かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ブラームス鍵盤楽器作品全集3

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、ブラームス鍵盤楽器全集を取り上げていますが、今回はその第3集です。

この第3集から、ブラームスピアノ曲の特色である、小品と変奏曲がずらりと並ぶことになります。特に最後の「パガニーニの主題による変奏曲」はどこかで聞いたことがあると思いますし、あの「のだめ」でも取り上げられている作品でもあります。

けれども、ブラームスはその特色故に、日本のクラシックファンからは虐げられてきた作曲家だとも言えるでしょう。なぜなら、偉大なシンフォニストは押しなべてピアノ・ソナタを数多く作曲しているからです。けれどもブラームスはピアノ・ソナタも3曲のみ、交響曲は4曲のみであるためか、ドイツ音楽が精神性とか言われる割には、その内省的で美しい作品たちが顧みられることは少なかったように思うのです。

その代表選手たちが、ピアノ作品群だと私は思っています。けれども、ブラームスは先人たちを意識しつつ、革新的なことにチャレンジした作曲家でもあります。その代表的作品が「自作主題による変奏曲ニ長調作品21-1」です。

ブラームス :創作主題による変奏曲 Op.21-1 ニ長調
Brahms, Johannes:Variationen über ein eigenes Thema D-Dur Op.21-1
https://enc.piano.or.jp/musics/1545

作品21-2とひとまとまりになってはいますが、実は作曲年は異なるんです。ただ、二つに共通しているのは、表紙やリズムは変れども、調性があまり変化しないことではないでしょうか。これはブラームスの革新性で、如何にブラームスが新しい時代を切り開こうとしていたかを物語るものです。

確かに、同じピアニストであったリストが交響詩という新しいジャンルを生み出したのとは対照的に、ブラームスは新しいものを生み出したと言うことはありません。けれども、既存のジャンルに新しい風を吹き込もうとしたことは確かです。ピアノ曲では理解しがたければ、合唱曲の「ドイツ・レクイエム」はどうでしょう?ドイツ語の歌詞によるレクイエムという発想は、ブラームス以前の作曲家にはなかなかないものでした。

むしろひとまとまりになって一貫性があるのが、最後の有名な作品である「パガニーニの主題による変奏曲イ短調作品35」です。

ブラームス :パガニーニの主題による変奏曲 Op.35 イ短調
Brahms, Johannes:Variationen über ein Thema von Paganini a-moll Op.35
https://enc.piano.or.jp/musics/212

二つの部分に分かれていますが、ともに同じ主題を使い、ダイナミックに変装していきます。かといって技巧をひけらかすのでもないのも、ブラームスらしいというか、私は温故知新の新しさだと思っています。それゆえにリストが皮肉の一つも言いたくなるのも無理もないと思います。

ブラームスのこれら変奏曲には、先人たちへのリズペクトと同時に、革新へのあくなき挑戦という二つをいかに両立させるかへの工夫が詰まっています。それに気が付けば、私にとってはどれも愛おしい作品たちばかりです。冒頭の4つのバラードも哀愁漂うブラームスらしい作品ですし、「ハンガリーの歌による変奏曲ニ長調作品21-2」も、ハンガリー舞曲集へと繋がる素晴らしい作品です。

そんな作品たちを、まずはギレリスが作品10の4つを、時にしっとりと時にダイナミックに弾いていきます。そして残りの作品21の二つと作品35の4つを、ヴァーシャーリが弾いています。え、ギレリスじゃないの?と憤る方もいらっしゃるかとは思いますが・・・・・

ヴァーシャーリ・タマーシュ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A5

それはそれは、生き生きと、このベテランが弾くのですよ!ヴァ―シャーリ時に49歳。実は私と・・・・・おっと!それは秘密にしておくことだぜ、そこのあんちゃん!そこんとこ、夜露死苦

いずれにしても、ヴァ―シャーリのピアノは冴えています。母国ハンガリーを題材にした作品21-2もそうですが、それとは関係ないリストの主題を使った作品36でもそうなのです。なんとダイナミックで生命力あふれることか!そのまるでロックンロラーな演奏は、時としておしゃれでもありますから、不思議な魅力を持つピアニストだと思います。ブラームスという、何となく土の薫りがする作曲家の作品をどのように表現するのかが明確かつそればバッチシで、特に作品36は何度聴いても飽きません。

こういった演奏がもっと聴けるといいなあって思います。




聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
4つのバラード作品10
自作主題による変奏曲ニ長調作品21-1
ハンガリーの歌による変奏曲ニ長調作品21-2
パガニーニの主題による変奏曲イ短調作品35
エミール・ギレリス(ピアノ)
タマーシュ・ヴァ―シャーリ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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