かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ジークフリート・ワーグナー 管弦楽作品集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から5回に渡りまして、ジークフリートワーグナー管弦楽作品集を取り上げます。

まず、第1集では、序曲が取り上げられています。が、その前に。ジークフリートワーグナーって、まさかあのワーグナーの親戚?って思いますよね。いや、親戚どころではなく、息子です。

ジークフリートワーグナー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%BC

和声的には父リヒャルトに倣ったものもありますが、全体的にはむしろ師事した父の弟子フンパーディングの影響のほうが強いように思います。父リヒャルトがほとんど楽劇しか書いていないのと比べ、息子ジークフリートは多作家だったことが特徴です。ただ、シンフォニストではなかったことは父リヒャルトと共通しています。

まずは第1曲目「いたずら好きの公爵」序曲。1900年に作曲された、彼のキャリアとしては比較的初期の作品です。そのためか、ところどころ父の楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」に似ている部分も散見されます。ただ、初期の作品で父と異なり喜劇を書いていたということは、息子ジークフリートの特徴ではないかと思います。やはり、息子は父を見ていろいろネガティヴなものを感じていたんだなあと思います。

本場ドイツでも、あまり演奏機会がない息子ジークフリート。確かに、父ほどのアクがないんです。この第1曲目「いたずら好きの公爵」序曲でもそれは顕著で、なるほど、これはあまり演奏されないだろうなと納得の行く音楽なのですが、かといって音楽的に優れていないのかといえばそんなことはなく、むしろ父よりも快活明瞭なその音楽は実に後期ロマン派らしい健全なものを持っています。あまり有名ではないからこそ借りてきたんですが、第1曲目からヒットエンドラーン♪

第2曲目が「平和の天使」序曲。なんとなく喜劇ではないなという和声が響き渡ります。第1次大戦前の1914年の作曲。なんとなく重苦しい雰囲気が漂います。

第3曲目が「マリーエンブルクの鍛冶屋」序曲。1920年の作曲で、これは一転して喜劇だろうとわかる音楽。まさに序曲そのものだなあと思います。父リヒャルトが「楽劇」にこだわり、序曲ではなく前奏曲としたのとは一転、そんなことには全くこだわらない息子です。

第4曲目が「神聖な菩提樹」序曲。1927年の作曲です。これは悲劇かなって思います。そうなると、ここまで喜劇と悲劇を交互に取り上げているということになります。しかも、年代順・・・・・

その順番に聴けば聴くほど、父リヒャルトの影響は少なくなっていきます。どうやらこの人、父の看板が大きすぎた人だったんだなあと思います。その割にはなにかやらかしているのは私生児だけなんですね。こんな作曲家も珍しいです。そりゃあ、トスカニーニも馳せ参じますよねえ。

指揮するはヴェルナー・アンドレアス・アルベルト。あまり知られていない指揮者ですが、ネットで検索してみますと、このジークフリートの作品を指揮することで有名なようです。ナクソスでもドイツのオケでやはりジークフリートの作品を指揮しているのが出ていますし。確かこの元音源はcpoだったと思いますが。このシリーズではラインラント=プファルツ州フィルハーモニー管弦楽団を指揮しており、シリーズ全体に置いてこのコンビで収録されています。

ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88

ラインラント=プファルツ州フィルハーモニー管弦楽団
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88%EF%BC%9D%E3%83%97%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%84%E5%B7%9E%E7%AB%8B%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%A3

クルレンツィスで盲目になってはいけませんよ。ドイツにはまだこんな知られていないいいオケがあるんですから。端正なアプローチですがなんとオケが芳醇なことか!しっかりとカンタービレするその演奏は素晴らしい!作品が持つ「父との距離感」が抜群に表現されています。いやあ、圧巻です、いきなり。好きな演奏です、はっきり言って。この第1集を聴けば、どうしても「再評価しようよ」って思いますもん。その説得力の強いこと!アインザッツやレガートの美しさ!「ジークフリートだって素晴らしい音楽を書いているよ!」というメッセージの力強さ!どれをとっても圧巻。

本当にもっとコンサートピースになっていい作曲家だと思います。例えばアマオケの皆さん、1プロにどうです?




聴いている音源
ジークフリートワーグナー作曲
歌劇「いたずら好きの公爵」序曲
歌劇「平和の天使」序曲
歌劇「マリーエンブルクの鍛冶屋」序曲
歌劇「神聖な菩提樹」序曲
ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト指揮
ラインラント=プファルツ州フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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