かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ブラームス 鍵盤楽器全集7

年を越して、復活しました神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、ブラームス鍵盤楽器全集の続きになります。今回は第7集です。

あれ、前回第6集だったので、飛ばしていませんかという、ア・ナ・タ。ええ、飛ばしていますよ。第6集が図書館にない、のですから。

こういうことも図書館ならあります。公共のものですから、だれかが粗末に扱ってしまえばこういう事になってしまうんです。実はこれは神奈川県立図書館だけではなくて、これから取り上げるであろう府中市立図書館で顕著な傾向なんです・・・・・orz

ですのでみなさん、図書館の資料は大切に扱いましょう!

さて、第6集がないのは残念ですが、この第7集には有名曲が入っています。4手のための16のワルツ作品39です。

え、そのどこが有名なんですかって?いやいや、第16曲はたいていクラシックファンならどこかで聴いたことがある曲なんです。

ブラームス :16のワルツ Op.39
Brahms, Johannes:16 Walzer Op.39
https://enc.piano.or.jp/musics/218

タラララン、タラララン、タラララランランラン♪と始まる旋律は、あ!あれか!と膝を叩くことだろうと思います。あれ、ブラームスだったんですか!と驚かれるかもしれませんね。なんと言ってもこの国では、ブラームスは精神性高いとか言われるのですから・・・・・

いえ、決して低く見るべきだといいたいわけではないんです。ブラームスの音楽というのは、表面的には精神性の高さという「袈裟」をかぶっていますが、実に人懐っこい音楽ですし、人間的です。ただ、シャイなんで、たとえばフランス音楽のように愛を大見栄切って語るようなことをしないだけ、なんですよね〜。これ、独身男性はよく誤解されますよね。

そのあたり、私もそうなんで実はよく分かるんですよ〜、ブラームスの内面性。こんな小さな温かい音楽だって書くんですよ、ブラームス。だって、人間ですもの。いろんな「顔」があって当然ですよね。それを言ったらですよ、ベートーヴェンは甥カールを自殺未遂に追い込んでいますし、シューベルトは実は相当のスケベでしたしねえ。そんなもんですよ。

ついでにドイツ音楽を貶めてフランス音楽を賛美する人に向けて言えば、ドビュッシーだって不倫ですしねえ。それ、否定するんですかって話ですよ。ブラームスだって同じなんです。ただ、それぞれの作曲家にはそれぞれ個性があります。だから差があるのは当然であって、後はその人間性に共感できるかどうかだけであるはずです。

その意味では、有名曲が入っているというだけで、この16のワルツを持ってきたと考えるのは早計だと思っています。なぜなら、その後に収録されているのは、ロシアの思い出、だからです。

ロシアの思い出――ピアノ1台4手のための6つの幻想曲[Souvenir de la Russie Sechs Fantasien (1P4H)]
ブラームス (BRAHMS)
http://www.panamusica.com/goods/detail/782

初期の作品で幸いにも楽譜は残されたのですが作品番号がつけられていない作品ですが、ブラームス愛国者としての側面を見ることができます。え?なんで?だって、外国の国歌だろう!などと右よりの方からはお叱りを受けるかもしれませんが、それはあなたの偏狭なナショナリズムブラームスの作品に押し付けているだけです。私はブラームス愛国者としての内面性がにじみ出ている作品だと思っています。

なぜなら、愛国者だからこそ、その外国の国歌や旋律に共感しているから、これらの作品が残されたはずだから、です。しかもまだ当時はハプスブルク家がヨーロッパの中で存在感と影響力を持っていた時代です。そんな偏狭なナショナリズムなどないんです、健全な愛国者たちに。国民国家になってからです、そんな偏狭なナショナリズムが出現したのは。その負の側面をズバリ言い当てていた作曲家が、ドビュッシーだったと言えるでしょう。

つまりはです。ブラームスは、その国の愛国者たちに、同じ愛国者として共感しているってことなんです。だからこそ、外国の国歌や旋律を普通に受け入れるわけ、です。こういう、ともすれば「騎士道精神」のようなものは、20世紀に入る頃には古臭くなりました。そのあたりは司馬遼太郎著の「坂の上の雲」を読むほうが早いのではと思います。

最後が、恩師でもあるシューマンの旋律を使った「シューマンの主題による4手のための変奏曲 変ホ長調作品23」。こうなると、徹底的にこの第7集のテーマは「真のブラームスという人」だと思います。ブラームスはその理解に誤解をされていませんか?という編集者の問いかけだと思っています。

演奏するは、コンタルスキー兄弟。じつに生き生きと、そして暖かく演奏しています。生命が宿っているのに、過度に美を追求するのではなく、作品が内包する「世界」を大切にした演奏だと思います。それはブラームスという「人」にフォーカスすることでもあります。同じ人間としての共感だったり、理解だったりが演奏からにじみ出ているのは、聴いていて楽しく、また喜びが聴きてに満ちてくるのがいいですね〜。ステディな演奏なんですが、何度聴いてもほんわかする演奏というのも、地味なようで実はすごいことだと思います。




聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
4手のための16のワルツ 作品39
ロシアの思い出(4手のためのロシア、ボヘミアの旋律)
シューマンの主題による4手のための変奏曲 変ホ長調作品23
アルフォンス&アロイス・コンタルスキー(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。



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