かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ポリーニの「ディアベッリ変奏曲」

今回の神奈川県立図書館ライブラリは、ポリーニが弾くディアベッリ変奏曲です。

ディアベッリ変奏曲は、ピアノ・ソナタと並ぶベートーヴェンのピアノ独奏曲の中でも重要な「変奏曲」の中でも特に有名なものです。

ディアベリ変奏曲
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%99%E3%83%AA%E5%A4%89%E5%A5%8F%E6%9B%B2

元々はディアべりによって企画されたものでしたがベートーヴェンは無視し、3年たった1822年になっていきなり3年前に提示された主題を使って作曲をはじめます。その時間が物語るのかどうなのかわかりませんが、実はこの曲は変奏曲としてはちょっとだけ異例の作品で、ウィキにもあります通り、途中で主題は完全に消え去って、ベートーヴェン独自の旋律に置き換わっています。

そのユニークさからか、ベートーヴェンのいわゆる「変奏曲」と言われている作品の中では異彩を放っているにも関わらず、かなり有名な曲となっています。

私は主題が途中から置き換わっていることから、まるで幻想曲のような印象すら受けます。しかし、形式的には確かに変奏曲なので・・・・・

それを、ポリーニはまるでそれがそもそも当り前であるかのように、しっかりと、しかししなやかに、かつ焦ることなくスピード感を持って自在に演奏していきます。一つ一つの音も大切に演奏されているのはさすが一流だと思います。そのことによって湧き上がってくる、変奏曲というバッハ以来の伝統を受けつぐ曲でありながらも軽妙な明るい世界。

実は、この音源で私は恥ずかしながら初めてベートーヴェンの変奏曲に触れました。そう、この音源を借りた目的は一つ。「ベートーヴェンの変奏曲が聴きたい」ただそれだけだったのですから。

ここまでベートーヴェンショパンと言った作曲家のピアノ作品を聴いてきましたが、その中ですっ飛ばしてきていると感じていたものが、実は変奏曲だったのです。バッハからベートーヴェンへ至る音楽の歴史を紐解くとき、管弦楽だけでなく、室内楽や器楽独奏曲でも変奏曲を聴きこむ必要があると以前から思っていました。

その機会がようやく訪れたと思い借りたのが、このディアべり変奏曲だったのです。ただ、私も何の下調べなしに借りたのですが、もし変奏曲というものにあまり明るくない方が借りようとするならば、私は止めます。いや、変奏曲であればもっとふさわしいものがありますと。つまりは、この曲は変奏曲としては独創的だからです。最初と最後は完全に違いますから(普通、変奏曲は最初と最後が同じでなくてはならないのです。その典型が、先日ご紹介したゴルトベルク変奏曲です)。

ポリーニのピアノがあまりにも素晴らしくて、一瞬この曲が変奏曲の中でもまさしく「変装している」曲であることを忘れてしまいますが、この曲は音楽史上まれな曲であるということは、頭に入れておいていいでしょう。

それにしても、ポリーニはどうしてこんなにも当たり前に弾くのでしょう。兎に角、音楽が軽いのです。かといって軽薄では決してないです。それはそもそも音楽が持つ性質もあるでしょうが、やはりポリーニ人間性もにじみ出ているような気がします。以前モーツァルトで聴いたコンチェルトのように、決して奇をてらわないその気質が、私はベートーヴェンにもマッチしていると思います。

なので、是非とも他の演奏も聞きたいと思い立ち、実際に借りているのですが、それはまた別の機会にご紹介するとして、今回はここで筆をおくことといたしましょう。



聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ディアベッリの主題による33の変奏曲 ハ長調作品120
マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)



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