かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト ピアノ小品全集3

神奈川県立図書館所蔵CD、モーツァルト全集から、ピアノ小品を取り上げていますが、今回はその第3回目です。この第3回目でもまだ、変奏曲なんです。

その曲数、ピアノソナタにも匹敵する曲数を数えることに、皆様お気づきでしょうか。それだけ、モーツァルトはまさしく即興演奏、つまりは変奏曲が得意であったというわけです。

変奏曲の魅力、それは、出されたお題をどう料理(処理)して、さらにいいものにしていくかを楽しむことであると言えるでしょう。他のジャンルでいえば、例えば大喜利がそうです。出されたお題を如何面白おかしくして、会場を笑わせるかが勝負ですが、それと全く一緒です。笑うのではなく、魂が喜びを感じるか、楽しいとニヤリとするか、という違いがあるだけなのです。

お題をどう変化させるか・・・・・それは大喜利と変奏曲に共通するものです。モーツァルトの変奏曲はまさしく、大喜利により近いと言えるかと思います。

ただ、面白いというだけで終わるほど、モーツァルトは軽薄ではありません。この第3集に収録されている作品たちは、時として短調が入っていたりするので(シャックの「ばかな庭師」のリート「女ほどすてきなものはない」の主題による8つの変奏曲ヘ長調K.613)、腹を抱えて笑うというよりも、魂の喜びであったりとか、聴く者の愉しみだったりなどを追及する作品となっています。

そもそも、腹を抱えるような作品は私的なサロンでお下劣なものを書いていますので、こういった変奏曲を残した場面では必要ないのです。

マイ・コレクション:未検閲モーツァルト
http://yaplog.jp/yk6974/archive/972

音楽自体は、上で挙げたエントリでご紹介しているものとさほど変わりません。もう少しは上品だと言えるでしょうか。でも、着地点は異なるので、自然と楽しむことが出来、魂が喜んでいるのが分かるのです。

変奏曲は楽しい・・・・・そんなことを教えてくれる作品たちだと言えるでしょう。ベートーヴェンの変奏曲群も、その延長線上にあります。ベートーヴェンが追い求めた「喜び」は、多少モーツァルトとは異なるものでしたが・・・・・

ただ、1曲目の「グルックの『メッカの巡礼たち』のアリエッタ『愚民の思うには』による10の変奏曲ト長調K.455は、ベートーヴェンのものが持つような気品や気高さを持ちます。その上で、可愛らしさをも持つという、実に聴いていて爽快で、かつ喜びを感じる曲です。

ここまで演奏はイングリット・ヘブラーですが、本当に演奏に手を加えていないと言うか、音楽が淡々と流れていくだけです。しかし、モーツァルトの変奏曲が、そのライフワークの中で重要な意味を持ち、そして私たちに語りかけるのかを、十分に教えてくれます。1784年から89年に書かれたご紹介する作品たちは、実にモーツァルトがウィーンに出たあたりであり、まさしく変奏曲が要求されていた時期でもあると言えましょう。それにモーツァルトがどのような品質で答えたのかを、明確に示しているのがこれらの作品であるわけなのですが、その品質をしっかりと手を抜かずに演奏することで、モーツァルトの変奏曲が魂を喜ばすものであることを、実際に示しているのです。

モーツァルトのピアノ作品は、ソナタや協奏曲だけに非ず!という宣言の様にも、私には聴こえてくるのです。そしてそれは確実に、ベートーヴェンへと引き継がれ、さらに前期ロマン派における偉大な作曲家たちによって、さらに磨きがかけれていくのです。

だからこそ、こういった演奏、そしてその作品を聴くことは大切なことですし、クラシック音楽の「伝統」に触れる作業なのです。




ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
グルックの「メッカの巡礼たち」のアリエッタ「愚民の思うには」による10の変奏曲ト長調K.455
アレグレットの主題による12の変奏曲変ロ長調K.500
デュポールのメヌエットの主題による9つの変奏曲ニ長調K.573
シャックの「ばかな庭師」のリート「女ほどすてきなものはない」の主題による8つの変奏曲ヘ長調K.613
イングリット・ヘブラー(ピアノ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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