今月のお買いもの、3枚目は本当に今月買い求めましたものになります。ブルッフのヴァイオリン協奏曲です。アッカルドのヴァイオリン、クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏です。
ブルッフは、以前ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を取り上げた時にも取り上げております。
マイ・コレクション:ベートーヴェン・ブルッフ ヴァイオリン協奏曲
http://yaplog.jp/yk6974/archive/389
この時、私はブルッフのヴァイオリン協奏曲に関して、こう述べています。
この曲(第1番)がもつ霊感が私の心を捉えたのは事実だったと思います。第1楽章を前奏曲とするなど、形式的にも独奏的な曲ですが、それゆえにこの曲もしばらく封印してしまった時期があります。しかし、今再び聴き始めている曲でもあります。
この時取り上げたのは第1番で、ブルッフのヴァイオリン協奏曲では一番有名な曲ですが、実はブルッフはヴァイオリン協奏曲を3曲書いているのです。
マックス・ブルッフ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%83%95
そのため、以前から他の番号のも聴きたいと願っていました。そこで、横浜・関内のプレミア・ムジークで買い求めましたのがこの一枚です。
第1番と第2番には共通するものがあります。それは、アダージョ楽章に重きを置いているという点です。第1番第2番共に楽章数は古典的な3楽章で構成され、旋律もしっかりしているにも関わらず、その実は古典的とは言いがたい部分があります。それが、アダージョ楽章の重視なのです。
第1番では、第2楽章がアダージョですが、第1楽章はその前奏曲と位置付けられています。それが第2番になりますと、アダージョ楽章はなんと第1楽章に来ているのです。本来の第1楽章のような曲である第2楽章はレチタティーヴォとなっており、実際には同じ急楽章である第3楽章の導入として使われています。
ヴァイオリン協奏曲第1番 (ブルッフ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%83%95)
ヴァイオリン協奏曲第2番 (ブルッフ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%83%95)
実は、このブルッフのヴァイオリン協奏曲は第1番だけが突出して有名であることから、日本ではブルッフはヴァイオリン協奏曲を1曲しか書いていないように錯覚されることが多いように思われます。私はたまたま日本語解説付きのCDをまず持っていましたので幾つか書いているであろうことは知っていましたが、解説がない輸入盤でこういったものがあるのは、本当に助かりますね。
こういったCDが国内盤ではあるようでないのです。ブルッフならブルッフだけ、というのが・・・・・
そういう理由は、第2番なのです。アダージョ楽章は決して第2楽章と第1楽章がひっくり返ったのではありません。明らかに第1楽章として作曲されています。その上で、美しい旋律とドラスティックな展開。第1楽章の後の、まるで違う曲が来たのかと思ってしまうような第2楽章。それは下手をすれば大失敗に繋がるはずなのが、まったく違和感なく聴けるという、質の高さ。
演奏がいいということもあるでしょうが、曲が本来持つ魅力でもあるのだと思います。決してアッカルドは華美に弾きません。淡々と、しかし美しく弾いていきます。それでも、十分ドラマティックですし、特に第2番第1楽章の甘美で時として切ないメロディに、気高さを与えています。それはもちろん、曲そのものが素晴らしいが故に起こることは、多くのクラシックファンが経験として知っていることでしょう。
オケのゲヴァントハウスも素晴らしいサポートをしています。素晴らしいアンサンブルと、強いアインザッツ。それが素晴らしいアクセントとなって全体を貫き、ヴァイオリンとセッションしつつ、しかし決して前に出すぎない。絶妙の演奏です。
マズアも余計なことをさせていないように思います。ただでさえヴァイオリンが甘美でヴィルトォーソしているのですから、オケまでがそれをやってしまっては協奏曲ではなくなってしまいます。オケはオケ、ヴァイオリンはヴァイオリンという、互いの役割をきちんと果たしているように思います。
そのため、第2番の特徴である、クライマックスの第3楽章へ向かっていく、まるで高みへと昇っていくような印象を私たちにきちんと伝えてくれます。
さらに、このCDにはアダージョ・アパッショナート作品57とロマンス作品42が収録されていますが、どれも美しい曲です。しかし、その美しさだけに囚われないでくださいねというように、二つのヴァイオリン協奏曲が収録されているのは、さすが輸入盤です。ブルッフという作曲家の作品の一端を知るのに、とても素晴らしいテキストだと思います。
ブルッフはナチスによって退廃音楽の烙印を押された作曲家のひとり(ユダヤの血が混じっていると言われたため。ただ、確証はない)だったため、特に合唱曲は戦後になっても封印されたままになっているという不憫な作曲家だと思います。今後、是非とも第3番や合唱曲も聞けたらと思っています。古典派のような、しかし後期ロマン派の香りに包まれている、この二つの協奏曲は、私のお気に入りの一つになりそうです。
是非とも今後も、ブルッフの作品をご紹介できればと思います。
聴いているCD
マックス・ブルッフ作曲
ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26
ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調作品44
ヴァイオリンと管弦楽のためのアダージョ・アパショナート作品57
ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス作品42
サルヴァトーレ・アッカルド(ヴァイオリン)
クルト・マズア指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
(DECCA eloquence 442 9112)
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