かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:リスト ピアノ協奏曲集

東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリである、フランツ・リストが作曲したピアノ協奏曲を収録したアルバムをご紹介します。

リストが作曲したピアノ協奏曲は、以前にも「神奈川県立図書館所蔵CD」のコーナーで取り上げているかと思いますが、やはり有名作曲家ということで小金井市立図書館でもライブラリにあったということになります。

このアルバムでは、ピアノ協奏曲第1番と第2番が収録され、さらにはハンガリー幻想曲よと死の舞踏という二つの幻想曲も収録。リストが作曲したピアノ協奏曲のほぼすべてを収録しています。

4つの楽章が連結し、初の循環形式となった第1番。第1番がさらに進化し、6部からなる単一楽章となった第2番。ハンガリー狂詩曲第14番を原曲とする「ハンガリー幻想曲」、そしてグレゴリオ聖歌の「怒りの日」の旋律を用いた一種のパラフレーズである「死の舞踏」。それぞれピアニストたるリストの強烈な個性が反映された作品ばかり。

そんな作品を演奏するのは、ジョルジュ・シフラのピアノ、アンドレ・ヴァンデルノート指揮フィルハーモニア管弦楽団。オーケストラ以外はあまりなじみのない名前が並んでいるアルバムでもあります。シフラはともかく、ヴァンデルノートはあまり我が国では知られていないかもしれません。しかし調べてみるとこのヴァンデルノート、たたき上げの歌劇場指揮者なんです。

ja.wikipedia.org

カラヤンを文明批判で使っているような人は、意外とこのような指揮者の存在をスルーしていることが多いのは、真の文明批判、あるいは文化擁護になるのだろうかと首をかしげざるを得ません。この演奏を聴く限り、非常に生命力あふれる魅力的な演奏になっています。シフラの生きのいいピアノに対して真っ向からサポートするフィルハーモニア管弦楽団。そのタクトは本当に素晴らしいものです。

もちろん、ハイレゾ相当で聴いているという点もあるかもしれませんが、しかしそもそも演奏に生命が宿っていないとその価値が演奏から見出すことはできませんのでハイレゾ相当にしたところで意味はありません。特にこの録音はステレオ初期なので、音を「作っている」部分もある時代です。しかしそんな「作っている」感じが少ないのもまた素晴らしいところです。それは演奏が素晴らしいが故でしょう。

こういう演奏は歌劇場でコレペティトール(練習指揮者)を務めた経験がものを言っていると言えるでしょう。リストと言えば超絶技巧ですが、しかしピアノ協奏曲はこの時代ピアノという楽器の発達も相まってオーケストラと対等の楽器になっています。その作品の特徴が全面に押し出されている演奏でもあります。だからこそ全体的に壮大かつ壮麗でありながら、生命が宿る演奏になっています。こういった譜読みの深さは、やはり一流だと言えるでしょう。

カラヤンも優れた指揮者ですし、ベルリン・フィルという名門を振ったわけですからダメな指揮者であるわけがないんですが、しかし巨匠時代のあだ花とも言える指揮者です。こういった地道なタクトを評価することはあまりないんですよねえ、カラヤン批判をしている人たちって。ヴァンデルノートのような指揮者がベースになっていることがカラヤンのような指揮者の出現にあるんだということはあまり視点がないようです。わたしにとってカラヤンとは、このヴァンデルノートのようなあまたいる指揮者の一人にすぎません。

そう考えれば、カラヤンがーとかあまり気になりません。演奏によってこれは受け入れられるけどこれは無理だな、と判断すればいいだけです。そのほうが人生はより豊かになると考えるのは私だけなのでしょうか・・・・・

 


聴いている音源
フランツ・リスト作曲
ピアノ協奏曲第1番変ホ長調
ピアノ協奏曲第2番イ長調
ハンガリー幻想曲
死の舞踏
ジョルジュ・シフラ(ピアノ)
アンドレ・ヴァンデルノート指揮
フィルハーモニア管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。