かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:オーケストラ・ダスビダーニャ 第20回定期演奏会2

今月のお買いもの、平成27年2月に購入したものをご紹介しております。今回は東京芸術劇場にて購入しました、オーケストラ・ダスビダーニャ第20回定期演奏会のCDの第2集を取り上げます。

第2集は大抵、メインが収録されていることが多いダスビのCDですが、この第20回定期演奏会も同様で、ショスタコーヴィチ交響曲第4番が収録されています。

ショスタコーヴィチ交響曲第4番については、すでにこのブログでもご紹介しております。

神奈川県立図書館所蔵CD:ショスタコーヴィチ 交響曲全集2
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1238

この第4番に関しては、様々な視点が可能であると思います。それだけ、ショスタコーヴィチの音楽は複雑である、と言えるでしょう。

例えば、以下のものはダスビの第20回定期演奏会でプログラムに載っていた、狂箪笥さんのものです。比べてみると面白いかと思います。

http://www5.ocn.ne.jp/~kuru/tako4.html

私は3楽章制に、狂箪笥さんは不協和音とリズムに、それぞれ注目していることが分かります。そしてそれぞれが、おそらくショスタコーヴィチのメッセージを受け取っているのだと思います。

さて、このダスビの演奏はそういった団員に上記URLでなされているだけの説明ができる団員がいるオケ故の、高いレヴェルが実現されています。不規則な変拍子をものともせず、第1楽章のダイナミズムは素晴らしく、鬼気迫るものがあります。それは私が紹介したバルシャイのものとあまり変わらないくらいで、演奏者たる団員の、気持ちが前面に押し出されています。

ppからffまでの表現は絶品ですし、全体的に私が言うところの「(3楽章制は)「自由」や「抑圧からの解放」を意味すると、私は説明してきました。言葉では問題があっても、楽章数で隠然と主張するやり方です。ショスタコも同じ意図をもって第4番を「社会主義者」として作曲した」点が、明確に示されていると思います。

この第4番を伝統と言う人はあまりいないように思います。ショスタコーヴィチの苦悩だけがクローズアップされているようです。勿論、それがいけないと言いたいわけではなく、「その苦悩が何処からいずるのか」を考え、作品を解釈するときに、この第4番は西洋クラシック音楽の伝統に立脚するものであるという点が、重要であると言いたいのです。

伝統に立脚することが、反体制派の烙印を押されてしまう・・・・・ナショナリズムの時代であった20世紀という時代を俯瞰するに、その時代に生きたショスタコーヴィチの心情はいかばかりだったことでしょう。ロシアを否定するならば、汎ヨーロッパを考えることになりますが、それも否定され・・・・・私はどんな音楽を書けばいいのだ!と叫びたかったことでしょう(いや、記録に残っていないだけできっと叫んでいると思います。当局にばれないように)。

その点では、モーツァルトがコロレド神父からの課題に則って、ミサ曲を生み出していたのとオーヴァーラップします。ともに苦しみの中から、自分の言いたいことを紡ぎだしていきました。そしてそれは、今私達の心をとらえて離しません。

ダスビの演奏は、とにかくアンサンブルが素晴らしく、どこを切り取ってもプロオケと遜色ありません。金管がその情熱ゆえにひっくり返りそうになりますが、アマチュアオケでよくあるような、アンサンブルが崩壊しそうになるということが一切ありません。だからこそ、ショスタコーヴィチの心の叫びが、私達聴き手に真っ直ぐ届くのです。

この第4番の演奏は、私はこのダスビとバルシャイ/WDRとふたつしか持っていませんが、正直甲乙つけがたいのです。WDRはドイツのプロオケです。それに、日本のアマチュアオケの演奏が、甲乙つけがたいのです・・・・・

これを我が国の誇りと言わずして、いったいなんでしょうか。ショスタコーヴィチは「赤」だから・・・・・なんて言っていると、「本当に誇れる我が国の文化」を、見失うことになりかねないと思います。

ダスビの演奏が、如実に示しています。断言します、この演奏は、日本の誇りです。ぜひ一度、ダスビのコンサートへ足をはこんでみてください。ライヴ演奏だけでなく、CDもコンサート会場でしか、手に入らないのですから。




聴いているCD
ドミトリー・ドミトリエヴィチ・ショスタコーヴィチ作曲
交響曲第4番作品43
長田雅人指揮
オーケストラ・ダスビダーニャ
(Kojima Recoding LMCD-2005)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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