かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ドヴォルザーク弦楽四重奏曲全集7

神奈川県立図書館所蔵CDドヴォルザーク弦楽四重奏曲全集の今回は第7集です。第10番と第11番が収録されています。

この2曲はいかにもドヴォルザークらしい雰囲気が漂っています。第11番は幾分それが弱まっていると言われていますが、確かに第10番に比べればそうかもしれません。しかし、どちらも所謂ドヴォルザークの音楽が持つ「スラヴ的と西洋的が混在するという個性」というものに彩られています。

四重奏曲
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%AF#.E5.9B.9B.E9.87.8D.E5.A5.8F.E6.9B.B2

弦楽四重奏曲第11番 (ドヴォルザーク)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC11%E7%95%AA_(%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%AF)

第10番が1878年、第11番が1881年に完成しています。第10番は初演が1879年、第11番は不明となっていますが、ウィーン初演は1882年です。

この二つを見ても、スラヴ的というのは旋律であって、形式的には古典派からの伝統の上にあることが分かります。つまり、国民楽派というのは基本的には民族の旋律を表に出す運動であった、ということを私たちに教えてくれます。それが形式の上でも民族色を出そうとなるのは、シェーンベルクなど伝統的なクラシックの「決まり事」をも破壊しようという運動を待たねばならなかったのです。それは決して民族主義から出発したわけではありませんが、結果民族主義と深いつながりを持つようになります。その考え方はやがて、チェレブニンを経由して戦後日本の音楽界へとつながっていきます。

しかし、このドヴォルザークの音楽はそこまで「民族意識」に囚われているわけではありません。ドヴォルザークの音楽は、いわば日本でいう「和魂洋才」に近いものです。基本的に音楽は後期ロマン派の上に立ちつつ民族色の強いものでした。形式的には素晴らしい作品が弦楽四重奏曲第1番から第7番まで並んでいることからも、それはあきらかです。

この点から言えば、ウィキの指摘は何らかのバイアスがかかっていると考えていいでしょう。確かに第7番までは旋律面においてドヴォルザークらしさというものは薄いものです。しかし、国民楽派としてではなく、後期ロマン派として見た場合は、まったく違った面がそこには見えてきます。いろんな先達の影響を受けながらも、ボヘミアの作曲家として己の音楽を確立しようとしているドヴォルザークの工夫が随所にみられます。

しかし、彼がその個性を確立させるようになる基礎は、結局自らの民族の血にあった、ということだったのだということが分かっていないと、なぜ第7番までは個性がないのかということが理解しにくい一文であると思います。

ボヘミア人としての自覚と、自らの出自、そしてその出自ゆえに西洋の伝統も大切にしようとする姿勢。この3つこそ、ドヴォルザークの音楽の神髄であると私は思います。それがドヴォルザークの説明文から読み取れる人でないと、「個性がない」というのはどういうことなのかが分からないことになってしまうでしょう。

その意味でも、私はここまで聴いてきても少なくともドヴォルザーク弦楽四重奏曲に関してはぜひとも全集を聴いてほしいと思います。持つのが面倒くさいのであれば、是非ともこういった図書館のライブラリを利用し活かしてほしいと思います。

なぜ図書館はこの名盤をもっているのか・・・・・それは名盤だからだけではなく、まさしく全集だったからだと、大学時代博物館学を履修した私の経験からは言えるかと思います。



聴いている音源
アントニン・ドヴォルザーク作曲
弦楽四重奏曲第10番変ホ長調作品51 B.92
弦楽四重奏曲第11番ハ長調作品61 B.121
プラハ弦楽四重奏団



このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。