かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ラモー クラヴサン曲全集3

東京の図書館から、3回シリーズで府中市立図書館のライブラリである、ラモーのクラヴサン曲全集を取り上げていますが、今回はその第3回です。

え、以前取り上げたときには2回で終わってませんか?という方もいらっしゃるかもしれません。はい、実はもうほとんど取り上げているのですが・・・・・

なんと、この全集では、3枚目に「優雅なインドの人々」が収録されているんです!このブログでも以前グラン・バレ(いわゆるバレエ曲)として取り上げている作品です。

グラン・バレですから本来は舞曲です。しかしそれをクラヴサンで演奏してしまうとは・・・・・どうやらラモー自身の編曲のようで、CDには1736年ごろと記載がありました。もともとのグラン・バレ版は1735年の成立です。

この「優雅なインドの人々」、上演当時はものすごい人気で、ラモーが抜粋版を製作したというエピソードも伝わっています。となると、クラヴサン版があっても不思議はない、ということになろうかと思います。

なぜなら、通常オーケストラによる部分を鍵盤楽器に編曲するという場合、オーケストラが用意できないケースでも演奏できるようにという意識がないとしないからです。つまり、あまりにも人気なのでオーケストラがない地域でも演奏できることを想定した編曲だと言えます。

これなら、たとえば王室の小さな場所でも、多少の踊れるスペースがあれば、クラヴサンさえ用意できれば上演可能だということを示しています。この伝統が、古典派以降ロマン派へと移り、権力の中心が王から市民へと移っても受け継がれていったと言えるでしょう。

それだけ、人気だったということが、このクラヴサン版があることで言えるのですね。演奏しているボーモン、そして第2クラヴサンのモランの二人はあくまでも楽しんで弾いており、純然たるクラヴサン作品として弾いていますがそれでも不自然ではないですが、実際にはバレエと一緒に演奏したんだと思います。もうすこしテンポが揺れて演奏した野田とは思います。

とはいえ、クラヴサン、つまりチェンバロですから、それほど遅く演奏したとは思えません。意外とバロック・ダンスの動きは激しかったこともまた、念頭に置く必要はあるでしょう。その点では、言われている「抜粋版」というのが実はクラヴサン版であり、バレエの部分になにか省略できる部分がそもそもあった可能性もあるのでは?と思います。それが純然たるクラヴサン版として演奏しても不自然がないという点につながっているのではないでしょうか。

バロック音楽がいかなるものかを、私たちに省みさせる、素晴らしい演奏だと言えるでしょう。

 


聴いている音源
ジャン・フィリップ・ラモー作曲
優雅なインドの国々(クラヴサン版、1736年頃)
皇太子妃(1747)
オリヴィエ・ボーモン(クラヴサン
マルシアル・モラン(第2クラヴサン

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。