かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ラモー クラヴサン曲全集1

東京の図書館から、今回から3回に渡りまして、府中市立図書館のライブラリである、ラモーのクラヴサン曲全集を取り上げます。

まず第1回は1枚目です。ラモーの代表作とも言っていい、クラヴサン曲集第1巻と第2巻を中心に収録されています。

さて、ラモーという作曲家、一応おさらいしておきましょう。フランス・バロックを代表する作曲家で、クラヴサン曲や舞曲、オペラを数多く作曲しました。

 

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フランスバロックだから精神性がない!とか言う人もいるかもしれませんが、待ってください。ラモーを聴いていますと実に精神性を感じるのです。勿論、バッハのような経験をしているとは言えないのでそれほど深くはないかもしれませんが。しかし、彼が生きた時代はマウンダー極小期という、地球が寒冷化し、そのため多くの人が死んだ時代だったということは、踏まえておく必要があると思います。

 

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だからこそ、明るい作品もありますが実際陰のある作品もあります。そしてその陰を持っている作品が実に味わい深いのです。

ラモーのクラヴサン曲に関しては、以前も取り上げたことがありますので詳しく紹介するつもりはこのシリーズではありませんが、しかしやはりラモーの半生はマウンダー極小期の時代だった、ということはおさえておく必要があるだろうと思います。芸術、特に絵画に強い影響を与えた、太陽黒点が極端に少なくなった、マウンダー極小期。特に今この2022年という時期はちょうど同じように太陽黒点が少ない時代なのです。そんな時期にラモーの作品を聴いて様々考えるというのも、必要な作業でありましょう。

1枚目に収録されている作品は、「プティ・マルトー」以外はすべてマウンダー極小期最中あるいは終わった直後くらいの作品です。意外と暗めな作品が多いことに気が付かされます。軽薄な作品が見られないことも非常に重要です。

そして、演奏するのはフランスのクラヴサン奏者、オリヴィエ・ボーモン。しかもです、歴史的な楽器を使っての演奏かつそのロケーションも歴史的な点を踏まえたリヨン装飾美術館あるいは国立パリ高等音楽院の楽器博物館という場所が選択されています。クラヴサンよりも小さなスピネット(ここではエビネット)も使われており、時代の「音」に限りなく近づけることによって、ラモーの音楽の本質を見極めようとしているように思います。

その音色からも、実に誠実な音しか聴こえてきません。そしてその誠実な音からは、私たちがラモーという作曲家あるいはその時代に対する偏見は間違いであるとの認識にたどり着かざるを得ません。人間が持つ喜怒哀楽が、それぞれの作品にはしっかりと宿っており、誠実に演奏すれば自然と浮かび上がるように作品がつくられていることがはっきりとしてきます。

ラモーという作曲家の真の姿を浮かび上がらせる演奏だと言えるでしょう。

 


聴いている音源
ジャン・フィリップ・ラモー作曲
クラヴサン曲集第1巻
プティ・マルトー(1754年以前)
ロンドー形式のメヌエット(1724年)
クラヴサン曲集第2巻
オリヴィエ・ボーモン(クラヴサン

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