かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バッハ ブランデンブルク協奏曲2

神奈川県立図書館所蔵CD、バッハのブランデンブルク協奏曲を取り上げていますが、今回はその第2回目です。後半の3曲を取り上げます。

第4番から第6番までは、3楽章形式で基本急〜緩〜急の様式を取ります。これはヴィヴァルディが確立した様式をそのまま継承した形になります。

東京書籍「バッハ事典」では、ヴィヴァルディを引き離すという文言がありますが、それには私は形式の点で異を唱えます。ただ、元々このブランデンブルク柜筝曲が「様々な楽器の協奏曲集」という題名であることを考えますと、その点では確かにヴィヴァルディを超えたと言えるかと思います。

ヴィヴァルディはあまり複数の楽器で協奏曲を書いていないのです。これはバッハのほうが若干時代が下るという点が有利なのだと思います。何よりもヴィヴァルディは、現代の協奏曲の様式を切り開いたパイオニアなのですから。その功績は揺るぐことはなく、その視点では明らかにブランデンブルクは古くさいものを持っていますから。

つまり、バッハは古くさい中に巧みに新しいものを取り入れたという事になります。ブランデンブルクで一番有名なのはこの第2集に収録されている第5番でしょうが、まさにその第5番こそこのブランデンブルクの中で一番最後に成立した作品であり、それゆえに古くさいどころか、むしろ今日の協奏曲と比べてもどこが異なるのかという様式を備えています。

第5番
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2#.E7.AC.AC5.E7.95.AA

それでも、この第5番も編成の視点から言えばコンチェルト・グロッソなのです。でも恐らく、ロマン派以降の作品を聴き慣れている方からすれば、普通の協奏曲でしょ?カデンツァもあるし、ってなるのです。それは間違っていません。その点こそ、この第5番の特徴です。

そういった作品が並んでいるのが、ブランデンブルク協奏曲なのであるということを知っていただけるだけでも、嬉しいなと思います。

ただ、この第5番でいえば、この演奏はモダンですからフルートが使われていますが、実際はフラウト・トラヴェルソなのか、それともリコーダーなのかは、厳密に言えば問題視したいなと思います。楽譜にただ「フルート」とあれば本来はリコーダーだと思うのですが、フラウト・トラヴェルソとあれば、フルートになるからです。これはモダンであっても差をつけるべきだと思っています。

というのも、リコーダーは決して現代でも廃れた楽器ではなく、実際に日本では学校教育でも使っている楽器なのです。だからこそ、モダンであってもリコーダーを使ってみるという冒険も、してみるべきだと思います。モダンだからフルートというのは、ちょっと安易かな〜って思います。

その点では、リリンクのこの姿勢はあまり評価できません。演奏は素晴らしいのですが、リリンクであるからこそ思い切ってリコーダーを使ってみるということをしてみてもよかったのでは?と思います。まあ、慣習ではフルートとなっていますからそれに従ったまででしょうが、それでも古楽演奏がメジャーになった今日では、ならば現代のリコーダ―で吹いてみる、というのもアリだと思います。ピッチに問題なければ、十分行けるでしょう。恐らく楽譜上では単に「フルート」とあるだけでしょうから、であれば当時はフルートの元祖であるトラヴェルソではなく、リコーダーで演奏したはずですから。

リコーダーで聴いたブランデンブルクは、いったいどんな音色になるのかを想像しただけでも楽しいです。バロックはそういった面白さに目覚めると、深いものがあり、ブランデンブルク協奏曲だけでもそんな材料を提供してくれます。「様々な楽器による協奏曲」だからこそ、そんな面白さが詰まっているのです。

借りてから今日まで、ブランデンブルク協奏曲は取りあえずこの音源だけでいいかなと思ってきましたが、やはり古楽演奏のも聴きたいなあという想いが湧き上がっています。さて、古楽ではフルートをどの楽器で演奏しているのでしょうか?楽しみです。

端正でかつ気品のあるリリンクの解釈は、そういった「欲」を目覚めさせてくれます。まあ、3つも4つも持つ必要はないかもしれませんが、モダンで一つ、古楽で一つは持っておくべきだなあという観点を思い起こさせてくれます。この点はさすがオーソリティ。脱帽です。




聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
ブランデンブルク協奏曲 全曲
第4番ト長調BWV1049
第5番ニ長調BWV1050
第6番変ロ長調作品1051
ヘルムート・リリング指揮
オレゴン・バッハ祝祭室内管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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