神奈川権利図書館所蔵CD、今回はドヴォルザークの弦楽四重奏曲全集の第5集を取り上げます。収録曲は第6番と第7番の2曲です。
この二つまで来ますと、ドヴォルザークらしさが多少出てきているような気がします。4楽章制という構成的にも冒険せずかつ民謡を取り入れながら音楽としてはドイツ的なものもしっかりと存在するという彼の音楽の特徴がここでは随所にみられるようになります。
ただ、旋律面でそれが前面に押し出されていないだけであって、第6番ですでにそれまでのベートーヴェンを意識したような音楽とは別のものとなっています。
この2曲は第6番が1873年、第7番が1874年の成立となっています。この時期のドヴォルザークはそもそも、あらゆるジャンルにおいて自分の音楽のスタイルというものが決まっていった時期に当たり、それが様々なジャンルに反映され始めていく時期に当たります。弦楽四重奏曲だけ見ればウィキの説明通りになるのかもしれませんが、もう少し俯瞰してみると、ちょっと的外れな部分もあることに気が付かされます。
四重奏曲
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%AF#.E5.9B.9B.E9.87.8D.E5.A5.8F.E6.9B.B2
こういった順番に聴くという作業は、一見意味がないように見えますが実はその作曲家の音楽を理解するうえでとても大切な作業だと思いますし、演奏家はそういった作業をして常にコンサートあるいはレコーディングに望んでいるということを聴衆である私たち自身も知るとても有益な作業だと思います。
ですので、私はつねに順番に聴くということにこだわるわけなんです。もちろん、順番でなくても知ることのできることはたくさんありますが、順番(もっと言えば成立順)に聴くということは、その作曲家の成長の跡をたどることになるわけですから、その作曲家が人生においてどのような音楽観、あるいは美意識を持っていたのかを理解することにもなりますので、自分の視野も広がるわけなのです。
ドヴォルザークの人生を弦楽四重奏曲に照らし合わせてみますと、当時の音楽論争とプライヴェートとが絡み合って、その美が成立していることに気が付かされます。できれば宗教曲を聴きますとそれはもっと顕著かと思います(それはまたその時に触れます)。
メロディーメーカーと一言で言われるドヴォルザークですが、しかしその音楽には人生がしっかりと刻まれていることに、弦楽四重奏曲では気づかされます。それはやはり、そもそもがベートーヴェンの弦楽四重奏曲を手本としたからなのではないかと、私は思います。
聴いている音源
アントニン・ドヴォルザーク作曲
弦楽四重奏曲第6番イ短調作品12 B.40
弦楽四重奏曲第7番イ短調作品16 B.45
プラハ弦楽四重奏団
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