今月のお買いもの、今回はブリリアント・クラシックスから出ているブルックナーのミサ曲第1番です。
この一枚で実は予算を600円ほどオーヴァーしてしまい・・・・・ブリリアント・クラシックスは安くていい演奏が売りで、此れも690円です。この一枚で完全に予算オーヴァ―になってしまいました。
でも、実はこれでブルックナーのミサ曲は番号が付いているものはすべてそろったことになるので、まあいいかと思っています。690円くらいやりくりできないでどうする!
ブルックナーのミサ曲はウィキペディアのブルックナーの項では3曲と紹介されていますが、実際には番号が付いていないものを含めますと6曲になっていて、国際ブルックナー協会は番号なしで呼んでいるようですので、これはウィキペディアのほうが間違っているということになります(私がモーツァルトの交響曲等をご紹介するときにはきちんと「番号が付いているものは」といいますでしょう?)。
実はその主張をしているのが、私が持っている、前にもご紹介した朝比奈/大フィルのミサ曲ヘ短調のブックレットなのです。それによりますと、ブルックナーのミサ曲は、ミサ曲ハ長調(1842年)、合唱ミサ(1844年)、荘厳ミサ(1854年)ミサ曲ニ短調(1864年)、ミサ曲ホ短調(1866年)、ミサ曲ヘ短調(1868年)の6曲あり、さらにレクイエム(1849年)があるということで、レクイエムも正式には「死者のためのミサ曲」と呼ぶことから考えますと、全部で7曲あると考えるべきだと思います。ブックレットでも「いずれ整理されるべきだろう」と書かれています。
この主張はあまり私が好きではない宇野功芳氏なのですが、しかしながらこれは全く正しいと思います。ウィキペディアでは番号だけをミサ曲と認識しているようで、そうすると交響曲の説明と整合性がつかなくなりますので。
また、氏の主張が正しいと考える理由が、実はこの第1番にあります。それは、クレドの冒頭の歌詞がソリストによって「語られる」からです。それはまさしくモーツァルトの時代と全く同じであり、その上ブルックナー終止もあまり見られません。習作ではないのかと思うくらいの曲なのですが、しかし彼は番号を与えています。番号付きは3曲というのが正しいと思います。
で、この第1番は実は第4番目のミサ曲ということになるわけなのです。ブルックナー終止があまり見えないのも納得です。なぜなら、このミサ曲を書いたとき、彼が書いた交響曲はブルックナーらしくないといわれる、番号がないヘ短調だけなのですから。
ただ、ブルックナーの特徴である金管で表現される天上の世界は、すでに現出しています。後年の交響曲のような神々しさはまだないですが、それを補ってあまりある合唱のアンサンブル。さすがオルガにストという印象を持ちます。
ブリリアントの売りである、安くていい演奏が、このアルバムでは十二分に楽しめます。力があり、かつ発声が軽い合唱団。それをサポートするまとまりのいいオケ。どうしても長い曲が多くなるブルックナーの作品ですが、それがとても引き締まって聴こえます。それでいてなんと美しいのでしょう!
これぞブルックナー!と膝を叩きたくなります。
唯一の難点は、日本語解説がないこと。うーん、クレドがなぜ形式的に古臭いのかは知りたいですね〜。少なくとも私が知っているロマン派の作曲家で、古典派、それもモーツァルト以前の形式をとる作曲家はあまりいないんですよね。素直に曲をつけていく人が多い中で、なぜ彼はそうしなかったのか?興味は尽きません。もともとオルガニストであるということがヒントなのかもしれません。
このレーベルにはシューベルトのミサ曲全集もあるので、いずれそれを買いたいなと思っています(実はシューベルトの交響曲もあるので、それも狙っています)。
聴いているCD
アントン・ブルックナー作曲
ミサ曲第1番ニ短調
イザベル・ミュラー=カント(ソプラノ)
アイベ・モールマン(メッゾソプラノ)
ダニエル・サンズ(テノール)
クリストフ・フィッシェザー(バス)
ヨーロッパ室内合唱団
ニコル・マット指揮
ロイトリンゲン・ブリュテンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
(Brilliant classics 93944)