かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:チェンバロで聴く平均律クラヴィーア曲集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から4回にわたりまして、再びバッハの平均律クラヴィーア曲集を取り上げます。今回は、チェンバロの演奏です。演奏はヘルムート・ヴァルハ。

つまり、ピアノとチェンバロとで、平均律クラヴィーア曲集を聴き比べたと言うわけです。「平均律」に関してはショパンを取り上げた時に説明していますが、でも、なかなかそのものは聴いていないわけでした。

そこで、どうせなら聴き比べてしまおうということで、借りてきたのがグールドから始まり今回から始まるチェンバロのシリーズ併せて7回の音源だった、というわけです。図書館では2点で計算されますから、特段問題ありません。

これが図書館の「力」です。できれば、CDを扱っている図書館ではこういったライブラリをお願いしたいなと思います。勿論、国立国会図書館行けば揃っていますが、閉架(館外貸し出し不可)ですから・・・・・

閉架の図書館だと、充実していることは往々にしてあるんですよね。音大でなくても、他の大学でもです(実際、私の卒業大学はそうでした)。でも、館外貸し出し可能の図書館では充実していないことが多いので、改善を希望する所です。

さて、まず一応グールドの時同様、ウィキの説明ページを掲示しておきましょう。

平均律クラヴィーア曲集
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%9D%87%E5%BE%8B%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%A2%E6%9B%B2%E9%9B%86

で、このチェンバロのシリーズは、4つに分かれ、第1巻と第2巻がそれぞれ2集づつに分かれています。これは聞く方にとってはとても参照しやすく、いい編集だなって思いますが、それは単に編集の都合だけではありません。演奏事態にそのヒントがあります。

第1巻第1曲目である、BWV 846 前奏曲はグールドとそれほど変わりません。変化が訪れるのはそれ以降です。テンポがとてもゆっくりとしているのです。かといって、重々しくななく、むしろ軽快さすら感じられます。

追い追い、それは語っていきますが、この演奏は、なぜ従来のバッハ演奏が、とても重々しく、精神性過多に陥り、本来バッハの作品群が持つ美しさや楽しさという点をスルーしてしまっているのかが、はっきりわかってくるのです。

チェンバロという楽器がどういうものか、挙げておきましょう。

チェンバロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AD

で、ピアノはと言えば・・・・・

ピアノ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E

どちらも同じ鍵盤楽器であるにも関わらず、じつはチェンバロは弦楽器と言えるものであり、ピアノは打楽器と言えるものなのです。その違いを理解してい演奏しているのか、そうではないのかということが従来の演奏における問題点だったと言えるでしょう。チェンバロは弦をはじくからこそ、その響きを十分に聴かせるためには、遅めのテンポが必要なのであり、それを打楽器であるピアノでやってしまうと、響き過ぎるという弊害が起きます。グールドのテンポ感はそこを十分に考証した結果であるという事が、この第1集ですぐに明らかになるのです。

つまり、チェンバロという楽器の特性から言えば、どうしても4集にするしかないとも言えるわけです。一方、ピアノはもう少し速く弾けるので、3集に詰めることができる、というわけです。

という事は、グールドのアルバムが出た時、その3集に分かれているということが、衝撃であったということは想像に難くありませんし、むしろそこに注目が集まったであろうと言えるわけです。で、このヴァルハもそしてグールドも、演奏において共通している点があります。それは、躍動感です。

テンポは異なるのです。にもかかわらず、いずれにも躍動感がある・・・・・それは、この平均律クラヴィーア曲集にも舞曲が含まれていることを意味し、そしてヴァルハ、グールド両者とも、舞曲が入っていると言う点を十分考慮していることを意味します。

そこに、バッハがこの作品に込めた想いがあるはずです。音楽が持つ本来的な楽しさの中に、深い思索や精神性や霊性を詰め込んでいく・・・・・二人とも、その点こそフォーカスをしているわけです。その意味では、精神性と内面を謳っておきながら、単に重々しいだけの演奏は本当に精神性を深めた演奏なのかという視点は、持っておく必要があるでしょう。

いきなり、このヴァルハの演奏は、私達にこの作品を聴く視点は本当に正しいのかという事を、グールドと共に突きつけるのです。




聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
平均律クラヴィーア曲集第1巻
前奏曲とフーガ第1番ハ長調BWV846 前奏曲
前奏曲とフーガ第1番ハ長調BWV846 フーガ
前奏曲とフーガ第2番ハ短調BWV847 前奏曲
前奏曲とフーガ第2番ハ短調BWV847 フーガ
前奏曲とフーガ第3番嬰ハ長調BWV848 前奏曲
前奏曲とフーガ第3番嬰ハ長調BWV848 フーガ
前奏曲とフーガ第4番嬰ハ短調BWV849 前奏曲
前奏曲とフーガ第4番嬰ハ短調BWV849 フーガ
前奏曲とフーガ第5番ニ長調BWV850 前奏曲
前奏曲とフーガ第5番ニ長調BWV850 フーガ
前奏曲とフーガ第6番ニ短調BWV851 前奏曲・フーガ
前奏曲とフーガ第7番変ホ長調BWV852 前奏曲
前奏曲とフーガ第7番変ホ長調BWV852 フーガ
前奏曲とフーガ第8番変ホ短調BWV853 前奏曲
前奏曲とフーガ第8番変ホ短調BWV853 フーガ
前奏曲とフーガ第9番ホ長調BWV854 前奏曲
前奏曲とフーガ第9番ホ長調BWV854 フーガ
前奏曲とフーガ第10番ホ短調BWV855 前奏曲
前奏曲とフーガ第10番ホ短調BWV855 フーガ
前奏曲とフーガ第11番ヘ長調BWV856 前奏曲・フーガ
前奏曲とフーガ第12番ヘ短調BWV857 前奏曲
前奏曲とフーガ第12番ヘ短調BWV857 フーガ
ヘルムート・ヴァルハ(チェンバロ

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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