かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バッハ二重協奏曲集

神奈川県立図書館所蔵CD、今回はバッハの二重協奏曲を取り上げます。しかも指揮は、私には珍しくカール・リヒターなのです。

この音源は二つの目的を持って借りました。一つは、バッハの同じ作品が違う楽器による演奏に代わっているのが一つのアルバムとなっているという事。そしてもう一つが、リヒターの器楽曲の演奏を聴いてみたいというものでした。

まず一つ目ですが、第1曲目がBWV1060a、第3曲目がBWV1060です。つまり、一緒の作品という事になっていますが、作品番号ではなく名称を挙げてみると・・・・・

ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調BWV1060a
2台のチェンバロのための協奏曲第1番ハ短調BWV1060

はい、違いますよね。これ、以前から私が述べている、バロックの楽しみってやつなんです。そのテクストで借りています。楽章構成や旋律はほとんど一緒ですが、楽器が異なることから細部は少し異なっています。それは独奏楽器の部分であり、オケ(ここではコンティヌオ)は全くと言っていいほどかわっていません。せいぜい移調されているくらいです。

そしてこの2曲は、すでにシフの演奏、指揮で取り上げています。

神奈川県立図書館所蔵CD:バッハ 複数台のピアノのための協奏曲1
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1211

この時はピアノだったわけですが、今回はもともとの楽器及び当時にならいチェンバロでの演奏という事なので、借りてみたというわけです。その上で、指揮はリヒターであるわけです。

ピアノなら完全にモダンですが、リヒターはモダン演奏の雄ですが、ここではチェンバロを使うという試みに取り組んでいます。この視点は、やはりさすがリヒターと言えるでしょう。

私がリヒターをあまりきかないのは、声楽曲においてあまりにも重すぎるという点であり、実際リヒターの演奏が悪いという理由からではないということは以前から申しておりますが、それはすでにこういった演奏を聴いていたから、という事に他ならないのです。

以前であれば、声楽曲の印象で器楽曲でも避けていたかもしれませんが、ここ数年は心境が変わって来まして、器楽曲であれば積極的に聴きたいという方針になっています。少なくとも、この音源の演奏を聴く限りでは、さほど重々しくありません。勿論、ピリオドにくらべれば多少重めではありますが・・・・・

それでも、舞曲系などは跳ねる様子を意識したような演奏になっていますし、やはり言葉が入ると変わってしまうんだな〜と思います。リヒターは私は器楽曲ならいいなと思います。

それと、リヒターがさすがだと思うもう一つの点こそ、第3曲目がチェンバロであるという点なのです。先週取り上げたリリンクのブランデンブルクでは、モダンフルートを使用し、リコーダーを使うという冒険(あるいはフラウト・トラヴェルソでもいいのですが)をしなかったわけですが、リヒターはチェンバロをモダンと一緒に演奏させているんです。それで実に遜色ないんです。

リヒターもオーソリティだなあと思います。こういった点は是非、リリンクも参考にしてほしいと思います。

最後に第2曲目のBWV1043ですが、これもシフでピアノ版であるBWV1062を取り上げています。つまり、この音源、シフの時にブックレット等で勉強したものを、さらにフィールドワークするために借りたのです。では、BWV1062の原曲はどんなもんかいな、というわけです。しかもどちらもモダンであるからこそ、比較しやすいというわけです。

実際に、BWV1043とBWV1062とでは、独奏楽器が異なるだけで、旋律までほとんど一緒という作品です。明らかな違いは調性だけと言ってもいいかと思います。それでも、全く遜色なく楽しめるのがバッハの能力と言っていいでしょう。器楽曲は声楽曲と異なり、あまり他者との関係がなくバッハが自らの演奏会のための書いたという側面が強いのですが、それでも使いまわすのはなぜかと言えば、他のジャンル、特にカンタータの作曲で忙しいからと言えるでしょう。限られた時間の中で面白いことを遣ろうとして、トランスクリプションということを実現したわけです。

しかも、バッハの時代になると、独奏楽器は単独ではなく、幾つかが混在するということがメジャーになってきました。それで、単に二重協奏曲と言っても、一つの楽器を複数だけではなく、異なる楽器を使うということもなされるようになってきたのでした。その上で、編曲もやってみると、どうなるのかという「わくわく」感もあったわけです。

このアルバムはまさしく、バロックの楽しみ方大全と言っても差し支えないアルバムなのです。




聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調BWV1060a
二つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043
2台のチェンバロのための協奏曲第1番ハ短調BWV1060
オットー・ビュヒナー(ヴァイオリン)
クルト・グントナー(ヴァイオリン)
エドガー・シャン(オーボエ
カール・リヒターチェンバロ
ヘートヴィヒ・ビルグラム(チェンバロ
カール・リヒター指揮
ミュンヘン・バッハ管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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