かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:フィンジ チェロ協奏曲、エクローグ他

今月のお買いもの、平成26年6月の2枚目は、フィンジのチェロ協奏曲やエクローグを収録したナクソスのアルバムです。銀座山野楽器本店での購入です。

このCD、やっと手に入れることができました・・・・・

以前、フィンジはこのブログでもご紹介しています。その時もレーベルはナクソスでした。

今月のお買いもの:フィンジ クラリネット協奏曲他
http://yaplog.jp/yk6974/archive/764

上記エントリを上げたのはほぼ3年前ですが、フィンジはその直後店頭からまとまってなくなって行きました・・・・・

そしていつしか、店頭には並ばなくなってしまったのです。

実は、まず探していたアルバムは、今回購入したものだったのです。その当時、ちょうどクラリネット協奏曲にはまっていたこともあり、このアルバムを後回しにしてしまったのを、3年も悔やんできました。

しかし、運命とはいたずらなもので、全く思いもよらない時期にひょいと、見つかるものです。くよくよしたのを手放した途端、欲しいものを店頭で見つけることができるものですねえ。

このアルバムに収録されている、特に2曲目のエクローグと、最期の大幻想曲とトッカータは、以前ご紹介したアルバムに収録されている作品よりもさらに旋律線がはっきりしていて、音楽としてはさらに保守的になっています。しかし、フィンジらしさ、つまり絵画的かつ誌的な音楽はさらに強調されています。

1曲目のチェロ協奏曲は最晩年の作品であるだけに、不協和音も多用されている作品ですが、それでも旋律線ははっきりしていて、彼の音楽的特徴をきちんと備えている作品です。特に第3楽章は親しみやすい音楽となっているのに思わずびっくりするほどです。

とても長閑な音楽の中に、バランスのとれたチェロとオケの協演がなされており、1950年代の作品とは思えないですが、こういった作品を聴きますと、ある意味かのゴーストライターの作品を、必ずしも駄作とは言いがたいと思ってしまいます。

現代音楽といわれるものは、音楽史の中で究極の作品群だと思いますし、十分に音楽史の延長線上にあると思いますが、かといって旋律線がはっきりしている作品が古くさいのかと言えば、フィンジの作品を聴きますと、私はそうは思わないと断言します。先の和音がはっきりしているにもかかわらず、とても自分を和ませ、癒してくれる、安心できる作品たちです。

特に、第2曲の「ピアノと弦楽のためのエクローグ」はフィンジの代表作とも言われる作品ですが、甘い旋律が必ずしもこっぱずかしくなく、むしろ堂々としているのに感動すらします。そこにフィンジの辿りついた境地というものを、私は感じるのです。明鏡止水とも言いますか・・・・・

透明感と言った、まさしく絵画的でかつ詩的な音楽でありながら、何か一本筋の通っている、芯の強さを感じるのです。弱弱しさというか、とても優しい音楽でありながら・・・・・

第3曲目の「大幻想曲とトッカータ」も音楽史を踏まえた作品で、フィンジらしさを持ちながら、バロックに範を取った、知的な作品となっています。

これ等の作品からは、現代音楽とは何ぞや?という問いを突き付けられていると私は感じます。不協和音だらけの音楽だけが、現代音楽なのですか?と。

勿論、フィンジの音楽はすでに現代音楽というよりは、20世紀の音楽と言うのが適切だと思いますが、シェーンベルクなどから派生した音楽だけが20世紀の音楽ではないと、音楽自体が語っているように思います。現代音楽が20世紀音楽の延長線上にあることを考えれば、同時に現代音楽の定義に、一石を投じるものでありましょう。

ナクソスがチョイスするアーティスト群は端正さを前面に出すことが多いのですが、このアルバムでも一緒です。それが故に、素直に作品の魅力を聴き手が受け取ることができるように思います。雄弁に作品に語らせ、それが「現代音楽とは何ぞや」であると、私は感じているのです。

さて、読者の皆さんは、現代音楽をどう定義づけますでしょうか。是非とも、このフィンジの音楽を聴いて考えてみてくださいませ。




聴いているCD
ジェラルド・フィンジ作曲
チェロ協奏曲 作品40
ピアノと弦楽のためのエクローグ 作品10
大幻想曲とトッカータ 作品38
ティム・ヒュー(チェロ)
ピーター・ドノホー(ピアノ)
ハワード・グリフィス指揮
ノーザン・シンフォニア
(Naxos 8.555766)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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