かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ラモー クラヴサン曲全集2

東京の図書館から、3回シリーズで取り上げております、府中市立図書館のライブラリである、ラモーのクラヴサン曲全集、今回はその2枚目をご紹介します。

ラモーのクラヴサン曲の中でも代表曲の一つ「新クラヴサン曲集」と「5つの小品」が収録されています。「新クラヴサン曲集」は1729~30年にかけて作曲された作品ですので、ちょうどマウンダー極小期が終わりようやく地球が暖かくなってきた時代に作曲されています。「5つの小品」は1741年作曲なので、マウンダー極小期よりは「死」というものが近い時代ではなくなった時期の作曲です。

それゆえに、楽しさと気品、愉悦などが同居し、特に「5つの小品」のそれぞれの作品の明るさには目を見張るものがあります。もちろん、陰の部分もあり、軽薄な点は何も感じることができません。

バロック音楽は、音の細かさによって装飾する部分もあるので、特徴がよく表れている作品達だと言えます。そんな特徴を自然体でボーモンは弾いています。その自然体は演奏は、自然と作品の生命を引き出し、特徴が浮かび上がり、私たちは愉悦と喜びに満たされていきます。さすがの演奏です。

おそらく、作品が紡ぎだされた「時代」とその精神、そして内面への共感があるんだと思います。人間の死がより一層近かった、バロック時代。単に医療技術が現代より遅れているというだけでなく、太陽黒点が少ないことによる寒冷化によって命が失わて行くのを目の当たりにするという時代に紡ぎだされた作品ということへの共感と愛を、この演奏からは感じるのです。

年代物のクラヴサンにより紡ぎだされる演奏がさらに時代精神への共感を感じさせます。その古さからいずる気品も感じるこの演奏は、ラモーの芸術が内包する繊細さを、存分に表現していると言えるでしょう。

 


聴いている音源
ジャン・フィリップ・ラモー作曲
クラヴサン曲集(1729~30年頃)
5つの小品〈1741年)
オリヴィエ・ボーモン(クラヴサン

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