かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:グラウプナー 協奏曲と食卓の音楽

今月のお買いもの、平成29年1月に購入したものを御紹介しています。今回は古楽かふぇイベント会場にて購入しました、グラウプナー作品のアルバムをご紹介します。

グラウプナーが出てきますのは、このブログでは2度目になります。その一度目こそ、そのイベントだったのですから。

コンサート雑感:古楽かふぇpresents ライヴアンドトーク B&G そのころドイツで、音楽家たちがみんな知っていた二人の巨匠 を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1544

Bはバッハではなくブクステフーデ、そしてGが、今回取り上げますグラウプナーです。この二人の作品を聴きますと、多分ドイツ・バロックの印象ががらりと変わるのではないでしょうか。

実際、会場で私自身が変ったからこそ、買った一枚でした。じつはもっと欲しかったのですが、予算の関係で泣く泣くあきらめざるを得ませんでした・・・・・2000円也。

ブクステフーデは、もう20年以上も前からBCJ、特に鈴木雅明氏が取り上げていますので、広く知られてきた感がありますが、グラウプナーはまだまだ。でもですよ、とてもワクワクする音楽なのですよ!

そのため、予算の中で優先順位を付けた結果、グラウプナーを購入することになったのでした。ブクステフーデは神奈川県立図書館にもありますが、グラウプナーは少なくとも私が知る限り、東京や神奈川の図書館に置いてあるという情報は知りません。それだけ、まだまだ知られていないんですね。

さて、グラウプナーがどんな作曲家だったのか、ウィキで申し訳ありませんが、もう一度おさらいしてみましょう。

クリストフ・グラウプナー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%95%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%97%E3%83%8A%E3%83%BC

バッハがトーマスカントルに就任するときに、その実力を高く評価し、プッシュしたのがグラウプナーでした。音楽としてはバッハほど厳しいものはないんですが、むしろイタリア・バロックをうまくドイツに導入した人と言っていいでしょう。聴いていて本当に楽しい!

バッハが舞曲を数多く作曲し、作品に取り入れていったのは、このようなバロック音楽の流れの中でであったということが、グラウプナーの作品を聴くことによって理解できるのは素晴らしいことだと思います。しかも、音楽を聴くことによる楽しさがある中で、です。それはとても重要だろうなあと思います。

面白くなければテレビじゃない・・・・・・そんなうたい文句がかつてありましたが、御ふざけだけが面白さではありません。特に知的好奇心を満たすという観点からは、なるほどと唸るものが本当の面白さだと私は思っています。グラウプナーの音楽にはその面白さが随所にあると言っていいでしょう。

このアルバムは、協奏曲と食卓の音楽、というタイトルになっていますが。食卓の音楽ってなに?って思うでしょ?CDは輸入盤のcpoなので、原題が書いてありますが、うん、確かに食卓の音楽、と書いてあります。イタリア語で・・・・・

で、ドイツ語だと何になると思いますか?そう、ターフェル・ムジーク、です。テレマンが作曲したものが有名ですね。

え、テレマン以外にも作曲しているんですかって?ですから、ターフェル・ムジークとは、「食卓の音楽」です。ね、グラウプナーも作曲しているでしょ?

ターフェル・ムジークは会食において演奏されるための音楽、ですから、サロン的要素を含んでいますが、このアルバムの編集者は多分にテレマンを意識しています。グラウプナーの「ターフェル・ムジーク」はある意味幾つかの小品が組み合わさっているのですが、テレマンのターフェル・ムジークはさらに、協奏曲が入っているのが特徴です。

ゲオルク・フィリップ・テレマン
ターフェルムジーク
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%83%B3#.E3.82.BF.E3.83.BC.E3.83.95.E3.82.A7.E3.83.AB.E3.83.A0.E3.82.B8.E3.83.BC.E3.82.AF

テレマンの作品はとにかく、ジャンルに関係なくまさに会食において演奏される音楽を詰め込んだものですが、グラウプナーはさらに絞り込んだと言えるでしょう。しかしこのアルバムは一見しますとグラウプナーの協奏曲集で、勿論そうなのですが、そこにしれっと「食卓の音楽」がカップリングされているのです。しかも2曲目に・・・・・これは、何を意味するのでしょう?

編集者があきらかに、テレマンを念頭に置いていることが明白なのです。そう、協奏曲集のカップリングとして食卓の音楽を集録することで、聴いている人は知らないうちに、テレマンのターフェル・ムジークを思い出しながら聴く・・・・・そういう効果がある訳なのです。

どれも生き生きとした作品ですが、テレマンの作品と比べてもまったく遜色ないですし、味わいも深いものばかりです。その上、ドイツの作曲家でありながらも、フランスやイタリアの香りすらします。それは協奏曲であろうが食卓の音楽であろうが差はありません。むしろ食卓の音楽ではより顕著だと言っていいでしょう。うん、これは北山女史が甘美だから好きって言うだけのものを持っているなあと思います。

演奏するのは、アカデミア・ダニエル。実は収録されている作品は全てグラウプナーが仕えたダルムシュタット城に楽譜が残されているのですが、発掘されたそれらをうまく編集して、生命力を吹き込み、作品が持つ生命力を見事によみがえらせています。さらに気品と爽快さも加わり、聴いていて楽しく、さわやかです。編成としては見事なまでにバロック的だと言える小さなものですが、その小ささがむしろ美しさに直結しており、余分な贅肉がそぎ落とされているのに、豊潤な響きが存在します。これぞバロックを演奏する団体だなあと思います。いいですねえ。

わたし自身も、マーラーの壮大な交響曲も好きですし、ブルックナーの重厚な交響曲も好きですが、こういった小さな編成のアンサンブルがかもし出す、豊潤な音色というのもたまらなく好きです。小さい編成なのに音楽はキラキラしていて、何度聴いても飽きないんです。それは作品そのものが持つ魅力でもありましょうが、演奏するアカデミア・ダニエルが、みごとなまでにソリスト集団であることを物語ります。その上で、しっかりとアンサンブルもする・・・・・

演奏者の作品に対するしなやかさを感じる演奏です。




聴いているCD
クリストフ・グラウプナー作曲
協奏曲GWV306
食卓の音楽GWV468
協奏曲GWV302
協奏曲GWV337
協奏曲GWV301
シャレヴ・アド=エル指揮
アカデミア・ダニエル
(cpo 777 645-2)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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