かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バッハ 複数台のピアノのための協奏曲1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回と次回の2回にわたり、バッハの複数台のピアノのための協奏曲を取り上げます。

バッハがピアノ協奏曲を書いているわけないだろう、という方もいらっしゃるかと思います。勿論、バッハは「ピアノ協奏曲」を書いたわけではありません。モダン楽器に置いては相当する楽器がピアノであるだけで、本来は勿論、チェンバロです。

ですから、本来は、複数台のチェンバロのための協奏曲とするべきところですが、実は演奏はピアノなんですね、これ。

この音源を借りたきっかけは、最近バッハの作品をピアノで演奏するということは珍しくなっています。ですから、現代の楽器であるピアノで演奏した場合も、聴いてみる必要があるのではないか、という事だったのです。

まず、バッハのチェンバロ協奏曲に関してはまだエントリを立てていないので、まずはこの曲集に収録されている作品をURLでご紹介することといたしましょう。3曲すべて2台のための作品で、まずは2台のピアノ(チェンバロ)のための協奏曲第1番ハ短調BWV1060です。

第1番 ハ短調 BWV1060
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AD%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F)#.E7.AC.AC1.E7.95.AA_.E3.83.8F.E7.9F.AD.E8.AA.BF_BWV1060

ウィキでは、オリジナルのものはバッハの作曲かはわかっていないとありますが、現在ではほぼバッハのものに間違いないだろうという結論に達しています(東京書籍「バッハ事典」P.420)。

それにしても、この第1番はまさしくバロック的な協奏曲であるわけですが、驚嘆するのは、オリジナルはオーボエとヴァイオリンのためのものとされているのにもかかわらず、調性はハ短調のままで問題がない点です。バッハの天才ぶりは、こういった点に随所に見られます。

このアレンジ能力は、古典派ではモーツァルトまで受け継がれたもので、モーツァルトの時代までは作曲家に普通に求められていた才能です。勿論、ベートーヴェンも持っていないわけではありませんでしたが、他人に左右されず作曲家が自立することを目指したため、あまり前面に出してはいません。

次に、2台のピアノ(チェンバロ)のための協奏曲第2番ハ長調BWV1061です。

第2番 ハ長調 BWV1061
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AD%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F)#.E7.AC.AC2.E7.95.AA_.E3.83.8F.E9.95.B7.E8.AA.BF_BWV1061

バッハなどのバロックの作品ではよくあることですが、第1楽章のテンポ指示がありません。ただ、バッハの時代は限りなく古典派に近い様式なので、急楽章と考えて差し支えないでしょう。実際、この音源でもその解釈で演奏されています。最初からチェンバロ協奏曲として作曲された作品とみなされており、それも第1楽章が急楽章と考えられるゆえんです。

最後が、2台のピアノ(チェンバロ)のための協奏曲第3番ハ短調BWV1062です。

第3番 ハ短調 BWV1062
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AD%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F)#.E7.AC.AC3.E7.95.AA_.E3.83.8F.E7.9F.AD.E8.AA.BF_BWV1062

この作品は明らかにバッハの旧作が元となっている作品で、第1楽章のテンポ指示がこれもないのですが、元となったBWV1043の第1楽章がヴィヴァーチェと急楽章であることから、同様に急楽章であろうとされ、この音源でもそう演奏されています。音は同じであっても若干違う部分があって、その差を楽しむのも一つの魅力でしょう。

以前も述べたことがあるかと思いますが、こういった作品はまさしく、旧作とどう異なるのかも楽しみ方の一つなのであり、バロックの時代の音楽の楽しみの一つであっただろうことは想像に難くありません。どのジャンルであってもこういった編曲ものが存在することが、物語っているからです。

そして、この3つを聴きますと面白いことが分かってきます。ピアニストはシフとゼルキンの2人ですが、特段奇をてらっていないにも関わらず、実はピアノとオケとのバランスが見事であるということに気が付かされます。

オケは室内オケです。それでソリストとオケとのバランスがちょうどいいのです。つまりは、ピアノだと室内オケ程度でちょうどよく、おそらくフルオケではバランスが崩れるであろうことを物語っているのです。それはさらに、第1番と第3番は原曲がチェンバロ以外の楽器のための作品ですが、明らかにオケとのバランスをかんがえた時、バッハ以外の作品と考えるためには、様式的にもう一つ何か証拠が欲しいという事なのです。

だからこそ、第1番に関してはバッハの旧作という事でまとまってきたのだと思います。バッハの作とは分からないとなると、ではなぜその疑いがあるのかを説明しなくてはなりませんが、ウィキではそこまで触れられていません。この点はあまり信じないほうがいいでしょう。まあ、ウィキですから仕方ないんですが・・・・・

残念ながら、ウィキ以外では参照できるサイトが無いらしく、他を上げることが出来ないのが残念なのですが、その代わりとして東京書籍の「バッハ事典」の記述も参考にしております。むしろ全体を俯瞰した時、そのほうが正確ではないかと考え、バッハに関してはその方針を取っています。

この3つの作品はまた、協奏曲の歴史上、独奏協奏曲と共に大きな役割を果たしているのですが、それはまた、第2集を取り上げる時に触れましょう。




聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
2台のピアノのための協奏曲第1番ハ短調BWV1060
2台のピアノのための協奏曲第2番ハ長調BWV1061
2台のピアノのための協奏曲第3番ハ短調BWV1062
アンドラ―シュ・シフ(指揮、第1ピアノ)
ピーター・ゼルキン(第2ピアノ)
カメラータ・ベルン

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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