今月のお買いもの、平成27年3月に購入したものをご紹介しております。今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、マリピエロの交響曲集をご紹介します。レーベルはナクソスです。
ちょっと最近、中古でもナクソス比率が多いなあと自分でも思っておりますが・・・・・いくら安くてたくさん買えるからと言って、棚は無限じゃないんですけどねえ。困ったもんです(って、全然困ったように思ってねーだろーという影の声が・・・・・)。
さて、マリピエロという名前も、このブログでは初めて出てきました。かなーりコアな所謂「クラヲタ」じゃないと、知らないのではないでしょうか。
ジャン・フランチェスコ・マリピエロ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%94%E3%82%A8%E3%83%AD
20世紀に活躍した作曲家で音楽学者です。モンテヴェルディとヴィヴァルディの校訂となると、バロック音楽にも精通していたと考えるのが普通ですし、実際若いころはバロック音楽を研究していた人です。
このディスクに収められている作品はそういう意味では旋律線が比較的はっきりしており、そこに不協和音が織り込まれているような作品が多いのが特徴で、ある意味まことにこの作曲家の特徴を知るのに十分な内容なのではないかと思います。
20世紀の不協和音全開の作品ながら、4作品が一つのCDに収められているときいたら、皆様はどんな反応を示すでしょうか。そんなのウソではないのかと、憤る人もいるかと思います。しかし、実際に4曲が収められています。その点からも、この作曲家の特徴が見え会隠れするように思います。
まあ、ウィキの文章を端的に言えばです、マリピエロという作曲家は、新古典主義音楽の延長線上にいる、ということです。新古典主義音楽よりはさらに現代に近い、所謂20世紀音楽と私が呼び定義する音楽に近いのですが、スタンスとして新古典主義音楽に近いと言えます。つまり、自国のバロック音楽の大家であったモンテヴェルディとヴィヴァルディの校訂者をも務めたほど、自国のバロック音楽を意識していたと言えます。作品にバロック音楽の特徴がどこかで反映されていても不思議ではないです。
で、一枚のディスクに4曲も入れられるほど、それぞれの作品の大きさは小さい訳です。まず、その小ささが古典あるいはバロック回帰ですし、3曲目の交響曲第8番では、3楽章制を取り入れています。1曲目の第3番では、旋律そのものがまるでバロックです。
バロックにこだわることがなぜ新古典主義音楽と私が判断するかと言えば、バロック時代、音楽の中心、つまり先進地域はイタリアもしくはフランスだったからです。つまり、自国の音楽が一番輝いていた時代がバロック期であるわけですから、バロック風にするということは祖国イタリアを隠然と称揚することであるからです。この「隠然と称揚する」のが新古典主義音楽の特徴だったわけですから、音楽としては20世紀音楽に限りなく近くても、形式からすれば新古典主義音楽とも言えるわけです。
つまり、19世紀から20世紀にかけての音楽を大切にした人だったと言えます。それ故、学生が新しいことをするのには寛容だったのでしょう。20世紀音楽全盛の時代に、時代遅れの新古典主義音楽を積極的に取り入れていくということは、なんでもありの世界であり、それは真っ直ぐ前衛と相通じる考え方だからです。
これは結構面白いです。古いように聴こえて実は新鮮な4つの交響曲を、ロシアのオケをイタリアの指揮者が振ることで作品自体が持つ「2つの要素の融合」が見事に実現されているように思います。
本当にクラシックという海は「大海」なのだなあと、こういう演奏を聴きますと実感させられます。
聴いているCD
ジャン・フランチェスコ・マリピエロ作曲
交響曲第6番「弦楽のための」
交響曲第5番「エコーによるコンチェルタンテ」
交響曲第8番「小交響曲」
交響曲第11番「バグパイプ」
アントニオ・デ・アルメイダ指揮
モスクワ交響楽団
(Naxos 8.570880)
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。