かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:中央大学音楽研究会管弦楽部第66回定期演奏会を聴いて

今回は久しぶりにコンサート雑感をお届けします。今月は4回エントリを挙げる予定です。まず第1回目は、2度ほど取り上げております、中央大学音楽研究会管弦楽部の第66回定期演奏会です。

中央大学の「学友会」、つまり部活動に次ぐものという位置を占めるサークルである通称「中央大学管弦楽団」である中央大学音楽研究会管弦楽部ですが、お付き合いの長いオーケストラです。

このオケは最近めきめきと力をつけているように思いますし、今回もその期待を裏切らないでくれたのが嬉しかったです。

演奏前に指揮者のプレトークがありましたが、とても分かり易い説明でよかったです。何よりも、1プロと2プロが東西舞曲の比較であるという点を説明されていたのはとてもよかったと思います。

まず第1曲目は西洋の舞曲である、プッチーニの歌劇「ヴィルリ」から間奏曲「妖精の踊り」です。指揮者のプレトークで「西洋音楽は言葉にアクセントがあるためリズムがはっきりしている」というのはまさしくその通りだと思いましたが、その点をきちんと表現していたのには感心しましたし、驚きました。アンサンブルも素晴らしいですし、いうことなしです。

次に第2曲目が東洋の舞曲である、三木稔の「オーケストラのための《舞》」です。現日本センチュリー交響楽団の委嘱により1992年に作曲された作品ですが、ABAの三部形式を取りつつ、主に能や雅楽の舞曲の様式を西洋楽器で表現するという曲ですが、指揮者のプレトークでは「リズムがないので難しい」とおっしゃられていましたが、確かに旋律にリズムがない分難しい曲だろうと思います。しかし、実はリズムはしっかりとパーカッションでつけられています。

つまり、打楽器群を通奏低音とし、そこに他の楽器が旋律を担当するという構造なのですね。まるでバッハのような構造ですが、実は能や雅楽が同様の構造を取っていまして、三木氏の類まれなる才能を感じることが出来る名曲だと思います。それだけに、演奏会前日にお亡くなりになられたのは、日本のクラシック界にとって大いなる損失だと思います。

公式HP
http://www.m-miki.com/

プレトークで指揮者佐藤氏がエピソードとして挙げられていた「阿波方言の癖」が音楽に現われるいう点は、元合唱団員の私としてはとても興味深いなと思いました。できれば次回は三木氏がライフワークとしたオペラから序曲を取り上げてもいいような気がします。今の中大オケであればやれるでしょう。この曲ではリズムが少ない点をよく演奏しきって、魅力を引き出していたように思います。実際、三木氏の作品は私は初めて聴きましたが、彼の作品をどんどん聴いてみたいと思わせる名演でした。それは素晴らしいアンサンブルがなせる業でしょう。

さて、メインはチャイコフスキーの「悲愴」。人口に膾炙した名曲ですが、アコーギクが強い演奏でしたがとても端正で、それでいてとてもダイナミックだったのが素晴らしかったです。今回の演奏では、この曲がつい忘れられがちな特徴がよく表現されていたと思います。それはまず第1楽章ですが、ソナタ形式の主題展開部は、第二主題によって奏でられるという点です。素晴らしい演奏は数々ありますが、ついそこには注目しないんですが、今回の演奏ではそれが明確だったのがとてもよかったです。それでいてプッチーニでも素晴らしかったアインザッツとアクセント!さらに柔らかいタッチが表現力を豊かにしていました。

第1楽章では冒頭とてもゆっくりと始まるのに、アンサンブルが全く崩れないのはアマチュアらしからぬ素晴らしい点ですし、テンポが切り替わる部分、つまり第2主題が始まる部分ですが、そこからのドラマティックな点がしっかりとしたアンサンブルで表現されていたのがとてもよかったです。第2楽章では柔らかくてしなやかなタッチがホールを楽器として使いこなしている点が好感持てました。第3楽章はppからffまでだんだん盛り上がっていくスケルツォ。ここがしっかり演奏できていたのには鳥肌が立ちました。拍手が起きてしまったのは当然だと言えるでしょう。実際、私もブラヴォウをかけようかと思ったくらいです(実際にはアンコールでかけさせていただきました)。第4楽章はもう何を言えばいいのでしょう!私は慟哭の楽章と勝手に呼んでいるのですが、それが絶妙に表現されていまして、泣きそうになりました。

こう全体的にはとても素晴らしい演奏だったのですが、唯一残念だったのが、ホルンです。強く吹くときには問題ないのですが、ppやpの時に出だしの音程がやや不安定でした。合唱でもppやpはとても難しいのです。なぜなら、息のコントロールをしなくてはならないからです。どのタイミングで吸い始めどのタイミングで合わせ、そしてどれくらいの量を出し続ければいいのか、瞬時に判断しながら息を出さなければいけません。それは金管楽器でも一緒です。一度、どこかの合唱団に参加して歌ってみると、よくなるきっかけがつかめるかもしれません(私が初めて第九を歌った時、そのようにしていた人が合唱団員にいました。たまたま枠がいっぱいだっただけだったのですが、その後とても役に立ったと言っていたのを思い出します)。

アンコールの「エフゲニー・オネーギン」はホルンも含めすべてが素晴らしかったです。すでに悲愴でおなかいっぱいで、満足していたにも関わらず、興奮させてくれました(実は、すでに2プロで興奮していましたが)。

次回は、来年5月ということですが、是非ともその時にも時間が許す限り、聴きに行きたいと思います。



聴きに行ったコンサート
中央大学音楽研究会管弦楽部第66回定期演奏会
ジャコモ・プッチーニ作曲
歌劇「ヴィルリ」から間奏曲「妖精の踊り」
三木稔作曲
オーケストラのための《舞》作品114
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」
歌劇「エフゲニー・オネーギン」からポロネーズ
佐藤寿一指揮
中央大学音楽研究会管弦楽
平成23(2011)年12月9日、東京、墨田区、すみだトリフォニー・ホール



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