かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:アーノルド 交響曲全集3

今月のお買いもの、平成26年7月に買い求めました、アーノルドの交響曲全集を取り上げていますが、今回は第3集を取り上げます。

順番に来ているので、第5番と第6番じゃないの〜って言う方、ビンゴです。その通り、第5番と第6番を取り上げます。

この全集、番号順に収録されています。勿論、アーノルドもその順番で作曲したのです。

第5番は4楽章制を取り、これも速度指示は古典的な範疇に収まっていますが、実際の音楽はこれよりもまして20世紀音楽となっています。作曲は1960年。第4番と同じ年です。でも、全く雰囲気は異なり、映画音楽的なものがほとんどなく、愚直にまじめさが出ています。

こんな音楽も書くんだなあと。

じつは、第5番は金管の美しさから吹奏楽で演奏されることが多いようで、日本ではむしろ吹奏楽ピースとして知られているようです。

でも、フルオケもいいですけどね・・・・・・

とは言え、私も以前から管弦楽曲吹奏楽で演奏してみたらどうなるのかというのには興味があって、実はすでに幾つかCDを借りてきたり、購入していたりしています。購入したものはおそらく今年中にご紹介できるかと思います。かの名曲が合唱付きで伴奏がブラバンになったら!というものです。こうご期待!

さて、次に第6番ですが、1967年に書かれた作品で、3楽章制です。ナクソスの英語解説にはショスタコーヴィチへのリスペクトとあります。アーノルドの作品が単純ではないのは、こういった点からいずるのかも知れません。実際、第6番は3楽章制です。

二回も言及した「3楽章制」。実はこの後の二つの交響曲も3楽章制なのです。アーノルドが自由とか抑圧というものに、感心を寄せていた証拠でもあろうと思います。ただ、音楽は単純に英雄的なものではありません。第6番にしてもジャジーな面あり、本来オケでは使わないような、特に打楽器がさりげなく使われていたり、遊び心も存分にあります。

恐らくその「遊び心」という点にこそ、アーノルドの音楽が表現している自由と抑圧への抵抗なのだと思います。一見古典的な作品かと見えて実は異なる・・・・・そして、それを楽しむにはまさしく自由と抑圧を許さないという精神が必要である、と。

さて、抑圧が好きな人が楽しめるかなと、ひそかにひひひ笑いをしながら眉を吊り上げてニヤリとしているアーノルドの姿が目に浮かびます(笑)

実際、古典派がバリバリに好きだったころには、こういう音楽を私は楽しめなかったと思います。それは自分自身、何かを抑圧していたなあと思い起こしてみれば、なるほど、アーノルドが表現する通りなのだなあと思います。今では、古典派もそれ以前の音楽も、そして後期ロマン派から20世紀音楽、あるいは現代音楽に至る迄聴けるようになった自分としては、なるほどと感じ入ったり、抱腹絶倒したりしています。

実は、アーノルドの作品に出会ったのは某SNSのコミュですが、それもホフナング音楽祭なのです。ウィキのアーノルドの項目を挙げておきますが、その中に「大大序曲」とレオノーレ第4番とありますが、それこそアーノルド作曲の、ホフナング音楽祭のために書かれた作品なのです。

マルコム・アーノルド
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%89

こういったウィットさは私自身見習うべきだなあと、音楽を聴くたびに思います。兎に角、ホフナングのために書かれた作品は抱腹絶倒です。それを交響曲を聴いたうえで分析してみると、その抱腹絶倒さも、アーノルドが呈示する自由と抑圧からの抵抗の表現なのだなあと思います。

演奏は毎度端正ながらも、この第3集ではダイナミックさも合わさって、アーノルドの世界観を存分に味わせてくれます。イギリス本国のオケの演奏もいいみたいですし、少なくともホフナング音楽祭のために書かれた作品を聴いた範囲では素晴らしいですが、アーノルドが実際に込めた想いは何処まで反映しているのかな〜とは思います。

このアルバムはアイルランドのオケですから、イギリスとは必ずしも関係がよかったとは言わない国のオケなのです。それゆえに恐らく、アーノルドの音楽に真摯に寄り添えるのだと思います。ウィットに富むとは知的な作業なくしてあり得ません。感情とは一線を画し、「情熱と冷静の間」のバランスを取らねばなりませんが、それが毎度のことながら絶妙です。

勿論、交響曲もイギリスのオケの演奏も聴いてみたいと思いますが、さて、そのウィット(場合によってはそれは祖国をも笑い飛ばす)をどれくらい表現しているか・・・・・そのあたりがアーノルドの作品の演奏を評価するうえで、大切なんだよと教えてくれているように思います。

それはおそらく、現代日本人にとっても、重要なメッセージでありましょう。




聴いているCD
マルコム・アーノルド作曲
交響曲第5番作品74
交響曲第6番作品95
アンドリュー・ペニー指揮
アイルランド国立交響楽団
(Naxos 8.505178-3)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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