今回も、マイミクさんから買いましたCDをご紹介したいと思います。しばらくはこれを続けたいと思っています。今回はブルックナーのテ・デウムとミサ曲第2番です。指揮はメータ、オケはウィーン・フィルです。
テ・デウムは5月のブルックナー・マラソンに参加したときから聴きたいと思ってきました。実はこの曲、ブルックナーが交響曲第9番を作曲したときに、完成しなかったら、最終楽章はテ・デウムを使ってくれと述べているからです。
確かに、冒頭はそれらしい神々しい音楽が鳴り響きます。もう地上なのか天界なのかよくわからない第9番に確かにマッチしそうです。ただ、これをそのまま持ってくるというのは、やはりどうなのかなあと思います。今でも、ほとんどこの曲を終楽章として演奏する人はいませんですし。
テ・デウムはテ・デウムだと思うのです。それだけ、またこの曲は展開するにつれて違う世界があるように私には思えます。音楽的には近いですけど、やっぱり何か違和感を感じます。
確かに、時間的にはちょうどいいです。ほぼ21分。バランス的には問題ないとは思いますが、でも、私はこの曲を第9番と一緒にしなくてよかったなあと思います。最後の終わり方が、ちょっとブルックナーの交響曲の雰囲気ではないのです。やはり、宗教曲です。神々しさの反面、やわらかい部分もあり、交響曲の堂々たる感じとはやはり別物です。
それはミサ曲第2番を聴きますとさらに顕著に感じます。次の第3番と比べますと、なんと静かな曲なのだろう・・・・・それが率直な感想です。まったく雰囲気が違います。モテットの雰囲気のほうがはるかに近い曲です。実は、さらにカップリングとしてモテットが収録されていますが、それと比較しますと、特にそれを感じてしまいます。
つまり、このCDはいわばブルックナーの宗教音楽集であるわけですが、交響曲とはまた違ったブルックナーを聴くことができます。しかも、比較することもできて。これはすばらしいなあと思います。
ブルックナーの宗教音楽は、本当に神々しさが顕著ですが、一方でとても静謐さを持っています。テ・デウムではさらにその上交響曲と見まごうような堂々たる音楽が鳴り響きます。ブルックナーの宗教音楽と言えばテ・デウムと言われる理由がわかるような気がします。
もしかすると、それはメータとウィーン・フィルの力も大きいかもしれませんが・・・・・でも、テ・デウムはやはり少しぬきんでているような気がします。勿論、まだブルックナーのミサ曲を全部聴いていないので正確には言えませんが、ブルックナーの宗教音楽は晩年になるにしたがって熟成されていってるなと感じます。まるで、交響曲の歩みのように・・・・・
曲順がテ・デウム、ミサ曲第2番、モテットの順になっているのが面白いなあと思います。単に編集の都合上かもしれませんが、この順番で聴きますと、彼の宗教曲の歩みがわかると思うのです。ただ、モテットは必ずしも初期の作品ではないですが・・・・・
もっと、彼の音楽が聴きたい、そんな気にさせてくれます。やはり、私は歌うたいなので・・・・・合唱を聴きますと、どうしてもそういう思いが湧き上がってきます。
交響曲も、スクロバチェフスキでそろえたいななんて思っていますし、なんだか今年はブルックナー好きの開始の年となったようです。
聴いているCD
アントン・ブルックナー作曲
テ・デウム
ミサ曲第2番ホ短調
モテット集
ズビン・メータ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ジョン・アルディス指揮
ジョン・アルディス合唱団(モテット集)
(DECCA 425 075-2)