今週の県立図書館所蔵CDのコーナーは、連続でベートーヴェンのピアノソナタです。というより、これよりしばらくこのコーナーはベートーヴェンのピアノ・ソナタが続きます。ピアニストは山根弥生子さん。
この音源は、実はベートーヴェンのピアノ・ソナタを順番にご紹介したときに散々やっていますので、本当にエッセイ的に話を今度はしたいと思っています。
つまり、あの時期ちょうど私はベートーヴェンのピアノソナタを図書館で借りてきたばかりだった、ということなのです。そのきっかけはやはりその前にグルダを聴いているということに尽きます。
ならば、グルダで借りたほうが良かったのでは?という疑問もあるかと思います。あるいは、他のもっと有名なピアニストはたくさんいるでしょ?と。
確かに、図書館にも有名曲だけならばたくさんのピアニストのCDがありますし、全集はグルダのほかにグールド、横山氏もあります。その中でなぜこの音源を選んだかといいますと、単純な話、「借りる人が少なかった」という理由です。借りる人が少なければ、自分で一気に借りてもあまり他のユーザーに迷惑かけないわけですから。
つまり、それだけ私は本気でベートーヴェンのピアノソナタが聴きたかったのです。しかも、全作品を。
この音源は当時ほとんど全部棚にそろっていて、あきらかに不人気でした。それはそうでしょう。誰だって、他にグールドやグルダや横山さんがあればそちらを借りるでしょう。ですから、山根さんはひっそりと、でも全部音源がだれも借りずにそろっていたわけなのです。
でも、よくよく見てみると、このシリーズは東京近郊の小さな、でもいいホールで収録されており、私は直感で「これはそんなに悪くないぞ」と判断しました。それに、ベートーヴェンのピアノソナタは初めてと言っていいほどでしたし、贅沢はいえないだろうという側面もありました。
さらにこのシリーズは、ピアノソナタが番号順および作曲順で収録されているのです。つまり、CDを順番に聴いてゆけばベートーヴェンのピアノソナタの変遷をたどることができるという点も、史学科出身の私としましては魅惑的な点でした。そんな点を考慮して、借りることにしたのです。
いい演奏はその後いくらでも手に入りますから。でも、番号順というのは機会を逃しますと意外に手に入らないものです。収録時間の関係もありますから。ですので私はグールドでもなく、グルダでもなく、横山氏でもなく、山根弥生子さんで借りることにしたというわけです。
この第1集は第1番から第3番までが収録されています。作品2の3連作ですね。CDには製作年と作品ごとの総演奏時間と楽章ごとの演奏時間とが表記されており、初心者から聴きなれた人、あるいはプロまでもが楽しめたり、あるいはレファレンスにできたりできる内容になっていまして、全集でそれは貫かれています。こういう点は国内盤の全集ではなかなかないありがたい点ですね。
こういう点がありますと、例えばベートーヴェンのピアノソナタの場合、ウィキペディアにも解説がありますが、それと突合できるので非常に勉強になります。そういう点もすばらしいです。できれば解説書もあると良かったんですが(いや、別冊であるんですが、それは図書館ですから「一点」に数えてしまうので)・・・・・・
まあ、なくてもとりあえずはウィキに一般的な解説は掲載されていますし、また山根さんの場合、確かサイトかブログがあった筈なので、検索してみても面白いでしょう。
聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノソナタ全集1
ピアノソナタ第1番ヘ短調作品2-1
ピアノソナタ第2番イ長調作品2-2
ピアノソナタ第3番ハ長調作品2-3
山根弥生子(ピアノ)
(元CD:ADAM ACD0033)