かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:メシアン オルガン作品全集1

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回から2回、メシアンのオルガン作品を取り上げたいと思います。

メシアンといえば、有名すぎるくらいな「トゥランガリーラ交響曲」がありますが、実はオルガン作品もヨーロッパでは有名です。

オリヴィエ・メシアン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%B3

メシアンの作品の特色でもある共感覚の音楽は、このオルガン作品でこそ顕著だと言えます。神学者でもあったメシアンは、オルガン作品をバッハのような圧倒的な音楽とだけ表現したのではなく、時には情景を、時には心理を、匠に音楽として楽譜に表しました。

まずはその特徴的な作品と言える「キリストの昇天〜4つの交響的瞑想」。1934年の作品で、そもそもは管弦楽作品でした。ただ第3曲だけはあらたにオルガン用として書き下ろしています。ppからffまでのダイナミックレンジが広い表現は、演奏者にも繊細な表現を要求します。

次が「栄光の御体〜復活の7つの短い幻影」。1939年の作品で、復活という、どう考えても異教徒である私からすればありえないと思う情景を、これも巧みに不協和音や通常和声を存分に使って、異世界を表現することでキリストの復活という「奇跡」を本物と表現しているのです。ある意味映画音楽のような雰囲気すらありますが、荘厳さと壮麗さは目を見張るものがあります。

この第1集ではこの2つ、合計11トラックが収録されています。まずはオルガン作品といえばキリスト教という感じでの収録になっていますが、そもそもメシアン神学者ですから、宗教的になるのは当たり前だと言えます。しかしこれは宗教音楽ではないんです。単なるオルガン作品です。宗教が題材になっているだけです。

そのためか、バッハのオルガン作品が持つようなドラマティックさ、ともすればそれは圧迫感すらありますが、それがメシアンのこの2つの作品には極めて少ないと言えます。それはバッハがひれ伏す人を心情と一緒に表現しようとしたのと違い、メシアンはもっと複雑でしかし統一された世界をキリストという題材で表現していると言えるからだと、私は思います。

演奏するは、サイモン・プレストン。オルガン奏者としては有名ですが、こういった人がメシアンを弾くのがヨーロッパなのだなあと、今更ながら思います。日本だとオルガン作品といえばバッハだけなんですよねえ。それでオルガン作品はバロック以降途絶えてしまった、それは共和革命によるものだと早とちりしてしまうんですね。確かにバッハ的な作品はいわゆる市民革命以後途絶えました。しかし、オルガン作品はその時代にあった様式に変化して、作曲し続けられて来たものなのです。その20世紀に行き着いた一つの到達点が、メシアンでした。

プレストンは、その点をじつにしっかりと捉えて演奏していると思います。ffの部分ではかなり力いっぱいに弾いていますが、決して力任せでもなく、しなやかです。ともすれば電子音楽のような色彩感豊かな作品が、いきいきとドラマになるんです!決して作品はドラマティックではないんですが・・・・・すごい。

こういう職人芸がプロですよね〜。端正に弾いているように思えて、じつに生き生きとのびのび弾いています。メシアンという作曲家の真の姿を、いきなり見せてくれていると思います。




聴いている音源
オリヴィエ・メシアン作曲
キリストの昇天〜4つの交響的瞑想
栄光の御体〜復活の7つの短い幻影
サイモン・プレストン(オルガン)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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