今月のお買いもの、平成24年12月に購入したものをご紹介しています。今回はテレマンのターフェルムジークです。ピエテル・ジャン・ベルダー指揮ムジカ・アンフィオンの演奏。レーベルはブリリアント・クラシックス。新宿ディスクユニオン新宿クラシック館での購入です。
え、こんな有名な曲持っていなかったのですか?という声もあるかと思います。ええ、そうなんです、恥ずかしながら持っていなかったのです・・・・・
そもそも、テレマン自体、日本でなじみがあるのかどうかって部分、ありますね。バロックと言えばバッハやヘンデル、ようやくヴィヴァルディって感じですしね。でも、古楽好きな人たちにとってはテレマンは外すことのできない作曲家です。
古典派から始まった私のクラシック音楽への興味は、比較的早い段階でバロックへと移って行きましたが、それでもテレマンを聴くまでには至らず、ようやく最近になって辿り着いた次第です。恐らくそれは、クラシック音楽に過大な偉大さを求めていたためだと思います。
バロック音楽は、宗教曲以外は基本BGMです(いや、カンタータですらBGMかも知れません)。その一つの頂点こそ、このターフェルムジークです。
そもそも、ターフェルムジークってどんな意味なのでしょう?実は日本語に直訳すると、「食卓の音楽」なのです。
ターフェルムジーク
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%82%AF
そして、ウィキにある通り、けっしてテレマンだけが作曲したわけではありません。つまり、ターフェルムジークとは、音楽の一ジャンルを表わす言葉なのです。テレマンのが一番有名なので、結果テレマンが作曲した一作品として認識されるようになりました。
まず、ターフェルムジークの全体像を見てみましょう。勿論、ここではテレマンの、ですが・・・・・
ターフェルムジーク
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%83%B3#.E3.82.BF.E3.83.BC.E3.83.95.E3.82.A7.E3.83.AB.E3.83.A0.E3.82.B8.E3.83.BC.E3.82.AF
ジャンルの異なる作品が一堂に会し、それが3集に分けられ、それぞれが6曲から構成されているのが特徴です。3の倍数になっている点が特徴でしょう。そう、聖なる「3の倍数」です。如何にもバロックといった作品です。
私が購入したものは、ぜんぶで4枚に分かれています。曲順で収められていますが、時間の関係で第1集と第2集が各々2枚のCDに分割されているのは残念です。しかし見方を変えると、BGMなのにそれだけ長い時間の作品である、ともいえるわけなのです。
実際、1枚目は70分ほどの時間がかかります。しかし、時間はあっという間に過ぎていきます。え、もう終わったの?って感じです。
それは名曲である証拠であるとわたしは思います。拒否反応なしに聴けるというのは少なくとも、わたしにとっては受け入れ可能な音楽であることを意味しますし、また多くの人がそうであるからこそ、現代まで残って来たと言えるでしょう。
単なるBGMと侮るなかれ!
演奏するムジカ・アンフィオンはとても軽い演奏に徹しています。以前、わたしはバロックではなるべく演奏は軽めの方が曲の本質をとらえやすいと述べたように思いますが、まさしくそれを実践した演奏となっています。なぜヘンデルがこの作品の出版時に名前を入れることにこだわったのか、よく分かるように思います。
だって、テレマンの作品であり、自分のではないんですよ。それでも、テレマンの広告に応じたのは、テレマンという人の作品を高く評価していたからこそだと言えるでしょう。それはバロック期音楽の特徴である、舞曲が数多く取り入れられているからだとわたしは思います。
作品
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%83%B3#.E4.BD.9C.E5.93.81
所謂、テレマンはコスモポリタンだったと言えるでしょう。そのエッセンスが、ターフェルムジークには詰まっていると考えていいと思います。であれば、重々しい演奏よりは、軽めの演奏の方がいいわけです。現在のクラブミュージックとその点何ら変わりはありません。
1枚目は第1集の3つ目、つまり協奏曲までが収録されています。まず序曲ですが、ウィキやCDの記載では管弦楽組曲となっていて、実際その構成になっています。それがバロックの時代では序曲の形式でもあったわけです。そして、古典派やロマン派になるとそれがオペラと共に「序曲」というジャンルを確立することになるのです。
実際聴きますと、オペラの序曲のような雰囲気も持っています。その序曲が終わると次にクヮトゥオルという4重奏。室内楽の美しさが光ります。そして次が協奏曲。
ここまでくると、序曲の次になぜ管弦楽曲が来ないのかといぶかしげに思う方もいらっしゃるかと思います。それは実に現代的な発想です(それは間違っているということではなくて)。この時代、一番の花形はソリストですから、当然その花形が最初に来るわけです。
モーツァルトまでの時代は、交響曲がメインに来ることはなく、ソリストが演奏する曲がメインです。交響曲が序曲であったことはモーツァルトの交響曲全集を取り上げた時に触れたかと思いますが、まさしくターフェルムジークはそのものズバリなのです。
その音楽史の特色を押さえていると、バロック音楽、特にこのターフェルムジークはがぜん面白くなるのです。まず、いかにもバロック的なこの作品の特色を押し出すのに、ムジカ・アンフィオンの演奏はまさしく適したものだと言えるでしょう。軽めというのは、けっして悪いことではないのです。
聴いているCD
ゲオルグ・フリードリッヒ・テレマン作曲
ターフェルムジークより、第1集
序曲(管弦楽組曲) ホ短調 TWV 55:e1
クヮトゥオル ト長調 TWV 43:G2
協奏曲 イ長調 TWV 53:A2
ピエテル・ジャン・ベルダ―指揮
ムジカ・アンフィオン
(ブリリアント・クラシックス 92177/1)
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