かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バッハ 管弦楽組曲1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回と次回の2回にわたり、バッハの管弦楽組曲を取り上げます。

この音源はCD2枚組で、今回は第1集を扱います。

まず、バッハの管弦楽組曲について説明しておきましょう。ケーテン時代あるいはそれ以前に作曲された作品で、組曲というよりは様式的には序曲集というほうが当時の、しかもバッハのカテゴライズに入る作品です。

管弦楽組曲
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E7%B5%84%E6%9B%B2

おや、そういえば、第5番については以前取り上げていませんかっていうあなたは、相当のこのブログの「ヲタク」ですねえ。はい、取り上げております。

神奈川県立図書館所蔵CD:大バッハの息子達6
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1076

この時、第1番から第4番まではいずれとりあげますが、と記述したのが、今回取り上げるこの音源なのです。そして、この音源を借りるきっかけになったのも、上記エントリでご紹介した音源がきっかけです。

もっと言えば、この管弦楽組曲は、私が小さいころ、父がエアチェックしてくれたNHKFMのものがきっかけになっています。オープンリールからカセットにダビングしてくれたものですが、カセットはすでに化石に近いメディアになってしまいました。となると、そのエアチェックした音源と同じものを私が持つことは困難であるわけです。

そこで、県立図書館で借りることとしたわけです。現在は古楽演奏のレヴェルが上がり、古楽演奏全盛です。それを否定しませんしむしろ私も古楽演奏は素晴らしいと思っていますが、その小さいころのノスタルジーを満たすのは、やはりモダンであるわけです。そのエアチェックした演奏がモダンでしたから。

となると、県立図書館で借りるのが一番手っ取り早いってことになるんですね。できれば、第5番が入っているものがいいなあと思ったのですが、なかなか見つからなくて、この時はこの第4番までが収録されているものを借りてきたのでした。

というのも、まず第4番までがどんなものかが分からないと、第5番を評価することってできませんよね?だからです。この音源と上記エントリで取り上げた音源とでかつて第5番までが管弦楽組曲であった時代の全容は、判るからです。

もう、勘のいい方ならお分かりかと思いますが、私は上記エントリを書いた時、今回取り上げるこの音源も同時に聴いているのです。だからこそ、上記エントリで私が「この作品はバッハ・ファミリーの共同制作だ」という意見になったのです。

バロックという時代、そしてバッハという作曲家の特色を考える時、やはり編曲や使いまわしという点を抜きにして考えることは出来ないと思っています。しかもそれは、他人の作品をではなく、自分がかつて作曲したものをですから、オリジナルであることは間違いないわけです。全くの新作とは言えませんが・・・・・

で、上記エントリの演奏は室内オケですが、この音源はフルオケです。このあたりがいまだ私の中で不満な点で、管弦楽組曲でも室内オケのものを探し中です。とはいえ、この演奏がだめなのかと言えば、決してそうではありません。フルオケでありながら、おそらく編成としては小さ目にしており、バッハという作曲家の時代を多分に意識したものとなっているのは好印象だと思います。

さらに、リフレインではpとなっており、古典派までの演奏様式に忠実で、フランス風序曲集であるこの作品が持つ、優雅さや知性、楽しさや喜び、そして美しさを、存分に表現し得いると思います。

え、そんな点だけが注目点なの?と言うかもしれませんが、これはとても重要な点です。以前から申し上げておりますが、音楽史において、それぞれの時代で演奏上注意する点は微妙に異なり、とくに古典派まではリフレインをpで演奏することが、作曲者のあたまの中にあり、それを念頭に表現をしているという点で、それは作曲家の「言いたいこと」と直結していることすらあります。

例えば、モーツァルトの第25番や、ベートーヴェンの第5番などを想起してみてください。どちらも古典派を代表する短調交響曲ですが、そのデモ―ニシュな世界を表現するとき、リフレインがpであることが、作品全体に緊張感をもたらしています。リフレインがpであることは、実はとても重要なのです。

古典派以降になると、それをあえて外した表現をします。例えばショスタコーヴィチなどはその頂点になりますし、さらに同時代ではポピュラー音楽ではロックやヒップホップなどが勃興して、リフレイン無視という作品が出てきますが、それも実は音楽史をきちんと理解したうえでの「反抗」であり、意味があることなのです。それは、音楽史を知っていないと理解しにくい点があるかと思います。

バッハのこのフランス風序曲の集大成、頂点である「管弦楽組曲」を聴くという事は、それ以降の作品がどんな意味を持つのかを理解するうえで、欠くべからざる作品であると私は考えています。だからこそ、この音源がきちんとリフレインをpで演奏するその姿勢は、高く評価するのです。




聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
管弦楽組曲第1番ハ長調BWV1066
管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1060a
ロス・ポプル指揮
ロンドン祝祭管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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