かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:エルガー 交響曲第3番

今月のお買いもの、平成27年8月に購入したものをご紹介します。今回は、ディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、ナクソスから出ているエルガー交響曲第3番です。

エルガー交響曲は、2番まではあるのですが、第3番は未完に終わっていました。それを、エルガーの死後、補筆して完成させようという動きが出てきます。それによって完成されたのがこの第3番です。

交響曲第3番 (エルガー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%BC)

このウィキの項目を見てみると、ベートーヴェンの第10番よりは結構残されていそうです。だからこそ、4楽章完成できたのだと言えるでしょう。

エルガーと言えば、生きた時代のわりには、保守的な作品を生み出しつつ、不協和音も多用されている作品が多いのですが、この第3番は、あまり不協和音が賢著ではなく、後期ロマン派の香りがプンプンするものとなっています。

それでいて、どことなくさびしげな感じが、味が合っていいなあと思います。初め、エルガーらしくないなあと思うのですが、それは徐々に解消されていきます。

随所にエルガー自身の作品から引用されていますが、それは死期を悟ったからなのか、それとも何かほかに意図があったのかはわかりかねますが、エルガーが最後の交響曲であるという意識は持っていたように思います。全く同じ作り方を、ショスタコーヴィチも最後の交響曲でやっているからです。

交響曲第15番 (ショスタコーヴィチ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC15%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%81)

勿論、この二人の音楽は全く異なったものですが、最後の交響曲における作曲手法を見てみると、驚く程似ていることに気が付きます。となれば、この第3番はやはり、エルガーがはっきりと死期を悟っていることを意味するように思います。

最後、第4楽章では消えゆくように終わりますが、ウィキによると補筆者ペインはエルガー組曲『子供部屋』の「荷馬車の通過」にヒントを得たと言いますが、果たしてそれだけなのでしょうか?エルガーが死期を悟った最後の交響曲という意味合いからではないのかなあと思います。

遺族との関係がウィキでも触れられていますが、おそらく、ペインは補筆作業をする間、エルガーの遺族と幾度も話し合いの場を設けているはずで、そこで様々な議論がなされているであろうと推測できます。この消えゆくような最後は、最後の交響曲であるという遺族の意向である可能性も否定できません。その消えゆくというヒントを、組曲「子供部屋」から得たのではないかと、私は推測しています。

演奏はボーンマス交響楽団。音楽祭も開かれる都市であるボーンマスのオケであるからでしょうか、知的でかつアグレッシヴという、両立するには難しいものが見事に同居し、エルガーの素晴らしき世界が広がっています。それでいて、冷静さも存在しており、「情熱と冷静の間」のバランスが絶妙!指揮者がスコアリーディングをする際に、この作品の成立過程をきちんと踏まえているのだろうなあと思います。

イギリスのオケはロンドン・フィルやロンドン響、そしてBBC響などが有名ですが、ナクソスではいくつものそれ以外のオケが登場していますし、またこのブログでもそれに伴ってご紹介していますが、本当に素晴らしい!時には室内楽的で、時にはダイナミックレンジ一杯と、特にアンサンブルの素晴らしさは感嘆するしかありません。エルガーが祖国の作曲家だとは言え、第3番はまだまだ評価が定まっていない新しい作品です。それを見事に高いレヴェルで表現するのはさすがと言えるでしょう。

この演奏を超えるものが出てくるのを、期待して待ちたいと思います。それだけ、基準になりすぎるほどのクオリティをもっていると言えるでしょう。




聴いているCD
エドワード・エルガー作曲
交響曲第3番ハ短調作品88(アンソニー・ペインによる補筆版)
ポール・ダニエル指揮
ボーンマス交響楽団
(Naxos 8.554719)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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