かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:ワーグナー 管弦楽曲集

今回のマイ・コレは、ナクソスワーグナー管弦楽曲集です。

ワーグナーと言えば、楽劇ですけれども・・・・・

リヒャルト・ワーグナー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%BC

幾つか、管弦楽曲も残しています。ただ、通常有名なのはそれでもやはり楽劇と関係が深いジークフリート牧歌であるわけなのですが・・・・・

それだけではないということを教えてくれるのが、このCDです。

とは言え、やはり愛国主義者のワーグナーですから、どうしても威勢のいい曲が主になってきます。

まず、第1曲目の序曲「ポーランド」は1836年ごろかそれ以前にに作曲されました。オペラ「婚礼」を作曲したころと言われています。ポーランドの歌謡を使い大規模な管弦楽曲に仕上げています。

2曲目は大祝典行進曲「アメリカ独立100周年行進曲」です。1876年の作曲で、ちょうどパルジファルを作曲していた頃です。フィラデルフィアで初演され、5000ドルが報酬だったそうです。晩年のワーグナーらしい重厚な和音による音楽ですが、ナクソスの英語解説にはどこにアメリカらしさを出しているかは全く言及がありません。

一方、「らしさ」が前面に出ているのは、第3曲の序曲「ルール・ブリタニア」です。1836年に作曲されたこの曲には、はっきりと「ルール・ブリタニア」の旋律が使われています。此方は逆に若き日のワーグナーらしいすっきりとした和音で、「リエンツィ」を彷彿とさせる激情的な音楽です。

4曲目は「皇帝行進曲」で、1871年1月に作曲されました。この年、プロイセン王ヴィルヘルム1世がドイツ皇帝に即位し、ドイツ帝国が成立することによってドイツは近代統一国家として歩み始めますが、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」でその必要性を説いたワーグナーとしては、この即位に曲をつけることになり作曲したのがこの曲です。

ヴィルヘルム1世 (ドイツ皇帝)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A01%E4%B8%96_(%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E7%9A%87%E5%B8%9D)

ニュルンベルクのマイスタージンガー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC

ワーグナーに詳しい人であれば、バイエルン王ルートヴィヒがパトロンなのにそんなことしてもいいの?という人もいるかもしれません。ドイツ帝国成立時、実はバイエルン国王はそのまま残されたのです。ドイツ皇帝とは帝国内の王が代表してなるようになっており、そのためバイエルン国王もその地位が残されたのです。いわば、帝国全土の内政と外交はドイツ皇帝、地方行政は各国王と言った感じです。

ですから、まったく問題なかったというわけです。ただ、ワーグナーの晩年はルートヴィヒ2世との関係でほとんど語れることが多いくらいですから、その中でドイツ皇帝のために作曲したというのはある意味珍しいかと思いますが、彼の政治的・文化的信念からすれば全く矛盾するものではなかったということなのです。

曲の内容としては対位法を使うなど、「皇帝のため」という意識が強い曲だと私は思います。弦楽器はレガートで気品に満ち溢れ、この点でもワーグナーがいかに愛国者であったかが分かる曲です。

演奏は香港フィル。え、香港・・・・・と思いましたが、録音は香港がまだイギリス領であった時代なのです。なるほど、アンサンブルは全く問題ないですし、ワーグナーの音楽を重厚かつきちんと鳴らしています。購入当時、偏見を持った自分を恥ずかしく思った次第です。

こういった曲を紹介してくれるのも、ナクソスならではですね。



聴いているCD
リヒャルト・ワーグナー作曲
序曲「ポーランド
大祝典行進曲「アメリカ独立100周年行進曲」
序曲「ルール・ブリタニア
皇帝行進曲
ヴァルジャン・コージアン指揮
香港フィル・ハーモニー管弦楽団
(Naxos 8.555386)



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