かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:テレマンの水上の音楽

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介していますが、今回はテレマンの水上の音楽と、協奏曲集をご紹介します。

テレマンと言えば、何と言っても有名なのは「ターフェルムジーク」ですが、そもそも、テレマンの音楽そのものが、バロックの集大成なんですね。その上でテレマンはそこに飽き足らず、新しい音楽を追求していった人でした。

ゲオルク・フィリップ・テレマン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%83%B3

ターフェルムジーク」はこのブログでも取り上げたことがありますが、テレマンターフェルムジークのような「エンサイクロペディア」としか見ないのであれば、それは違うんじゃないかって思います。もっと楽しい音楽を、新しい様式を追求する中で追い求めて行ったのが、テレマンであり、エンサイクロペディア(百科事典)というのはその結果ついてきたものに過ぎず、もっと言えばバックグラウンドの一つにすぎないわけなんです。

その証明ともいえるようなアルバムが、この音源だと思います。こういったアルバムを、小金井のような小さい市の図書館が持っているなんて、本当に素晴らしいと思います。

さて、水上の音楽と言えば、普通はヘンデルですよね?なのになんでテレマン?と思う方も多いかと思います。じつはテレマンはその人生の後半生をハンブルグで過ごしています。ハンブルグと言えば、今でもドイツを代表する港で、テレマンが生きた当時から貿易で栄えた町でした。

ハンブルク
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF

そこで作曲されたのが、今回のアルバム第1曲目に収録されている組曲ハンブルクの潮の満干」です。通称でテレマンの水上の音楽と言われる作品です。でも、ウィキの記述だけ見た人であれば、なんで「潮の満干」なのかって思いますよね?

地理に詳しい方なら、なーんだってことなんですが、実は、ハンブルクは河口から100キロと言っても、河口そのものなんです。ですから、実は潮の満干があるってわけなんです。それを題材にして作曲されたのが第1曲目の「ハンブルクの潮の満干」です。

ちょっと、以下のブログを覗いてみましょう。ドイツと言う国を語る時、実は商業的には運河抜きには語れないわけなんですが、エルベ川もその一つなんです。スメタナの「わが祖国」第2曲「モルダウ」で描かれるエルベ川はまだヴルタヴァ川なのでそれほどでもないんですが・・・・・

ドイツ再発見
エルベ川の流氷 [ハンブルク]
http://megimigi.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14

ライン川同様、コンテナ船が通っているの、わかりますか?テレマンが生きた時代も帆船がこのように北海からエルベ川を通ってハンブルクまで来ていたってわけなんです。その潮の満干はいわばハンブルクを象徴するようなもの。つまり、郷土愛からいずるものでもあるわけなですね。

ここで重要なのは、組曲ですから当然舞曲が順番に並んでいるわけなんですが、その一つ一つに標題が付いているんです。これってどこかで見たと思いませんか?そうです、「神奈川県立図書館所蔵CD」のコーナーで取り上げている、クープランの「クラヴサン曲集」と一緒なんです。

その上で、その後には協奏曲が並んで収録されています。それはまさにバロック的な協奏曲ばかり。となると、このアルバムが言いたいことは、次の通りとなります。

テレマンと言う作曲家は、古い様式を自在に使いつつ、新しいものを取り入れることに積極的な作曲家であった

ではなぜ、そのようになったのでしょう?先ず一つには、ハンブルク以前もハノーファの宮廷などが開放的な場であったこと。そして、後年務めることになったハンブルクの宮廷が、その街が貿易港出会ったゆえに、ヨーロッパのいろんな文化が流入する場であったから、です。ですから次第にテレマンも、進歩的な作曲家になった、と言うわけです。

後半の協奏曲たちのように、しっかりとバロックの作曲家なのですが、その一方で開明的な面を持っていたことが、第1曲目の「ハンブルクの潮の満干」で明らかになるってわけです。もっと言えば、ターフェルムジークだけがテレマンじゃないよ、ってことなんですね。

演奏も、編成的に小さ目にされていますが、そこは演奏するのがムジカ・アンティクワ・ケルン。プロ集団です。でも、実は借りてきたCDには編成表があって、それを書き写しているんですが、参照すると、一番大きいのは実は組曲ハンブルクの潮の満干」なんです。当時協奏曲こそ、メインのジャンルだったわけなんですが、それをしのぐということはどれだけテレマンの水上の音楽が特殊で、祝祭的色彩を持っているかが分かるかと思います。

一方協奏曲はすっきりとしており、対位法も少ないため、バロック的ではあるんですがどこか洗練されている感じがします。そのせいか、テンポはあまり揺らさず、アコーギクを見ることはほぼ皆無です。でもそのすっきりとしているのが、恐らくテレマンの音楽の魅力なんでしょうし、ゆえに一度は古典派に押されて姿を消したと言う訳でしょう。でも、その色はあせないことを、古楽集団であるが故の演奏でしっかりと私たちに呈示されているのが好印象です。

こういった芯のある演奏はいいですね。素直に耳をかたむければ、素直に楽しめます。





聴いている音源
オルグ・フィリップ・テレマン作曲
水上の音楽「ハンブルクの潮の満干」
協奏曲変ロ長調
協奏曲ヘ長調
協奏曲イ短調
リコーダーとヴィオラ・ダ・ガンバのための協奏曲 イ短調
協奏曲ト短調(リコーダーと2声のヴァイオリンのための)
ラインハルト・ゲーベル指揮、ヴァイオリン
ムジカ・アンティクワ・ケルン

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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