神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から2回にわたってベートーヴェンの弦楽三重奏曲全集を取り上げたいと思います。
1年ほど前、ヴァイオリン・ソナタから始まった私のベートーヴェン室内楽祭の一環として借りています。こういうのが間に入っているため、なかなかヴァイオリン・ソナタの2-1へ行けないのですよ〜
いや、とばしてもいいのですが、実際「借りた順」と一番最初に宣言したのですから、あくまでもその順番で行きます。ですから、ここで弦楽三重奏曲が来ることになりました。
そもそも、弦楽三重奏曲は以前ピアノ三重奏曲を集めていた時に、次は弦楽三重奏曲だなあと思って、ナクソスを買っています。
今月のお買い物:ベートーヴェン 弦楽三重奏曲集 第1集
http://yaplog.jp/yk6974/archive/280
この時にも、一回図書館で借りたと述べていますが、それが盤面状態が悪かったので聴けなかったため、買ったと申しました。
ところが、第2集がどんなに探しても、ない・・・・・ちなみに、買い求めたのは銀座山野楽器。待てど暮らせど棚には並ばずだったのです。
もちろん、ナクソスへ連絡して取り寄せてもよかったのですが、ナクソスは廃盤になることもしばしばなので、もしやと思い、実は図書館で再度借りることをずっと画策していました。
というのも、図書館には小学館からでた「ベートーヴェン全集」が備えてあったからです。そして、この全集はその中のものです。
しかし、決して買い求めたナクソスが無駄になったわけではありません。というのは、ベートーヴェンの弦楽三重奏曲は、なかなかネットでは解説がない作品なのです。ウィキにも一覧で出ているにすぎません。
ようやくネットで探した解説が以下です。
弦楽三重奏曲は、ねらい目
http://park10.wakwak.com/~naka3/str_trio.htm
これくらいしかないのです。この解説だけでもありがたいのですが、ナクソスがありがたいのは、帯に解説があることです。ナクソスの帯解説はセンセーショナルな時も有りますが、とても重要な情報を有していることが多いので、助かることもしばしばです。
しかも、この図書館のは実は番号順で、ナクソスも番号順です。そして、収録曲も作品3と作品8と全く同じ。だから、このふたつに関してはナクソスのCDに解説があるということなのです。そのため、重複してもいまだに保有し続けています。
まず、第1番と言われる作品8は、1794年に作曲されました。ベートーヴェンのウィーンデビュー間もない時期で、この一つ前はピアノ・ソナタの第1番です。ピアノ・ソナタ第1番の激しさに比べますと、とても穏やかで平明な曲ですが、随所に重音を使うなど、工夫の跡がみられる作品です。
それは第2番(番号に数えない場合もあり)とも言われる作品8にしても同じです。そして、いずれもモーツァルトのディベルティメントを念頭に置いて作曲されているということが特徴です。作品3(番号はいろんな振り方が存在するので、作品番号で呼ぶことにします)はモーツァルトのK.563と編成、調性、楽章数がおなじなのです。
弦楽三重奏のためのディヴェルティメント 変ホ長調 K.563
http://www.marimo.or.jp/~chezy/mozart/op5/k563.html
作品8も編成がおなじですし、楽章数も同じです。先人モーツァルトを意識して書かれたことは間違いないようです。
しかし、演奏を聴く範囲では、そのモーツァルトとはやはり違い、軽妙さの中に気高さも備わっており、最初からかなり気合の入った作品をたたき出しているなという印象を持っています。
アンサンブルも名手揃いですから悪かろうはずがありません。どちらも作品もところどころセッションの部分があり、そこが最高に素晴らしい!地味ですが、やはり時代というものを感じます。
作品8は弦楽三重奏曲でも名曲の誉れ高い作品9の3作に先立つ作品ということもあり、第1楽章で使った旋律が最終楽章でも出てきますが、同じようで同じではないという演奏も素晴らしいです。テンポは同じ、調性も同じですが、ニュアンスが若干異なります。そういった面も演奏しきっている点は唸ってしまいます。
特にチェロのロストロポーヴィッチは、地味ですが存在感ある演奏をし続けていまして、味わい深いです。
聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
弦楽三重奏曲変ホ長調作品3
弦楽三重奏のためのセレナーデ ニ長調作品8
アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)
ブルーノ・ジェランナ(ヴィオラ)
ムスティラフ・ロストロポーヴィッチ(チェロ)
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