かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」

今回の「マイ・コレクション」は、ベートーヴェンの英雄です。オトマール・スウィトナー指揮、シュターツカペレ・ベルリンです。

この時期、ひそかに私が望んでいたのが「ベートーヴェン・チクルスを完成させたい」ということでした。つまり、第1番から第9番までのCDをそろえたいということです。

全集を買ってしまえば簡単な話しですが、当時私は高校生。全集を買えるお金などありはしません。そのため、少しずつ買っていこうと思っていました。実はスウィトナーにこだわっていたのにはそういう理由がありました。

ただ、その思いはだんだんなえて、とにかくいろんな指揮者やオケでいいから全部そろえようという方針に転換しました。このCD以降、このコンビのものが手に入りにくくなったからです。

ですので、このコンビで買った実は最後の演奏になります。これ以降、このコンビで手に入れたのは県立図書館で借りてきたドヴォルザークまで、何と22年間ありませんでした。

実は、今でもモダンの演奏で持っている英雄はこれ一枚だけです。テンポとアンサンブルがとてもよく、ダイナミクスさは多少ないのですが、そのアンサンブルが何度も聴いているうちに心地良くなって、これ以外の演奏が聴けなくなってしまっているためです。

今では、図書館で全集を借りてみようと思っているほど、他の演奏も聴きたくなっていますが、10数年にわたってこの演奏以外はほとんど聴く気がなかったといっても差し支えない状態でした。私をそんな気にさせた演奏です。

この曲は古い時代の様式を残している作品でもあります。そんな点に注目して聴いてみると、他のきらびやかな演奏が聴けなくなっていた自分がいました。そのきっかけになった番組に「題名のない音楽会」があります。まだ黛さんが生きておられた時代で、ちょうど英雄の主題展開部を取上げていました。そこで見たものは、ホルンが交換されるというものでした。

当時、ホルンは自然ホルンだったので、さまざまな理由で交換されることがありました。英雄でも例外ではなかったのです。

それを知ってしまうと、逆にカラヤンのようなきらびやかな演奏よりも、もう少し端正な演奏が聴きたくなりました。当時、スウィトナーの指揮からはそろそろ脱却しようと思っていた私は、ふたたびスウィトナーで聴くことにしたのです。そんなときに買ったのがこのCDでした。

スウィトナーの指揮は決して奇をてらったり、華やかなものを追い求めるわけではありません。しかし、聴いているうちに熱くなるものをこらえることができません。さすが職人だなあと思います。そういう味のある演奏を聴いてしまいますと、表面上だけの曲というものはなかなか聴けなくなるものだなあと思います。


聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
オトマール・スウィトナー指揮
シュターツカペレ・ベルリン
(DENON 38C37-7011)