神奈川県立図書館所蔵CD、今回はショパンのピアノ協奏曲第1番と第2番です。アルゲリッチのピアノ、シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団の演奏です。
これを借りたのは、伏線としてショパンのピアノ作品全集を借りたことがきっかけになっています。それと、以前友人から聴かせていただいたN響とユンディ・リの演奏とがあって、その時からぜひ第2番も聴きたいという希望があって借りたものです。
実はショパンのピアノ協奏曲は第2番が先に成立し、第1番のほうが後になっています。
ピアノ協奏曲第2番 (ショパン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3)
その理由は、第2番の総譜が一時行方不明になってしまったので、当時2番目に成立していた第1番を先に出版したからだというエピソードが伝わっています。
ピアノ協奏曲第1番 (ショパン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3)
それにしても、この2曲はショパンがまだポーランドにいた時に作曲されているのだなという点が注目だと思います。第2番はオーケストレーションは他人が手掛けているとの指摘もありますが、確かにポーランド出国後のショパンの足跡を振り返ってみるに、腰を据えてオーケストラ曲を書く暇はあまりなかっただろうと思います。激動の世相、その中で外国人として生きつつ生計を立てなくてはならない身で、どれだけ大規模な作品がかけるだろうかと思います。
フレデリック・ショパン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%87%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3
二つをこう並べて聴いてみますと、それぞれ形式的には全く冒険をしていないことに気が付かされます。ショパンらしいロマンティックな面はどちらの曲にも共通しますが、一面形式的に全く冒険していないという点もまた共通するのです。
「ピアノの詩人」なんて言われますと、そういった形式面などに注目することがなくなってしまいますが、その点から見てみますと、実にショパンはきちんとした教育を受けたうえで自ら殻を破っているんだなと気づかされます。
演奏面ですが、借りた当時はこの音源はアルゲリッチのピアノがずいぶん走っているなあと感じたものだったのですが、今ではいやそうでもないなあと思っています。そもそも、デュトワはそれほどオケを走らせる演奏をする人ではないですが、かといって自分勝手にテンポ指定をしてそれにソリストを従属させるようなこともしない指揮者ですから、この演奏は十分アルゲリッチと協議をしたうえでアンサンブルしているはずです。恐らく私のアルゲリッチのイメージがそう認識させたのだろうと思います。
特に第1番第1楽章の冒頭がユンディ・リに比べ速かったのがそう思わせたのだと思います。しかしその一部以外はそれほど違いはありません。ただ、その一部の差でリのほうを私は評価していますが・・・・・
もともとアルゲリッチはテンポが速いことで有名な人ですが、かといってそれをアンサンブルする曲でも貫き通すのかという点です。それは違うのだということを、この演奏でははっきりと認識させてくれます。むしろよくきけば十分にゆったりと演奏している点も多々あります。
ピアニストをソロの演奏だけで評価してはいけないなと教えられた演奏です。
聴いている音源
フレデリック・ショパン作曲
ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11
ピアノ協奏曲第2番ヘ短調作品21
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
シャルル・デュトワ指揮
モントリオール交響楽団
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