続いたのです・・・・・

ですから、ブルッフの作品はあまり顧みられることはありませんでしたが、この全集はマズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏です。しかも、旧東独の時代。

たしかに、ダイナミクスなどは不足していますが、かといってクライマックスは用意されていますし、第2番ではブラームス的な部分すらあります。ブルッフブラームスの支持者でしたので、なんら不自然ではないんですが、その特徴が、ゲヴァントハウスらしい「音」で再現されています。伸びやかで、快活で、これほど生き生きとした作品が並んでいるのかと、目をみはるばかりです。

これはナチスによって不当に貶められた作曲家だと言えますが、西側はそれを改めようとはしませんでした(それは語ると長いので端折りますが、アメリカの影響が大きかったと言えます)。そのアンチとしての演奏だとは思いますが、祖国の作曲家に対するリスペクトは半端ありません。第2番のクライマックスなどは、聴いていて涙が出そうです・・・・・

ブルッフという作曲家が、いかに優れた作品を生み出したのかを、すでに第1集で呈示しているこのCDは、只者ではないと言えるでしょう。




聴いているCD
マックス・ブルッフ作曲
交響曲第1番変ホ長調作品28
交響曲第2番ヘ短調作品36
クルト・マズア指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
(Philips PHCP-9171)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村