かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集1

マイ・コレクションのコーナー、今回から3回にわたってベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を取り上げます。レーゼルのピアノ、フロール指揮、ベルリン交響楽団の演奏です。

この全集を買い求めたのは12年くらい前だったと思います。その当時は図書館で借りられるなんて知りませんから、CDでベートーヴェンのピアノ協奏曲の全集がほしいと思っていたのです。しかも、純然たるピアノ協奏曲の全集が・・・・・

え、純然たるって、どういうことですかって?

ベートーヴェンはピアノ協奏曲を5曲残していますが、それゆえにどうしても3枚目は時間が余るわけです。そこにいろんなカップリングが付くわけでして・・・・・それはたいてい、合唱幻想曲であることがしばしばです。しかし、それが嫌だったのです。

確かに、合唱幻想曲をカップリングさせるというのはいい案ではあります。実際、合唱幻想曲は曲のほとんどはピアノとオケで演奏され、なかば合唱付きのピアノ協奏曲といっても差し支えないからです。しかし、その時すでに私は合唱幻想曲を他の演奏で持っており、あまり欲しいとは思わなかったのです・・・・・

そんな中で、この全集を選んだ理由が、すべてオケとピアノとで構成される曲で占められているという点にあるのです。しかも、番号順という、ベートーヴェンのピアノ協奏曲の歴史が俯瞰できるという、史学科出身の私にぴったりな編集であることも理由です。

とはいえ、実は作曲順は番号順ではないんですけどね・・・・・

で、まず一枚目の第1集は、第1番と第2番なのですが、実は成立したのは第2番のほうが先であり、出版の関係から2番目が第1番とされ、最初のピアノ協奏曲が第2番となりました。

ピアノ協奏曲第1番 (ベートーヴェン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3)

ピアノ協奏曲第2番 (ベートーヴェン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3)

確かに、第2番よりも第1番のほうが、ベートーヴェンの個性である、気高さという点で優れています。第2番はモーツァルトの延長線上という印象を受けますが、第1番ではハ長調という調性のせいなのか、激しさの中にも美しさと気高さがあり、聴く者をどんどん引き込んでいきます。ピアノも第2番よりも第1番のほうが力強い旋律がたくさんあります。

特に、第1番の第3楽章は、ロケーションがキリスト教会であることもあるのでしょうが、天空から神が舞い降りたような、気高さを通り越して勝利がそこに存在すると思わずにはいられない音楽が鳴り響きます。

実は、最近までこの2曲を私はあまり好きではありませんでした。この二つ、この全集を買ってきたときに初めて聴いたもので、それほど実はベートーヴェンのピアノ協奏曲に興味を持っていなかったと言えるかと思います。それを変えるきっかけになったのが、ベートーヴェンは3番以降で、今でも3番以降をよく聴きます。きっかけになったのはベートーヴェンだけではなく、実はモーツァルトのほうが直接的なきっかけになっています。

この全集を買うまで、私が持っているベートーヴェンのピアノ協奏曲は第5番の「皇帝」だけで、後はVHSで第3番を録画で持っているにすぎなかったのです。それを全集までを決意させたのは、ブレンデルのピアノの、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番と第24番です。

マイ・コレクション:ブレンデルモーツァルトピアノ協奏曲第20番・第24番
http://yaplog.jp/yk6974/archive/815

この演奏を聴いて、ピアノ協奏曲の美しさに開眼したと言っていいかと思います。モーツァルトのピアノ協奏曲を全部聴きたい衝動に駆られました。しかし当時、いや待てよ、その前に、自分はベートーヴェンのピアノ協奏曲を全部聴いていないよね?5曲しかないのに・・・・・

それで、買い求めたといういきさつがあります。そこでモーツァルトの第20番などとベートーヴェンのたとえば第2番とを比べますと、残念ながらまだベートーヴェンモーツァルトを超えられていないなあという印象がありました。それであまり好きではなかったのです。

いまでも基本的にその印象ですが、変わってきたのは第1番に関してです。このエントリを書くにあたって、再び聴いてみますと、なんと第1番は自分の心に響き、勇気と奮起をもたらしてくれるのでしょう!

今はこう思っています。最初の第2番では残念ながら個性を反映させる程度で終わってしまい、基本的にはモーツァルトにようやく肩を並べた程度でしたが、2曲目の第1番では、凌駕するに至った、と。それはわずかですが、しかし確実に、ベートーヴェンモーツァルトを凌駕し始めたのだ、と。

その時まで、モーツァルトが生きていましたら、モーツァルトはいったいどんなピアノ協奏曲を書いたことでしょう。モーツァルトハイドン交響曲において影響しあったように、ベートーヴェンともきっと、ピアノ協奏曲でも、いや多分交響曲でも、影響しあったはずだと考えてしまうのです。歴史(史学)に、「もし」は禁物なのに・・・・・

それはブレンデル同様、レーゼルも端正な演奏を心がけているせいだからかもしれません。それでも自然とダイナミックな演奏になっているのは素晴らしく、聞き飽きません。こういう演奏は、徐々に心に沁みていくものです。何度も聴いているうちに、いろんな発見があって、手放したくなくなります。

そして今や、神奈川県立図書館でも他のを借りてこようかなと画策しているくらい、私には影響を与えているものでもあります。

オケも、それと同調し、徹頭徹尾気高く、偉大な音楽を存在させています。ベルリン・フィルではないからとって避けてしまうのは、あまりにももったいないなあと思います。この全集はつまらないという評価もききますので・・・・・

確かに、感じ方は人それぞれですからつまらないという評価があってもいいかとは思いますが、もしそれが単にキリスト教会が故の残響などで、再生装置では音が濁ってしまうなどという理由だったとしたら、とてももったいないと思うのです。

私のオーディオでも、設定がナチュラルであることからこの演奏は大音量でないと聴き取りにくい部分があります。ところが、パソコンで聴きますと、なんと素晴らしい音で鳴ってくれることでしょう!

mp3世代の若い人には是非、聴いてほしい演奏です。ベートーヴェンの若き日の作品の素晴らしさを、きっと教えてくれるはずです。



聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15
ピアノ協奏曲第2番変ロ長調作品19
ペーター・レーゼル(ピアノ)
クラウス・ペーター・フロール指揮
ベルリン交響楽団
(徳間ジャパン ドイツ・シャルプラッテン TKCC-15154)



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