かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:バッハ リコーダー協奏曲集

今月のお買いもの、3枚目はバッハのリコーダー協奏曲集です。エリック・ボスグラーフのリコーダー、アンサンブル・コルデヴェントの演奏です。横浜関内のプレミア・ムジークで買い求めました。ブリリアント・クラシックスです。

おや、ヴィヴァルディに続いてですか!という人は、記憶力の良い方です。はい、以前同じ組み合わせでヴィヴァルディのリコーダー協奏曲集を、おなじブリリアント・クラシックスから出ているものを取り上げています。

今月のお買いもの:ヴィヴァルディ リコーダー協奏曲集
http://yaplog.jp/yk6974/archive/527

其れ以前にも、カール・フィリップエマニュエル・バッハフラウト・トラヴェルソの物も取り上げています。

今月のお買い物:C.P.Eバッハ フルート&オーボエ協奏曲
http://yaplog.jp/yk6974/archive/386

ヴィヴァルディの時にも触れましたが、リコーダーはかつての「フルート」でした。現代のフルートはかつての「フラウト・トラヴェルソ」です。私が小学生のころ、フルートは横笛、リコーダーは縦笛と言っていましたが、それはこういった歴史を踏まえてのことだったと、今では理解しています。しかし、横文字でいきなり習ってしまうと、こういったCDが出た時に「なぜ?」となってしまう可能性はあると思います。なぜ横に吹くフルートの作品を縦笛であるリコーダーで演奏するのだ!と。

このCDではさらに、横も縦も関係なく演奏しています。第1曲目の協奏曲ト長調はそもそもがオーボエ用の曲をリコーダーで演奏しています。世俗カンタータであるBWV215と教会カンタータであるBWV32から転用していますが、いずれもオーボエが使われている曲です。

さらにつづくもともと協奏曲であるBWV1055、BWV1053、BWV1059は実は原曲はチェンバロ協奏曲なのです。もう、横縦なんて関係なくなっています。

しかも、BWV1052から1059はそもそもが失われたヴァイオリン協奏曲で、そのうちBWV1053はさらにオーボエ協奏曲変ホ長調とも、フルート協奏曲ヘ長調とも原曲が推定されている曲です。BWV1055はオーボエ・ダ・モーレ、BWV1059はオーボエと、いずれにしても同じ曲が鍵盤、弦、木管と様々な楽器用となっているのが分かります。

バッハの作品はこういういろんな楽器用に編曲されていることに面白みがあります。同じ旋律であるはずなのに、楽器が違いますとまるで違う作品へと変わるんですね。だからと言ってその楽器の特性が失われてもいません。ヴィヴァルディの場合はまだ特性が近い楽器でした。しかし、このCDではヴァイオリンにチェンバロ、そしてオーボエです。オーボエは近いと言えども、チェンバロとヴァイオリンは全く違う特性を持ちます。しかし、それをリコーダーで演奏しますと、まったく遜色はありません。

勿論、原曲から移調されてはいます。BWV1055はチェンバロイ長調であるのに対し、このリコーダーは変ロ長調、BWV1053はチェンバロホ長調であるのに対しこのリコーダーはニ長調です。ただ、BWV1059はチェンバロ、リコーダーともにニ短調です。それで全く違和感ありません。

これって、どこかで似たものが記憶にありませんか?そう、モーツァルトのフルート協奏曲第2番です。

フルート協奏曲第2番 (モーツァルト)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88)

これは原曲がオーボエ協奏曲です。モーツァルトのやる気のなさが垣間見える作品ではあるのですが、そこには実は深い意味があるのではないかと思っています。それは以前モーツァルトのフルート協奏曲でエントリを立てた時にも触れています。

マイ・コレクション:ルーマニアのヴィルトォーソ達による「フルート協奏曲」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/697

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト管楽協奏曲集2
http://yaplog.jp/yk6974/archive/726

もし、これがモーツァルトの「バッハ・リスペクト」だったとしたら、私も「やる気がない」と言ったのは取り消さないといけないかもしれません。少なくとも、モーツァルトには「大バッハもこういった作品、残してますよね?」と、にやりとした顔で言われそうです^^;

その証左が、このCDに収録されている作品なのですから。

最後にはなんと、オルガンのコラールまでリコーダーで演奏しています。いやあ、もう縦横無尽です。確かにバッハもチェンバロをオルガンに編曲しているのはかなりあり、カンタータでも再演時などにそういった変更を加えていることがありますので、不自然な行為ではないわけで、実際音楽は全く不自然ではありません。オルガンの荘厳さがリコーダーでは清潔さへと変化し、曲が持つ別な魅力を私達に教えてくれます。

それにしても、ボスグラーフのリコーダーのなんと正確で縦横無尽なこと!義務教育で使った楽器が実は、素晴らしい独奏楽器であることを教えてくれます。



聴いているCD
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
リコーダー協奏曲ト長調(BWV215と32のアリアから再編成)
リコーダー協奏曲変ロ長調BWV1055
リコーダー協奏曲ニ長調BWV1053
リコーダー協奏曲ニ短調「BWV1059」
コラール「いと高きイエすよ、われらはここに集いて」BWV731
エリック・ボスグラーフ(リコーダー)
アンサンブル・コルデヴェント
(Brilliant Classics 94296)



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