かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:ブラームス ドイツ民謡集WoO.33

東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリである、ブラームスのドイツ民謡集を収録したアルバムをご紹介します。

ブラームスのドイツ民謡集WoO.33は、49曲あり、通常は「49のドイツ民謡集」と言われます。

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その中から、このアルバムでは28曲が収録されています。ほぼ半分と言えますが、その全てが味わいがある、魅力的な作品ばかりです。

作品番号がないのは、おそらくそもそもドイツ民謡を「収集した」という意識がブラームスの中にあったのではないかと思います。ヨーロッパでは19世紀末~20世紀初めにかけて、民謡収集ブームが起きます。その先駆けとも言うべきのがこのブラームスの民謡なのではないかと思います。実際、上記ウィキを見ていただければわかるかと思うのですが、WoOの31~38はすべてドイツ民謡集です。

その中でもこのWoO.33は最もおそい成立です。いずれにしても、ブラームスが火をつけたのが民謡収集であったと言えるでしょう。それは澎湃とヨーロッパ全土へと広がっていったのです。ゲルマン、ユダヤ、そしてスラヴ関係なく、です。そしてそれは愛国主義の象徴となっていきました。

こういう動きを、はたしてロシアのプーチン氏は知ったうえでの欧米批判なのでしょうか?もちろん、彼が言いたいことも、日本人の一人の愛国者としてわからないわけでもありません。しかし、だからと言って他国に侵攻した時点でそれは国際法違反である、ということを自らが国連の常任理事国であるロシアが行ったことは、やはり許されることではないでしょう。その行為は文化すら殺しかねない。

だからこそ、私はロシアを批判し続ています。しかしそれはロシアという国の全否定ではありません。当然、日露関係が良くなることも将来的にあるはずですし、その橋渡しは必ず芸術がなすことでしょう。それはブラームスのこういった民謡集がヨーロッパ全土にもたらした影響が物語っています。しかし現状では難しいでしょう。私がどんなにロシアの芸術が好きであっても、「侵略行為」は許すことはできないからです。

もしブラームスが生きていたら、一体どのように言うんだろうって思います。愛国者であった一方、ブラームスは健全な精神の持ち主でもあったと言えます。それは「反ユダヤ主義は狂気の沙汰だ」と知人に話したエピソードでも表れています。

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こういったバランス感覚が、いま失われつつあるように思います。特に欧米やロシア双方のプロパガンダに触れていればいるほど、そのバランス感覚は失われていくように思います。ブラームスはそんな時どうしたんだろうと考えます。それは創作だったのかもしれません・・・・・生きていればぜひともインタビューしてみたいところですが、それは死んだあと魂同士でということになりそうです。

歌っているシュテファン・ゲンツは、一つ一つ味わっており、慈愛に満ちた歌になっています。伴奏するロジャー・ヴィニョールズも出すぎずかつしっかりと存在感を以て演奏しており、素朴さがむしろ芸術の高みへ昇れるんだと示しているように感じます。ブラームスが民謡に見たそれぞれの曲の「魂」を、「歌曲」という形で再構築したら、見事な芸術なっている、その核心が演奏に満ちています。だからこそ、ヨーロッパではブームが起きたんだ・・・・・そう言いたげです。

私は、大管弦楽だけを人生のはじめに聴いてきましたが、必ずしもそれは正しい道ではなかったなと最近思います。むしろ歌曲のような、もっとシンプルなものも聴いてくるべきだったと反省しきりです。ただ、それが今というタイミングであり、それが神様が私に与えたものなのだと思っています。ちょうどいいタイミングでこのブラームスのドイツ民謡集が聴けたのは、私にとって最大の機会です。他の作品ももっと聴きたいと思うところです。

 


聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
ドイツ民謡集 WoO.33
①目覚めよ、美しき恋人よ(第16曲)
②下の谷底では(第6曲)
③私の心はやさしくより添う(第3曲)
④月が明るく照らなければ(第35曲)
⑤美しい恋人よ(第20曲)
⑥別れはつらい(第17曲)
⑦一本の菩提樹が(第41曲)
⑧ヴァイオリン弾き(第36曲)
⑨殿様と家来が馬に乗って(第28曲)
⑩グンヒルデ(第7曲)
⑪草原の家(第31曲)
⑫美しい娘さん、許しておくれ(第2曲)
⑬天使のような羊飼いの娘さん(第8曲)
⑭娘さん、いっしょに行こうか(第11曲)
⑮太陽はもはや輝かない(第5曲)
⑯ひとりの騎士が(第10曲)
⑰ライン地方の辺境伯(第29曲)
⑱美しい羊飼いの娘さん(第1曲)
⑲可愛い人(第12曲)
⑳ばら色のくちびる(第25曲)
㉑かよわい娘が歩いて行った(第21曲)
㉒美しい、褐色の髪のおとめ(第24曲)
㉓私は高い山の上から(第27曲)
㉔私の知っている娘は(第40曲)
㉕すべての思いが(第30曲)
㉖唯一の光よ(第37曲)
㉗どうしたら戸があけられるのか(第34曲)
㉘静けき夜に(第42曲)
シュテファン・ゲンツ(バリトン
ロジャー・ヴィニョールズ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。