神奈川県立図書館所蔵所蔵CDのコーナー、ブラームスの鍵盤楽器作品全集を取り上げてますが、今回はその第8集を取り上げます。
この第8集では、編曲ものが取り上げられています。え、習作なんですかって?そんな事はありません。ブラームス自身の作品をブラームス自身で編曲しているのです。
まずは、作品34b。もともとはピアノ五重奏曲ですが、このピアノへの編曲は破棄された弦楽五重奏曲が元になっています。
ピアノ五重奏曲 (ブラームス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E4%BA%94%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9)
基本的に、弦楽五重奏でもピアノ五重奏でもおなじになっていますが、細かい部分を変えている感じです。このソナタはその意味では、もともとの弦楽五重奏曲の雰囲気を楽しめる作品でもあります。
次が、有名な「ハイドンの主題による変奏曲」。これも実はピアノ版が存在し、作品56bとなっています。けれども実は、その収録されている作品56bこそが元々成立したものでした。
ハイドンの主題による変奏曲
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%B3%E3%81%AE%E4%B8%BB%E9%A1%8C%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%A4%89%E5%A5%8F%E6%9B%B2
聴きますと、なんら違和感がないんです。そりゃあそうです、そもそもが管弦楽版の元となったものなんですから。その意味では、ブラームスって人は室内楽から管弦楽へとオーケストレーションをするときにあまりいじらない人だなあって思います。
視点を変えれば、この「ハイドンの主題による変奏曲」が違和感ないってことは、そもそもはピアノのための作品として念頭に置いていた、ってことになります。ならば、オーケストレーションをするときにあまりいじっていないのも腑に落ちます。それは、これこそベートーヴェンを意識した作品だと言えるからです。
ピアノによる変奏曲は、バッハ依頼、鍵盤楽器に携わる作曲家たちの伝統です。特に有名なのがベートーヴェンです。そもそも、ブラームスもベートーヴェンを意識した作曲家です。主題は後にハイドンのものというのに疑義が出ており、どうやらハイドンの手によるものではないようですが、本質はそこではなくて、ブラームスが先人の作品を主題として変奏曲を書くという、ベートーヴェンに習ったことをやるという点なのです。
ベートーヴェンも、当時の作曲家やモーツァルトなど前の時代の作曲家たちの旋律を使って、自分の変奏曲を書いてきました。同じことをブラームスもやったまでに過ぎないんです。たまたまそれが、当時はハイドン作と言われていたものだったけれども、実は間違っていたようだって話なんです。ハイドンリスペクトって考えると間違ってしまうように思います。少なくとも、ブラームスはベートーヴェンリスペクトであり、その点から新古典主義音楽の曠野でもあったたわけなんですから。
ですから、作品はじつにブラームスらしいです。え、ずいぶん明るいけれどっていう人もいるかも知れませんが、ブラームスがくらいって言うのは私はあえて言えば悪しき習慣だと思っています。ブラームスはシャイですが完全なネクラじゃあありません。室内楽にどれだけ明るくしかも洒脱な面がでていることか!その沃野は限りなく広いと思います。もともとがピアノ曲だからこそ、ブラームスの別の一面が如実に現れていると考えてもいいでしょう。
演奏するは、前回と同じコンタルスキー兄弟。2つの2台のピアノのための作品を、端正に、しかし生命力溢れて演奏しているのはいいですね。得に作品34bでは歌っているのもいいです。ブラームスだって歌えるんです!いや、そもそもブラームスは多分に歌謡性をもっているよねって私は思っています。同じように考える演奏者たちがいるってことは、私にとってとても勇気づけられることです。こういった演奏が、ときに傷ついてしまう私を癒やしてもくれるのです。そうだよね、ブラームスって、ネクラっていうのは一面的すぎるよねって、コンタルスキー兄弟に共感して思わずスピーカーの前で頷く私がいます。
聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
ピアノ五重奏曲作品34による2台のピアノのためのソナタ ヘ長調作品34b
ハイドンの主題による2台ピアノのための変奏曲変ロ長調作品56b
アルフォンス&アロイス・コンタルスキー(ピアノ)
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
このブログは「にほんブログ村」に参加しています。
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村