かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ブラームス 鍵盤楽器作品全集4

神奈川県立図書館所蔵CD、ブラームス鍵盤楽器作品全集を取り上げていますが、今回はその第4集を取り上げます。

まず1曲目は、室内楽ではおなじみの曲、なんです。あれ?これは弦楽六重奏曲第1番じゃないですか?と。そのとおりなんです。実は第2楽章だけ、作曲の年にクララへ献呈されるべく編曲されているんです。

ブラームス :主題と変奏(弦楽六重奏曲第1番より) Op.18b ニ短調
Brahms, Johannes:Thema und Variationen d-moll Op.18b
https://enc.piano.or.jp/musics/210

この曲の存在が、弦楽六重奏曲第1番の第2楽章に、いろんなエピソードがつくようになったきっかけだと思います。まあ、映画で使われたということもありますが・・・・・

弦楽六重奏曲第1番 (ブラームス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%85%AD%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9)

第2曲目が、シューマンの主題による変奏曲嬰ヘ短調。創意工夫に満ち溢れた作品ですが、後にブラームスはその姿勢を変えて、主題と関連付けるようになります。ただ、だからといって保守的になったのではないと私は思います。

ブラームス :シューマンの主題による変奏曲 Op.9 嬰ヘ短調
Brahms, Johannes:Variationen über ein Thema von Schumann fis-moll Op.9
https://enc.piano.or.jp/musics/1541

第3曲目が、今度はハイドンの主題によるもの。フーガもついている変奏曲で、ブラームスの出版されたピアノ曲のうち唯一のピアノ曲です。

ブラームス :ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ Op.24 変ロ長調
Brahms, Johannes:Variationen und Fuge über ein Thema von Händel B-Dur Op.24
https://enc.piano.or.jp/musics/211

さて、お気づきでしょうか?この第4集は、実はすべて変奏曲になっている、ということを。ブラームスの作品には変奏曲という、クラシックの伝統の上にある作品もあるってことです。これはすなわち、そもそもブラームスはピアニストだってことなんです。これ、日本のクラシックシーンでは忘れられがちです。こういう編集はさすがだなあって思います。元音源はドイツ・グラモフォンなので、当然といえば当然かも知れません。

演奏するは、今や指揮者として大成している、バレンボイム。かれもそもそもはピアニストなんですが、その彼がまだピアニストとして活躍していた時代の録音です。構造を大切にするとも言われていますが、ピアノ作品に関してはそれほど構造にこだわっていないのではないかって思います(それはこのあとご紹介することになるであろう、ベートーヴェンのピアノ・ソナタで詳しく述べたいと思います)。その証拠に、ここではテンポをある程度揺らし、アコーギクを存分に使っているんです。

構造というのであれば、もっと教条主義的にテンポを揺らしません。しかしバレンボイムは存分に揺らしているんです。自分の作品の編曲である作品18bはもちろん、主題が他の作曲家である、作品9と作品24も、なんです。主題はあまり揺らさず、変装になってから思い切り揺らすのです。ブラームスという作曲家がなんであるかを十分考えた上での、自己表現なのではないかって思います。

だからこそ、例えば作品18bは甘く切ないですし、作品9はシューマンとその妻クララへの愛に包まれ、作品24では名ピアニストでもあったハイドンへの共感に満ちています。愉悦と魂の喜びとが同居し、生命の歌を繰り広げています。なんと爽快なことか!

バレンボイムという指揮者は、ピアニスト出身の割にはフレージングを大切にする指揮者だと思います。それは自身のピアニストとしてのキャリアにおいて、カンタービレすることを心がけてきたからではないかと思います。そんなバレンボイムのキャリアを少し覗けるのが、この素晴らしい演奏だと思います。




聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
主題と変奏ニ短調作品18b(弦楽六重奏曲第1番変ロ長調作品18の編曲)
シューマンの主題による変奏曲嬰ヘ短調作品9
ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ 変ロ長調作品24
ダニエル・バレンボイム(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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